不登校の子供を学校復帰させるための解決ポイント -いじめ・人間関係などトラブルを生き抜く力を身につけさせる- 後編

執筆者: 田中勝悟 職業:心理カウンセラー
はじめに

こんにちは、心理カウンセラーの田中勝悟です。

 

子供の不登校シリーズ後編の今回は、学校復帰のポイントについて書かせて頂きます。

ただし、学校復帰の場合「復帰させた方が良いかどうか」が分かっていることが大切です。

 

子どもを理解すると分かってくることがあります。

「この子は今すぐ学校復帰をさせるのではなく、強くなるまで待った方が良いだろう」と思える場合もあります。

逆に「待ったらこの子は絶対ダメだ。少しずつでも良いから復帰に持って行った方が良い」という場合もあるでしょう。


子供を理解した上で、どちらが望ましいかをしっかりと考え、学校復帰の対策を練ることが大切です。

理解については、前回までのコラムをご覧下さい。

 

 

今回はそれらを踏まえた上で、学校復帰についてお話します。

 

 

不登校の解決とは

まず最初に考えないといけないこととして、不登校は学校に行けば解決となるのでしょうか?


実は学校に行けても、社会に出てから仕事が続かず、ニート・フリーターになってしまう元不登校の子は結構多いのです。

それは「自分と相手は違うんだ。それでも良いんだ」と割り切れる、生きていくための強さが育っていないからです。

不登校の解決とは、この生きていくための強さを育てることなのです。

そのために、まずは学校に行って学校と言う社会の中で生きる強さを鍛える必要があります。

 

こうした視点で学校への復帰を考えて行くことがコツです。

目的と手段を間違えないことが大切です。

学校復帰のポイント

不登校の学校復帰のポイントは、「徐々に慣らしていく」ことです。


不登校の子供は頑張り屋さんが多いので、つい「明日から毎日教室で勉強する」と意気込んでしまいます。

しかしそれでは続きません。

息切れをして、また行かなくなってしまいます。


最初は「保健室→別室→教室」と、徐々に教室に近付けるようにすることが大切です。

人は社会に出ることで、経験を得て強くなります。

不登校の子にとって、まずは保健室や別室に行けるだけでも、社会に出るという意味で生きる強さを身に付けるための大きな一歩となるのです。

保健室登校・別室登校から教室へ

保健室登校・別室登校までは比較的簡単に行けます。

 

しかし問題は、教室に行けるようになるまでにかなりの時間がかかることです。

教室に行くことが出来ないまま卒業してしまう子もいます。

 

教室に戻るようにするために、まずした方が良いことは「同年代の友達とのつながりを持つ」ということです。

 

休み時間に友達が遊びに来てくれると良いでしょう。

ただし、急に来ると余計な負担を負わせます。

担任の先生が「○○君と○○君が会いたいと言ってるんだけど、会えそう?」と事前に確認を取ると良いでしょう。

このような、人とのつながりが心を強くするための栄養剤の役割となります。


また、子供に「学校に行く意義」を持たせることも大切です。

例えば、担任の先生が「今日も来てくれて嬉しいよ」と声掛けをするのも良いですし、その子にしかできない役割を与えるのも効果的です。

 

「みんな、○○君と会えて嬉しかったと話してくれたよ」と伝えるのも良いでしょう。

「自分は学校で役立っているんだ」と思えるようになると、頑張ろうとする力も生まれます。

頑張っている中で、強さが徐々に身に付いてきます。

 

親にできることは

ここまでは、不登校の子供に対して「学校で先生ができること」について書かせて頂きました。

 

実は子供が学校に行きだした後は、親に出来ることはあまり多くありません。

学校と連絡を取り合いながら、子供の様子を見ながら学校復帰をする過程を見守ることが中心となります。


しかし、親にも重要な役割があります。

それは子供の話をしっかりと聴くことです。

 

子供は最初の内はかなり精神的に疲れて帰ってきます。

そうした心を癒すのは、何と言ってもお母さんやお父さんがしっかりと話を聴いて上げることです。

 

何の話でも構いません。学校の話以外でも、子供が話したいことがあるかもしれません。

それをしっかりと聴くことで子供自身が癒されます。

そして「明日も学校に行こう」という活力に繋がります。

 

また、子供が辛そうな顔をしていたらそれは無理をしすぎのサインです。

「ちょっと辛そうだけど無理していない?」と声をかけることで、子供は「ちゃんと見てくれているんだ」とホッとします。

心が軽くなると、また頑張ろうという気力が出てくるものです。
こうした関わりの中で、子供を応援していくことが親として出来ることだと思います。

 

 

おわりに

3回に渡って、不登校の解決の仕方についてお話をしました。

 

原則は、子どもを理解する→理解に応じて支えていくということです。

 

また、学校復帰を目標とするのではなくこれから生きる力を身につけるという目標を達成するために、学校に戻るという手段を使う」という視点で臨むことが大切です。


いじめや先生とのトラブル、交友関係、部活など、不登校のきっかけはたくさんあります。

しかし、原則の支援の仕方は上記の通りです。

今現在、悩んでおられる方に少しでも貢献できれば幸いです。

 
 コラムニスト情報
田中勝悟
性別:男性  |   職業:心理カウンセラー

病院と学校で心理カウンセラーの仕事をしています。
多くの方の幸せに貢献できるようなカウンセラーをめざし、日々勉強中の身です。

少しずつ、成長しているのかな?と迷いながら前に進んでいるという感じです。そんな中で私が感じたことコラムでお伝え出来ればと思っています。