【若い社員を育てる方法】本当に良い上司は、「部下の失敗は、すべて私の責任」とは絶対言わない!

「部下のヤル気を引き出すのは、上司の仕事」などと公言する管理職は、頼りがいのある理想の上司と評価されがちですが、新人などの若い社員を育成するという観点ではNG!部下に責任を負わせないと、他責思考のクセがつく恐れがあるので要注意です。

執筆者: 牧原 悠心 職業:ライフコーチ
部下の上手な育て方!本当に優れた上司とは?

こんにちは、ライフコーチの牧原悠心です。

 

社員は、職場のパートナー。

社員は、「人“財”」、会社の宝。

 

職場の体制が「縦割り指揮統率型」から「パートナー型」が多くなった今日、上司と部下が対等な仕事仲間として向き合うようになりました。

 

新人への指導も、手取り足取り丁寧に。

失敗しても叱らず、怒らず。

むしろ、上の立場にいる人が、いたれり尽くせり目下の人の世話を焼く風潮さえあるようです。

 

 

確かに下の立場で働く人にとっては、委縮することなくのびのびと仕事ができるのかもしれません。
従業員は「道具」という考え方が露骨だった一昔前と比べれば、この点では社員も働きやすい環境と言えるでしょう。

 

「部下の失敗は、すべて私の責任だ!」という上司は、良い上司?

さて、このような社員を大切にしようとする現代の職場風潮の中、上司もずいぶんと謙虚になりました。

近年よく言われる次のような言葉を耳にしたことはありませんか?

 

  • 「部下の失敗は、すべて上司の責任」
  • 「部下のヤル気を引き出すのは、上司の仕事」など

 

これらの言葉、一見頼もしく感じられるものですが、あなたはどのように受け止めるでしょうか。

「まったくそのとおり!」
こう思ったなら、もしかするとあなたには他責型の考え方をする傾向があるかもしれません。

他責型の考え方とは、「問題の責任の所在を、自分以外の他人に求める」こと。

 

じつは、上の言葉は、本来上司が自分自身を戒めるため、あるいは経営戦略としての人材管理をするためにあるのです。
ところが、上司も部下も、この言葉のあり方を勘違いしてしまっている場合があるようです。

 

謙虚過ぎる上司は、部下の成長を妨げる

意味を履き違えてしまった上司のほうは、きっと謙虚に物事を受け止め、また、部下として働く人を大切にしようと考えているのでしょう。

道具ではなく、人材としてのかわいい部下。

この人たちを守るという気構えはあっていいですし、その姿勢自体は尊いものです。


ただ、行き過ぎた謙虚さは、かえって部下の成長を妨げてしまうことがあります。
他責の感覚を助長してしまうので、注意が必要です。
これでは、会社を担う若い人の成長を期待することは難しいでしょう。

 

甘やかされた部下は、「悪いのは上司のせい」と考えるようになる

一方、部下の立場から見れば、「部下の失敗は、すべて上司の責任」とか「部下のヤル気を引き出すのは上司の仕事」といった言葉は、表面上、「あなたに責任も負担も持たせない」と言われているのと同じことで、お客様あるいは子供として扱われるようなものです。


人は通常、まず表面を見ることで物事を理解します。
特に若い人の場合は、他に新しく吸収するものがたくさんあるために、1つのことをあまり深く考えようとはしない傾向があります。
ましてや今の若い人は、理屈で考えようとしがちです。


新人の時期からこのような言葉に慣れてしまえば、「自ら動かない」「努力しない」「自分の状況が悪いのは上司のせい」、こんな思考を持った人ができるのは当然のことでしょう。

こうして他責となった思考で、部下は自らの成長を止めてしまうことになります。

 

 

部下を育てるために必要なことは?

確かに、そのセクションでの最終的な決定権は上司にあります。

ですが、人の向上の観点では、擁護の言葉を乱立し、上司が全てを請け負ってしまうような形ではいけないのです。

 

寛大さだけでは、人は育ちません。
そもそも、「部下の失敗は、すべて上司の責任」とか「部下のヤル気を引き出すのは上司の仕事」といった戒めの言葉は、上司自身の範囲に留めておけばよいことであり、若い人の耳に入るように幅広く公言をするものではないのです。

責任を自覚させることが、若い社員の成長につながる!

なぜ、会社で人が成長してもらう必要があるのか。
それは、会社の発展のためです。


一見パートナー型に見える職場も、じつは従来と変わらず、上司が全てを請け負って統率しようとする縦割り型なのかもしれません。
しかし、パートナー型の目的は、本来「協働」です。
そして人は、自身の責任を果たしたとき、初めて成長できるものです。

 

だからこそ、むやみに若い社員を擁護するのではなく、「こちらにも責任がある一方、あなたにも責任がある」という感覚をもっと前面に出したほうがよいのです。
そのような環境で、責任を自覚して成長した若い社員が、結局のところ会社を支えてくれる存在になっていくでしょう。

 
 コラムニスト情報
牧原 悠心
性別:男性  |   職業:ライフコーチ

牧原 悠心(まきはら ゆうしん)
ライフコーチ

大手組織での職務経験後、新入社員研修に長く携わり、指導スキルを得るとともに人の成長をサポートすることの素晴らしさを体感。
在職中にコーチンと出会い、その素晴らしさをもっと多くの人に広めたいとの思いから、コーチとしての活動を開始。

コンプレックスや仕事力の改善、共存に視点を置いた人間関係の構築などをテーマとし、主に会社で働くサラリーマンや男性を対象にコーチングを行う。
セッションでは、人の変化の自然法則である「スモールステップ」を重視。


ブログ → https://ameblo.jp/bractage-blog/