乾燥肌を体質改善!かゆみやニキビなどに効果的な、漢方薬の選び方
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
肌が乾燥する原因は3つあります。
ひとつは環境、空気が乾燥しているなど体の外側からの原因。
もうひとつは、体の内側の原因です。
- 偏った食事により肌に必要な栄養が不足している
- 睡眠不足や疲労、ストレスで肌の血行不良を起きている
また、加齢による汗や皮脂の分泌量の低下も関係します。
保湿剤で肌を直接ケアすることも大事ですが、漢方薬によって体の内側から乾燥肌を改善する方法もあります。
乾燥した肌は、漢方でいうと「血虚」(けっきょ)の症状の一つです。
「気・血・水」のうちの「血」(けつ)が不足している状態です。
血(けつ)が不足すると、潤いや栄養が肌まで十分に行き渡りません。
そのため、皮膚に栄養供給不足による症状が表れやすくなります。
皮脂の分泌が悪い、潤いが足りない、艶がない、カサカサした状態になります。
血色がよくないため、皮膚の色もなんとなく、くすんだ感じがしてしまいます。
肌が粉を噴いたように白っぽくなったり、ひどくなると皮膚が厚くなりひび割れたりします。
血虚に使われる漢方薬に「四物湯」(しもつとう)があります。
「四物湯」には地黄・芍薬・当帰・川芎という4種類の生薬が入っています。
地黄・芍薬・当帰が「血」を補う薬で、川芎が気血の流れをよくします。
血を増やすだけでなく、それを滞らずに巡らせる働きをしてくれます。
実際には、四物湯を単独ではなく、皮膚以外の症状、体の状態に合わせて漢方薬を選びます。
四物湯は、胃もたれを起こすことがあり、場合によっては少量から始めるか、もしくは食前ではなく、食後に服用したほうが好ましい場合があります。
体質や年齢などによって合う漢方薬は異なりますので、心配な方は専門家にご相談の上、服用してください。
それでは四物湯に関連する代表的な漢方薬を紹介します。
「温経湯」(うんけいとう)には、四物湯をベースにして、潤いを増すための生薬が配合されています。
冷え症だけど手足はほてる、唇が乾燥しやすい、ドライアイなどの方に適します。
ホルモンバランスを整えるので、月経不順にも使われる漢方薬です。
疲れや倦怠感、食欲不振もあり、栄養が足りないだけでなく、気力も落ちているときは、「十全大補湯」(じゅうぜんだいほとう)が効果的です。
四物湯に、元気をつける生薬も加わった漢方薬です。
かゆみの原因として多いのが「乾燥肌」です。
乾燥によるかゆみには「当帰飲子」(とうきいんし)が使われます。
四物湯に、かゆみを抑える生薬、皮膚の機能を強化する生薬も配合された漢方薬です。
乾燥だけでなく、皮膚に熱感や赤みのあり、強いかゆみの場合には、四物湯に炎症の熱を冷ます生薬を加えた「温清飲」(うんせいいん)がいいでしょう。
思春期のニキビは皮脂の過剰な分泌が原因ですが、大人の場合は、乾燥肌がニキビの原因になることがあります。
肌が乾燥すると角質層が乱れ、バリア機能が低下してニキビができやすい状態になります。
「芎帰膠艾湯」(きゅうききょうがいとう)は、四物湯に阿膠(アキョウ)という天然のコラーゲンを含む生薬が配合されています。
ニキビを治すものではありませんが、血虚の改善と、保湿の効果が期待できます。
漢方薬もお勧めですが、それだけに頼るのではなく、以下の基本事項を守ってこそ効果を発揮します。
- 栄養バランスのよい食事をすること
- 休養と睡眠を十分にとること
日頃から肌への血行不良を招かないために大切なことです。
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