アメリカ大統領専用機のトリビア!トランプ大統領が降りたら「エアフォースワン」じゃなくなる?!
アメリカ大統領専用機「エアフォースワン」と報道される航空機について、へぇ~と驚くような豆知識を紹介。「エアフォースワン」の本当の意味や、機体のベース・配備・予定されている後継機についてなど、日本の政府専用機のことも絡めて解説。
先日、アメリカのトランプ大統領が来日しましたね。
そのときに使われた機材は、「エアフォースワン」だと報道されていますね。
ですが、皆さんが認識しているこの機体、「エアフォースワン」という意味は少し異なるのです。
今回は、そんなお話です。
「エアフォースワンは、機体の名称」と認識されている方が多いと思います。
実際、メディアや航空関係でもそう表現していることが多いのですが、実は、エアフォースワンとは、機体の名称ではなく、コールサインなのです。
コールサインとは、便名につく航空管制上の識別名です。
例えば、ANA630便であれば、便名はANA630便ですが、コールサインでは「ALL NIPPON 630」となります。
では、エアフォースワンと称させるアメリカ大統領専用機の本当の機体名称(型式)は何でしょうか。
こちらは、「VC-25」と呼ばれます。
アメリカ大統領専用機VC-25
この大統領専用機VC-25は、アメリカ空軍で運用している機材で、同じ仕様のものが2機あります。
エアフォース(Air Force)とは、空軍を意味しています。
大統領がこのVC-25に搭乗して初めて、「エアフォースワン」というコールサインが付きます。
大統領が搭乗しない場合は、エアフォースワンのコールサインは使われません。
では、大統領専用機(VC-25)ではない機材に大統領が搭乗した場合、コールサインはどうなるのでしょうか。
その機材、大統領専用機ではないのですが、コールサインは「エアフォースワン」と呼ばれることになります。
大統領が搭乗している機体が、エアフォースワン!
つまり、大統領専用機であるかどうかは関係なく、大統領が搭乗した機体に対して「エアフォースワン」のコールサインが使われるというわけです。
今回、トランプ大統領が、横田基地から、埼玉のゴルフ場にヘリで移動した際に、大統領の搭乗したヘリが「マリーン・ワン」という名前で報道されたのをご存知でしょうか?
このヘリですが、アメリカ海兵隊が運用する機材で、エアフォースワンと同じく、大統領が搭乗すると「マリーン・ワン」というコールサインになります。
マリーン(Marine)は、海兵隊を意味します。
ということは、海軍機に大統領が搭乗した場合は、「ネイビー・ワン」、陸軍機に搭乗の場合は「アミー・ワン」
といったコールサインになるのです。
※ネイビー(Navy)は海軍を、アミー(Army)は陸軍を意味します。
大統領専用機ですが、民間で利用されているジャンボジェットでおなじみのボーイング747(747-200型)です。
ボーイング747と言っても、やはりアメリカ大統領専用機なので、民間用とは違う仕様、例えば、電子パルスに耐えるなど、特別な仕様となっています。
機体は2機存在し、機体番号 82-8000と92-9000で、82-8000が大統領の搭乗機として優先的に使用され、92-9000は、82-8000が整備中の際の予備機、または副大統領や閣僚の搭乗機として使用されます。
ここで、「あれ?」と思った人もいるかもしれません。
副大統領や閣僚の搭乗機として使用するというのは、つまり、大統領と副大統領は一緒の機体に乗らないのです。
なぜ、大統領と副大統領が別の機体に乗るかと言うと、有事の際を想定してのことです。
なお、この場合の大統領搭乗機は「エアフォースワン」、副大統領搭乗機のコールサインは「エアフォースツー」と呼ばれます。
配備は、首都ワシントンD.C.に最も近い空軍基地である、アンドルーズ空軍基地へ配備されており、大統領専用機に搭乗の際は、ホワイトハウスから、ヘリ(マリーン・ワン)に搭乗して、アンドルーズ空軍基地へ向かうことになります。
日本でも、アメリカの大統領専用機に近い運用を行っています。
大統領専用機は、その名の通り大統領専用ですが、日本の場合は、政府要人の輸送・在外の自国民保護などのために使用される航空機で、国家元首を意味しない「日本国政府専用機」という名前で2機が運航されています。
機体のベースは、747-400型
こちらの機体は、アメリカ大統領専用機と同じボーイング747がベースとなっていますが、日本の政府専用機はボーイング747でも、747-400型がベースとなっています。
日本国政府専用機
運航は航空自衛隊が行っており、機番は20-1101と20-1102で、北海道の千歳基地へ配備されています。
整備は、日本航空へ委託されていますので、整備のため、羽田空港に飛来する機会もあります。
また、訓練飛行で国内各空港へ飛来することもあります。
運航は、アメリカと同様に2機ペアでの運用をなっています。
コールサインですが、2機のうち、メインの機材となる機体を「主務機」と呼び、コールサインは「Japanese Air Force 001」、予備の機体は「予備機(または副務機)」と言い、「Japanese Air Force 002」のコールサインで呼ばれます。
日本の場合は、搭乗者が誰であれ、アメリカのようにコールサインが変わることはありません。
アメリカの大統領専用機は導入から27年、日本の日本国政府専用機は導入から26年が経過しています。
機体の老朽化の問題もあり、それぞれ後継機が決まっています。
まず、アメリカのほうは、現在の旅客型の「ボーイング747の最新型の”747-8IC”」をベースとした機体で、2021年就航のスケジュールです。
日本のほうは、国際線の大型主力機である「ボーイング777-300ER」をベースとした機材で、2019年就航のスケジュールです。
運航は、航空自衛隊で行われますが、整備については、ANAへ委託されることが決定しています。
アメリカの場合は、大統領専用機の選択項目の一つとして、4発機であることとの条件がありますので、該当する機材はボーイング社の747か、エアバス社のA380の2機種しかありません。
ですが、ヨーロッパの共同会社のエアバス社が作るA380より、アメリカ製の747を採用するのは自然な流れといえますね。
一方、日本の場合、整備を民間航空会社へ委託していることから、民間航空会社での整備・運用されている機体との剪定条件で機種が選択されたようです。
当初は、ボーイング787も候補と上がっていたらしいのですが、現在の政府専用機と比較し、機体の大きさ、航続距離、国内航空会社での運用実績から、ボーイング777-300ERが採用されたそうです。
次期政府専用機のデザイン
*出典:内閣官房ホームページより(http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/150428senyouki_design.pdf)
「エアフォースワン」は、飛行機の呼び名だと思っていた方も多かったのではないでしょうか?
大統領が乗って初めて「エアフォースワン」なんです。
大統領の搭乗により名称が変わるのも、日本の政府専用機とは異なる運用ですね。
機材を見かけた場合、大統領の搭乗の有無がわからないのであれば、「エアフォースワン」ではなく、「アメリカ大統領専用機」と呼んだ方が正解かもしれませんね。
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