コマセ釣りだけじゃない!マダイの楽しい釣り方「ヒトツテンヤマダイ」 (1/2)

執筆者: 房総釣り師
ヒトツテンヤマダイとは

 

ヒトツテンヤマダイという釣法は前から知ってはいましたが、マダイはコマセマダイしかやらないので、実際にやってみようとは全く思っていませんでした。
コマセマダイとは全く違う釣り方です。

テンヤ仕掛けというのは、テンヤという錘に針が直接付いていて、そこからもう一本孫針が出ています。
ルアーでいう「ジグヘッド」のようなもので、錘と針が一体となっています。

錘の号数は6号程度が一番良く使われるようなので、かなり軽いです。
下の画像にあるような仕掛けです。
重くても10号程度。

 

外房の大原が発祥の地

釣り方やタックル(竿とリール)については知っていたのですが、釣り方がコマセマダイとは全く違って、私にはルアー釣りのように思えました。

実際にはルアーほどのアクションが必要ではないけれど、そこに違和感があって、船宿の人に「貸し竿で一度やってみない」と誘われても、やってみようという気にならなかったのです。

ヒトツテンヤマダイは、私がよく行く外房の大原が発祥の地といわれている釣法なのですが、大原でマダイを狙うという考えはありませんでした。

 

 

ヒトツテンヤマダイがブームに

ところが、このヒトツテンヤマダイがブームになりました。

これまではコマセの規制(千葉茨城はコマセ釣りが原則禁止なのです)でマダイ釣りをやっていなかった船宿が、あちこちでこのヒトツテンヤマダイ(コマセが要らないから)を始め出して、コマセマダイをやっていた船宿でさえ、このヒトツテンヤマダイを始めました。
すると、人気のあるこのヒトツテンヤマダイに押されて、コマセマダイでの出船が少なくなってきました。

この釣法に関する書籍も出回り始め、各メーカーも競ってヒトツテンヤマダイ用の竿を開発し始めます。
ヒトツテンヤ仕掛けも、それまでは似たような「カブラ仕掛け」を漁師が手作りしていた物が、様々な色や形の仕掛けとして店頭に並ぶようになり始めました。 

 

ヒトツテンヤマダイの原型

  

ヒトツテンヤマダイと似たような釣り方は、短竿で釣る「シャクリマダイ」や、「ビシマ」という、渋糸(麻糸などを柿渋で強化した糸)に小さな割ビシ(錘)を一定間隔で付けたものにテンヤ仕掛けをつけて、手釣りで狙うマダイ釣りなどがありました。
これはコマセマダイに比べると難しいのです。

何が難しいかというと、底取り(仕掛けを底に着ける)が難しいのと、テンヤ仕掛けに喰ってくるマダイのアタリが取りにくいことです。

餌はみな上の画像のような冷凍のエビを使います。
エビの種類には、サルエビ、花エビ、多分、ブラックタイガーのようなエビや、中にはクルマエビの子、サイマキを使う人もいるようです。

昔の「ビシマ」釣りでは、活けエビを使っていたようですが、今ではこの活けエビを使う船宿はありません。
用意するのが大変なのと、やはり「釣れる」から全船宿が自粛しているのでしょう。

 

大原の船長が試行錯誤して開発されたヒトツテンヤマダイ

ビシマは手釣りですが、これは本職の漁師でさえ底を取るのが難しいといいます。
マニアックな釣り客がやっているのを見た事はありますが、今では殆どやる人がいません。
このビシマの先についている仕掛けもテンヤです。

「シャクリマダイ」も仕掛けはテンヤですけれど、この釣り方は中錘を使います。
ですから、シャクリ上げて、餌が落ちるまでの間、マダイのアタリが来ても分かり難く、餌だけが取られてしまうことが多いようです。

それで、大原の某船宿の船長が、何とかその中錘を取って、マダイのアタリをダイレクトに取れる釣法がないかと、苦心惨憺して開発した釣法がヒトツテンヤマダイです。
細くて丈夫なPEラインなど、釣り道具の進歩の恩恵も大きいと思います。

 
 コラムニスト情報
房総釣り師
性別:男性  |  

サラリーマン経験もありますが、殆どフリーランスで仕事をしてきました。何でもやるプランナーで、けっこう以前ですけど、数年某商業誌で連載を持っていたこともあります。企画書書き、マニュアル書き、テキトー広告コピー、パンフレットのコピー書き、サイト制作、ゴーストライター、何でも仕事に飛びつく、魚のカサゴの様なものです。実はこのカサゴ、オニカサゴにハチカサゴ、ウッカリカサゴ、本カサゴと多種ですが、好きな釣りものです。今は「釣りをするため」に働いています。