イタリア料理の歴史と食文化!地域別に見る食事の特徴まとめ (1/2)

執筆者: colonnayumi 職業:ツアーコンダクター、料理家、インバウンド通訳ガイド
はじめに

こんにちは。

今回は、前回に引き続き、イタリア料理の歴史を振り返ってみたいと思います。

また、一口にイタリア料理といっても、地域によって特徴が違うため、それをまとめてみようと思います。

 

アラビア人によって新しい食材がもたらされた

アラビア人のもたらした食材は、その後のイタリア料理に大きな影響を与えました。
アラビア人のヨーロッパへの侵入は7世紀の末より始まり、8世紀にはシチリア、イベリア半島がその支配下に置かれるようになりました。


アラビア人は、今までどこにもなかった新しい植物をもたらしました。
米、オレンジ、サフラン、砂糖きびなどです。

 

米はその後、ポー川流域の広大な水田地帯で、大規模に生産されるようになりました。
また、カタリーナ・ディ・メディチが初めてフランスにシャーベットを伝えたと言われていますが、実はこれもアラビア人が発明した物です。

 

パスタ・コン・サルデの誕生の背景

シチリアを代表するパスタで、有名な物は、パスタ・コン・サルデ(イワシ入りパスタ)。

 

これは、9世紀頃、シチリア島平定のため、軍を移動させていたエウフエミアという将軍が、ある時山に野草として生えているフィノッキオ(ういきょう)を見付けました。

これを利用して、兵士達に何か栄養のある物を食べさせられないかと、お抱えの料理人に相談しました。

 

 

料理人は色々工夫した末、シチリア島で簡単に入手出来る海の幸、イワシを使い、それにフィノッキオ、レーズン、松の実、サフランの香りを加えた独特のソースを作って、パスタ料理に仕上げたということです。

 

現在のイタリア料理はルネッサンス時代に誕生

そして、現在のような完成されたイタリア料理が出来たのは、やはりルネッサンス時代のことでした。


ルネッサンス(文芸復興)といえば、絵画、彫刻、建築などの美術の世界、それに演劇、音楽、文学などの世界に輝かしい豊かな遺産を残してくれました。

 

15世紀より16世紀にかけて、イタリアでは数多くの料理書が出版されております。
1475年、バルトロメオ・サッキという人が「尊ぶべき悦楽と健康について」という本を、ローマで出したのですが、この本はフランスでも評判になりました。

 

栄養学の原点と呼ばれる本もこの頃に誕生

1505年出版された「カタリーナ・ディ・メディチのフランスお嫁入り」という本の、フランス語の翻訳が出ています。

この本は、常に料理と健康の調和に視点をおいて書かれていて、現代の栄養学の原点ともいうべき本なのです。


この本の第16章に、最初に何を食べるべきかという章があります。

胃の中をゆっくり作動させる軽い食べ物は、果物ならリンゴか梨、野菜ならレタスと書かれています。

レタスは生のままでも良いし、オリーブ油とワインビネガーのかかった物でも良いと述べています。

 

北・中部・南の地域別のイタリア料理の特徴

イタリア料理は地方料理ともいわれています。
イタリアが統一されるまでは、いくつかの王国、都市国家が分裂していたということもあり、それぞれが明確な個性を持っています。

北・中部・南と長靴型の国を大きく分類します。

北イタリア

肥沃なポー川流域の平野の恵みで、豊富な料理の材料を生産しています。
ベニスは、アドリア海で採れる魚介類が豊富です。


秋から冬にかけて、この地方は暗くて寒い中央ヨーロッパの気候になる為か、寒冷地に相応しい煮込み料理が多いです。

 

  • ポレンタ(Polenta)

トウモロコシの粉を練って作ります。

昔はパンの代用とされていた素朴な物でした。

現在は、オリーブ油で揚げたり、チーズと共に焼いたりして食べています。

  • オッソブッコ(Osso Buco)

仔牛のすね肉を、トマトソース、白ワインで煮込んだ物。

  • ミラノ風リゾット

サフラン入り雑炊。


 

 
 コラムニスト情報
colonnayumi
職業:ツアーコンダクター、料理家、インバウンド通訳ガイド

海外ツアーコンダクター、料理家、インバウンド通訳ガイド、日本旅行作家協会会員。