中国伝統医学「黄帝内経」から学ぶ、四季(春夏秋冬)をより一層豊かに味わうライフスタイル
こんにちは。「葉山はり・きゅう接骨院」院長の葉山靖真です。
さて昔、扁鵲(へんじゃく)という名医がいました。
たった一人の名医というわけではなく、彼には二人の兄がいました。
扁鵲は、兄たちは優れていて、自分は三番目だと言っています。
「長兄は病気にならないようにする。だから家のものしかその能力を知らない。
次兄はごく軽いうちに治してしまう。だから村の人しかその能力を知らない。
私は酷くなったものを苦労して治す。だから天下に名高いのです。」 ……
近年の中国では「黄帝内経(こうていだいけい)」の易しい解説書が次々と出版されています。
「黄帝内経」とは、中国伝統医学の根本をなす書物のことです。
「人体の仕組み」「人はなぜ病にかかるのか(理解)」「それをどうしたら治せるか(治療方法)」「そもそも病にかからないためにはどうしたら良いか(予防)」などが書かれています。
世に出回っている「黄帝内経」の多くは、大半が“養生”を謳っています。
医学の進歩と共に物質的に豊かな現代となり、未病を治すことが重要であると考えるようになったということでしょうか。
今回はその一つ、生活態度についてお話し致します。
黄帝内経を構成する文献の一つ「素問(そもん)」に、春夏秋冬に相応しい生活態度が述べられています。
四季にそぐわない生活態度は病(やまい)を引き起こすことになる、と説明されています。
黄帝内経に沿った、四季に相応しい生活態度をここでご紹介しておきましょう。
春は、万物が芽吹くのに合わせて人間も活動的であるべきとされ、抑制的な態度は相応しくありません。
ゆるゆると散歩でもして、髪も解いて、衣服もゆったりとしたものを身にまとい、気持ちを伸びやかにさせます。
夜は遅めに寝て、朝は早く起きましょう。
夏は万物の最も盛んな時で、うんと積極的に行動するべきです。
気持ちを開放的にして、外に出るのを楽しむことです。
夜は遅めに寝て、朝は早く起きましょう。
秋は万物がそろそろ収束する時なので、人間も行動をやや控えめにしていきます。
気持ちを穏やかにして、出しゃばらないようにしましょう。
夜は早く寝て、朝も早く起きます。
鶏と一緒に活動を始めるくらいにすると良いです。
冬は万物が閉じ隠れる季節ですから、人間もむやみに動かない方が良いとされています。
閉じ籠って、既に得ているもので満足しましょう。
また、新たに行動を起こさず、寒さを避けて温かくします。
もちろん汗をかくようなことをしてはいけません。
夜は早く寝て、朝は暖かくなってから起きます。
「早く寝ろ」というのは「寒くなる前に寝ろ」ということだと思いますが、面白いことに「冬は早起きをするな、暖かくなってから床を出ろ」と書いています。
健康に良いからと、冬にいきなりジョギングを始めたりする人を諌めるには、少し良い話でしょう。
「素問」の四気調神大論(しきちょうしんたいろん)には、四季にそぐわない生活態度を取ると、次の季節に報いがあると書かれています。
春を「生」という態度に相応しく無く過ごすと、夏になって「寒変(カンペン)」という、お腹が冷えて不調になる症状が現れます。
夏を「長」という態度に相応しく無く過ごすと、秋になって「痎瘧(ガイギャク)」という、周期的に発熱と悪寒を繰り返す症状が現れます。
秋を「収」という態度に相応しく無く過ごすと、冬になって「ソンヒツ」という、不消化便の症状が現れます。
冬を「蔵」という態度に相応しく無く過ごすと、春になって「痿厥(イケツ)」という、四肢が萎える症状が現れます。
ただ “こうしたら良い”と述べているだけではなく、“そうしないとこういう報いがありますよ”と解説してくれています。
いかがでしたでしょうか。
四季に相応しい生活態度と、それに背いて生活をした場合に現れやすい症状をご紹介しました。
頭の片隅に置いて生活をしてみると、一年を通して気持ちの良い身体を実感できるかもしれませんね。
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