有機野菜・自然食品をもっと身近に!フランスで普及するオーガニック専門店 -中編-

執筆者: 真(ま)フランスの日常 管理人
はじめに

前回は、フランス全土に広まるオーガニック作物等の計画購入システム、「AMAP」を紹介しました。
第二回のテーマは、こちらも成長著しい「オーガニック専門店」についてです。

 

 

増え続けるオーガニック専門店

食料品はもちろん、規模の大きい所では日用品や衣類まで揃うオーガニック専門店は、常に一定のオーガニック志向の人々を惹きつけてきました。

フランス国内の店舗数はここ十数年で着実に増え続け、2005年から2010年の5年間で138%の売り上げ増を記録するなど、市場は拡大しています。
その中でも急激に増えているのが、オーガニック専門店を全国展開している「オーガニックチェーン店」。

国内で1.2を争う「Biocoop」と「La vie claire」は、現在2社共に一県に平均2店以上を出店していますが、特に「Biocoop」は、2015年までに全国合計500店(県平均5店)に増やす計画があるほど急成長しています。

 

 

上記は「Les petits prix BIO(オーガニックを低価格で)」などの広告を店先に出している、La vie claireというオーガニックチェーン店の看板。
近年の食品業界全体に見られる、低価格競争に負けないための戦略の一つとも言えます。

 

豊富な品揃え

オーガニック専門店の強みは、「こんなものまでオーガニック?」と驚かされるほど、商品の種類が充実していることです。

お米一つとってみても、日本のお米と同様の丸粒米や、タイ料理に使用される長粒米などの種類が豊富なだけでなく、玄米、五分づき米、白米の3通りのつき方を提供していて、どんなに小さな店舗にも常時10種類以上のお米が並んでいます。

 

価格帯は店舗や商品にもよりますが、例えば、それらをセルフサービスで提供している店舗では、白米の有機丸粒米を1kg400円程度で購入することが出来ます。

 

    Biocoopの一角。セルフサービスで好きな量をリーズナブルに買うことが出来る。

 

パスタや大豆製品など種類が豊富で便利

フランス人が「野菜」に分類するお米でさえこれだけ豊富なので、パスタなどはもっと様々な種類があります。

その他、オイル、酒類、調味料、菓子類、栄養補助食品までもが全てオーガニックで揃ってしまう頼もしさは、誰もが認めるオーガニック専門店の魅力だと言えるのではないでしょうか。

 

また、専門店の多くはベジタリアンをターゲットにしてきたこともあり、店内には大豆製品の専用コーナーが設けられ、多種多様な商品を目にします。

そしてそのほとんどが、大豆栽培から製品加工までヨーロッパで行われているため、有機醤油などは日本より低価格の場合もあります。

 

その恩恵を受けているのは、ベジタリアン以外にも大豆製品を定期的に消費する在仏日本人や日本食好きのフランス人達。

私達にとってこれらの専門店は、ありがたく欠かせない存在となっているのです。

 

 

フランス産の有機大豆を使った有機豆腐の数々。

絹ごし、木綿、ハーブ入り、スモーク等々日本でも見かけない種類の豆腐まで近所のオーガニック専門店で手に入ってしまいます。

 

親近感に溢れる店内

もう一つ、オーガニック専門店を語る上で忘れてはならないのが、経営者や店員、他の顧客とのコミュニケーションの豊かさ。

 

同じ生活志向の者同士が集う場所とあって、親しみを感じやすく、お互いが声を掛けやすい雰囲気に満ちています。

定期的に通うと経営者や店員とは、あっという間に親しくなって、レジで何十分も話し込んでしまうこともあります。

 

世間話からオーガニックに関する情報交換まで話は尽きず、ついつい通ってしまう憩いの場のような魅力も持ち合わせているのです。

 

おわりに

以上、良いとこ尽くしのオーガニック専門店、及びにチェーン店の実態でした。

留まるところを知らないオーガニックチェーン店は、今後もフランス全国で増え続け、オーガニック産業の発展に大きく貢献していくことでしょう。

 

次回(後編)は、大型スーパーが提供するオリジナルオーガニックブランドを紹介します。

 
 コラムニスト情報
真(ま)フランスの日常 管理人
性別:女性  |  

専業主婦(ときどきブロガー)を貫く予定が、思いがけず「フランスのスローライフ」について書く機会を与えられました。ただし、フランス語には「スローライフ」という言葉は存在しません。どんな英単語も無理やりフランス語に置き換えるフランスでこの言葉があえて無視されるのは、“フランスで生活する”ということ自体が“スローライフ”だからだと私は思います。
日本でフランスというと芸術や美食の国という印象がありますが、実際に生活してみると、それよりも何よりも人間的、いや“野生的”なフランス人たちに衝撃を受けます。バカンスのために働き、食べることに時間をかけ、人との交流を良くも悪くも優先するフランス人の生き様は、スローライフそのものだと身をもって感じるのです。
エコライフを追求するには申し分のない環境に置かれていることに感謝しながら、フランスのエコ情報を中心にフランス生活の実態をお届けします。

ブログにも是非お越しください→ http://mafrance.cocolog-nifty.com/ (旧ブログ)

                http://mafrance.jimab.net/ (新ブログ)

 このコラムニストが書いた他のコラムを読む