「うつ病」と「抑うつ状態」の症状と違いは?「うつ」を正しく理解しよう -前編-

執筆者: 田中勝悟 職業:心理カウンセラー
「うつ病」と「抑うつ状態」の違いとは

こんにちは、心理カウンセラーの田中勝悟です。

 

今、うつ病と診断されている人がたくさんおられます。

その数は100万人以上とも言われています。

 

しかし、うつ病とは多くの方が誤解している病気の一つです。

その理由として、「うつ」は脳の異常から起こるものと、心理的なストレスから起こるものと2通り、それらがごっちゃになっていることが理由として挙げられます。

 

今回は、そんな「うつ」についてお話したいと思います。

「うつ」とは何か?

「うつ」とは落ち込みやイライラ、泣きたくなる、寝付けない、食事がのどを通らない…など、私たちが日常の出来事に関して生じる感情や生理反応のことです。

 

人間だれでも、「うつ」っぽくなったり、憂うつな気分を味わうことは誰でもあることです。
ところで、この「うつ」によって日常生活に支障が出る場合があります。

この状態を「うつ症状」と呼んでいます。

 

 

「うつ症状」はイライラ、落ち込み、悲観的、食欲不振、不眠、わけもわからず涙が出る、悲しくなる、死にたいと考える…などがあり、医学的にはこれらの症状が見られると、「うつ病」もしくは「うつ状態」があると考えます。

 

つまり、「うつ病」も「うつ状態」もこの「うつ症状」があることが前提なのです。

うつ病とは何か?

では「うつ病」と「抑うつ状態」はどこが違うのでしょうか?

結論を言うと、それは「うつ症状」が起こる原因が違うということです。


「うつ病」とは、脳内の神経伝達物質のネットワークのバランスが乱れた結果起こると考えられています。

簡単に言えば、やる気を出したり、睡眠や食欲のスイッチを出したりするホルモンが上手く働かないから起こるのです。

うつ病症状の事例

例えば、いつも残業が5時間あって、睡眠時間は一日3時間、休日もなく、ご飯はおにぎりだけで、ずっと仕事に取り組んでいる状態をイメージしてください。

こうなると、脳は常にフル回転しており、このままいくと脳は疲弊してホルモンの分泌が正常に働かなくなります。

 

するとあるときから、この人は「うつ症状」を訴えるようになり、病院に行くと「うつ病」と診断されます。

この場合は、抗うつ剤と睡眠薬をもらい、3か月安静して療養し、しっかりと栄養をとれば仕事を行う前の状態にまで回復します。


これが真面目な人が起こしやすいと言われる、典型的な「うつ病」です。

つまり、過剰に頑張り過ぎて脳がオーバーヒートを起こした結果、脳内のホルモンバランスが乱れてしまい、「うつ病」になるのです。

 

この場合はお薬を服用することが大切です。

抑うつ状態の事例

では、「抑うつ状態」の原因は何かと言うと、簡単に言えば「ストレス」です。

ここでストレスとは何かと定義すると、「自分が望んでいるものと実際に起こったことが、全く違っていたことに対する身体の反応」です。


例えば、好きな人に「おはよう」と声をかけたとします。

当然、その人が笑顔で「おはよう」と返してくれることを望んでの行動ですが、実際は「私に話しかけないでよ」という目で睨んできたとします。

 

このとき、望んでいたものと違っているということを身体が教えてくれるために、ストレスという反応が表れます。

すると、その人は好きな人に嫌われたということで、落ち込んだり、イライラしたり、寝られなかったり、食欲不振、不眠などの「うつ症状」が出てきます。

 

この状態がずっと続き、生活に支障が表れ、病院に行くと「抑うつ状態」という診断がつくことになります。

「抑うつ状態」は「うつ病」よりも多い!

「抑うつ状態」を引き起こすきっかけはどこにでもあります。

 

例えば、就職活動が上手く行かなくて「就活うつ」になる学生が多いと聞きますが、これもストレスから起こる「抑うつ状態」です。

仕事が上手く行かなかったり、夫婦関係が上手く行かなかったり、育児ストレスからも「抑うつ状態」になる可能性があります。

 

実は、心療内科や精神科で治療を受けている人も大半は「うつ病」ではなく「抑うつ状態」だという人もいます。

 

「抑うつ状態」と「うつ病」の見分けは難しい

しかし、ここで問題があります。実は、「抑うつ状態」と「うつ病」の見分け方ですが、実際はベテランの精神科医でも非常に難しいことがあります。

 

例えば、ストレスで「うつ症状」を起こすのですが、ストレスについてアレコレ考えている内に、脳がオーバーヒートしてしまって本当に「うつ病」になってしまう人がいます。

 

そのため、見分けるためには、数回の診察が必要な場合もあるのです。

 

うつ病と抑うつ状態の違いの治療や注意点は次回!

今回は、「うつ病」と「抑うつ状態」について、その違いについてお話しました。


簡単に言えば、うつ病は脳の病気、抑うつ状態は心理的な問題から起こるうつ症状です。

次回「 「うつ病」と「抑うつ」における治療方法の違いとは?医師・カウンセラーの選び方 -後編-」は、この両者の違いを明確にしたうえで、治療法や気をつけるべきことについて書かせて頂いております。

 
 コラムニスト情報
田中勝悟
性別:男性  |   職業:心理カウンセラー

病院と学校で心理カウンセラーの仕事をしています。
多くの方の幸せに貢献できるようなカウンセラーをめざし、日々勉強中の身です。

少しずつ、成長しているのかな?と迷いながら前に進んでいるという感じです。そんな中で私が感じたことコラムでお伝え出来ればと思っています。

 

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