正社員と差別してはいけない?パートさんの待遇を巡る「パートタイム労働法」の改正とは

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
はじめに

皆さんこんにちは、さとう社会保険労務士事務所の一安裕美です。

皆さんの職場でも、パートタイムで働いていらっしゃる方がいらっしゃると思います。
パートタイム労働者は現在、雇用者総数の3割近くを占めています。
パートタイム労働者に、よりやる気を持ってイキイキと働いて貰うことは、これからの企業の発展の重大な要素といえるでしょう。

パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、納得して働くことが出来るようにするため、2015年4月1日より改正パートタイム労働法が施行されます。
今回は、改正の内容で特に重要な点についてお話したいと思います。 

 

そもそも、パートタイム労働者とは?

パートタイム労働法の対象となるパートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者」のことを言います。


企業によって、「アルバイト」「嘱託」「準社員」と呼び方は様々かと思いますが、上記の条件に当てはまれば、社内の呼び名に関わらずパートタイム労働法の対象となります。 

 

 

改正ポイント1 パートタイム労働者の公正な待遇の確保

正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者について、改正前は以下のように提起されていました。

 

  1. 職務内容が正社員と同じであること
  2. 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同じであること
  3. 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であること


今回の改正では③の条件が除外され、上記①、②に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者でも、正社員との差別的取扱いが禁止されることになります。


ここでいう「差別的取扱い」とは賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用をはじめとした、全ての待遇についてです。
つまり、正社員と同様の職務の責任や異動が伴うパートタイム労働者に対して「有期契約期間を結んでいる」という条件だけでは、賃金等の差をつけることは出来なくなります。

 

改正ポイント2 パートタイム労働者の納得性を高める措置
事業主がパートタイム労働者を雇用したときの説明義務の新設

パートタイム労働者を雇用したときには、事業主は実施する雇用管理の改善措置の内容について、きちんと説明をしなければならなくなりました。
説明内容の例としては以下の通りです。

 

  • 賃金制度はどうなっているか
  • どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるか
  • どのような正社員転換推進措置があるか 

 

パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設

上記の雇入れ時の説明に加えて、今後はパートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備が必要となります。
具体的には、相談窓口を設置して担当者を決める、もしくは事業主自身が相談担当となり対応することです。
窓口を設置したら、パートタイム労働者の雇い入れ時に文書の交付などで明示しなければなりません。


これまで明示が義務となっていた項目は、昇給・賞与・退職手当の有無でしたが、この明示の文書に窓口を追記し、パートタイム労働者がいつでも確認出来るようにすると良いでしょう。

 

 

改正ポイント3 パートタイム労働法の実効性を高める規定の新設

これらの規定に違反している事業主に対して、厚生労働大臣が是正の勧告をした場合に、事業主がこれに従わなかったときは、事業主名を公表することが出来る規定も新しく創設されました。


また、パートタイム労働法の規定に基づく報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は20万円の過料に処せられますので、注意して下さい。

 

おわりに

いかがでしたか?
冒頭でもお伝えしましたが、今やパートタイム労働者の活用は企業にとって非常に重要な要素ではないでしょうか。


改正法の施行まで半年を切りました。
事業主の皆さんは施行までにきちんと体制を整え、パートタイム労働者に納得して十分に活躍していただきたいですね。 

 

 
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