1人雇用につき40万の法人税控除が!?「雇用促進税制」のお得な仕組み・要件・提出手順などを解説

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
はじめに

皆さん、こんにちは。
さとう社会保険労務士事務所の黒田絵理です。

皆さんは雇用促進税制という制度をご存じですか?
上手く活用すれば法人税の優遇が受けられる、会社を経営している方や、経理の担当をしている方必見の制度です。 

 

 

どんな制度なのか

事業年度内(3月が決算月なら4月~3月)に、雇用保険に加入する従業員を10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)増加させた場合、増加人数一人につき『40万円』の税額控除が受けられます。

 

  • 控除額の上限は、当期の法人税額の10%(中小企業は20%)となります。
  • 所得拡大促進税制の適用を受ける場合は、雇用促進税制は適用されません。
(どちらか選択制となります。) 

 

どのような事業主が対象となるか

以下の全ての要件にあてはまることが条件となります。

 

  1. 青色申告書を提出する事業主であること
  2. 事業年度とその前の事業年度で「事業主都合」の退職者がいないこと
  3. 事業年度内に、雇用保険に加入する従業員を10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)増加させていること
  4. 対象となる事業年度と前事業年度の給与額が、基準以上増加していること
  5. 風俗営業等を営む事業主でないこと

 

また、次の事業年度については、雇用促進税制の適用はありません。

 

  • 設立(合併による設立を除く)の日を含む事業年度
  • 解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度
  • 清算中の事業年度 

 

優遇措置を受けるためには
  • ステップ1

事業年度が始まってから2か月以内に、管轄ハローワークへ『雇用促進計画』を作成・提出し、確認を受けて下さい。
この時確認を受けた雇用促進計画は、年度終了後に使用しますので、大切に保管しておきます。 

 

  • ステップ2

採用活動を積極的に行い、雇用保険の加入者数を増加させます。 

 

  • ステップ3

雇用保険に加入する従業員を10%以上かつ5人以上(中小企業は2人以上)増加させることが出来た場合には、事業年度終了から2か月以内に、管轄ハローワークへ人数の増加状況を報告します。


事業年度開始時に作成した『雇用促進計画』に、年度終了日時点の雇用保険加入者数を書き入れ提出します。
ハローワークで確認後、労働局で最終的な確認が行われます。

 

  • ステップ4

労働局から確認を受けた『雇用促進計画』を法人税の申告書に添付して、確定申告を行います。 

 

注意するポイント

法人税の確定申告期限は、雇用促進税制の結果報告期限と同じ、事業年度終了から2か月以内となっています。


雇用促進税制の結果報告提出から、労働局の審査が終わるまでに2週間~1か月ほど時間が掛かります。

確定申告に間に合わなかったということがないよう、事業年度が終了したら早めに結果報告をしましょう。 

 

おわりに

雇用促進税制は、一人雇用者を増加すると40万円の税額控除が受けられるという、インパクトの大きい制度です。


しかし、事業年度が終わってからでは、いくら人数が増えていても優遇は受けられません。

年度初めに忘れずに雇用促進計画を提出しましょう。 

 
 コラムニスト情報
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