心身を浄化する9日間の菜食週間(ギンジェー)!タイの精進料理から見直す現代ライフスタイル (1/2)
毎年10月ごろ、タイの街を歩くと黄色い小旗が目に飛び込んできます。
屋台やレストラン、商店の店先に飾られたこの小旗には、ジェーと読む漢字の「齋」やタイ語の「เจ」という文字が書かれています。
「齋」はタイ語では「กินเจ(ギンジェー)」と言い、精進料理、つまり菜食の事を意味します。
今回はタイの菜食週間、ギンジェーについてご紹介しましょう。
齋をジェーと読むのは、中国の福建語です。
ギンジェーの期限は約400年前まで遡ります。
中国での領地争いで、敵に対抗するために白い衣装を身につけ、肉を控えることで、勇気と力が湧くと信じられたのが始まりだと言われています。
その後、福建省周辺から、プーケット島などのタイ南部に移住した華人の信仰と習慣が、全土に広がったと言われています。
当初は限られた地域の行事でしたが、今では毎年の大きなイベントに成長。
ギンジェー仕様のインスタント食品などもあり、この時期にはテレビコマーシャルもよく流れます。
ギンジェーは、旧暦の9月1日から9日間続きます。
ギンジェーをやるかどうかは自由。
今年だけやってみる人や、5日間だけチャレンジする人、期間中は白い服を着て真剣に取り組む人もいます。
バンコクの中華街ヤワラートでは、ギンジェーのイベントが盛大に行われます。
ギンジェー対応のインスタント食品。
日本でお馴染みのレストランにも、ギンジェーメニューが登場。
コンビニ弁当も対応しています。
ギンジェーの目的は3つ。
「慈悲」「業(カルマ)の回避」「健康」と言われています。
肉食をしない事が生き物への慈悲に繋がる。
業とは、様々な行為で生じる罪悪のこと。
ここでの業の回避とは、殺生などの悪行を遠ざけ、心穏やかに過ごすことを意味します。
菜食が健康を促すと考えられています。
この3つの目的を踏まえて、具体的に守ることが決まっています。
- 肉や魚を食べたり、動物に危害を加えてはいけない。
- ミルク、バターなどの動物由来の脂を摂ってはいけない。
- 刺激の強い味付けは禁止。辛過ぎず、塩辛過ぎず、甘過ぎず、酸っぱ過ぎず。
- 匂いの強い野菜、ニンニク、ネギ類、ラッキョウ、ニラと煙草の葉を摂ってはいけない。
パンもギンジェー仕様で、バターやミルクは入っていません。
輸入食材は、ギンジェー対応商品かどうか目印のシールが貼られます。
日本の調味料もギンジェー対応食品。
また、食べ物だけではなく、生活の上での禁止事項もあります。
ギンジェーの期間は、飲酒、性行為、嘘、盗みや殺生などの悪行をせず、善行を心掛け、心穏やかに過ごさなくてはなりません。
これらを守ることにより、身心ともに浄化されると考えられています。
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