1100℃のガラスを操る、吹きガラスの美麗世界!作り方の特徴と製作工程を紹介 (1/2)
こんにちは、ガラス工房ぐらすたTOMO代表、吹きガラス作家の水口です。
主に、吹きガラスの作品を製作しています。
今回は、この吹きガラスについてご紹介したいと思います。
茶道具。模様はオリジナルの技法。
吹きガラスとは、約1100℃の熱で水飴状になったガラスを、ステンレスのパイプの先に巻き取り、息を吹き入れ成形していく技法のことです。
この技法は、どこで誰が始めたのかははっきりしていません。
現在、吹きガラスには多くの素材や技法がありますが、根本的な制作方法は古代から変わっていないそうです。
特徴は、何といっても息を吹き入れて成形していくこと。
他の素材ではない方法です。
しかも、たった1日で完成するのは魅力的だと思います。
現在、ガラス自体も様々な種類があります。
代表的な物だと、耐熱ガラス、クリスタルガラスやソーダガラスでしょう。
吹きガラスで使用しているのは、セミクリスタルと呼ばれるガラスです。
鉛を含まない、透明度の高い工芸用ガラス。
作業効率の良いように、アシが長く(柔らかい状態が長く、長時間加工できる)、多くの色ガラスが使用可能です。
ガラスには膨張係数と言う値があり、係数が合わない物を使用すると自然に割れてしまいます。
吹きガラスのガラスは、専用の調合をされた物なのです。
耐熱ガラスは、約2000℃以上でないと熔けません。
これだけの高温に耐える熔解炉(ガラスを熔かしている炉)は、制作するのも維持することも非常に大変です。
現在、多くの吹きガラス作品が耐熱ガラスではない理由の1つになっています。
クリスタルガラスは、ソーダガラスとは膨張係数が大きく違うため、使用可能な色が限られています。
その反面、透明度、偏光率が非常に優れているため、高級なガラス食器などに使われています。
身近な物ですと、切子ガラスなどがあります。
身近なガラスと言えば、窓ガラスやお酒などの瓶がありますが、これらのガラスはより工業的なガラスです。
実際に熔かしてみると非常にアシの短い(柔らかい状態から固まるまでが早い)ガラスでした。
これは、機械制作での作業効率を高めるために、より早く冷めやすいガラスを使用し、変形させない目的のためだと思われます。
同じように見える透明なガラスでも、色々な種類があるのです。
グラスができるまでの制作工程を、簡単にご紹介します。
1.
吹き竿と呼ばれるパイプに、熔けてドロドロになっているガラスを巻き取ります。
2.
息を入れ下玉と呼ばれる、少し膨らませた形に成形。
3.
この下玉の上にもう一度ガラスを巻き取り、紙リン(新聞紙)を使い上玉といわれる形に成形。
4.
再び息を入れ大きくしていく。
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岡山県倉敷市で吹きガラス工房「ぐらすたTOMO」を運営しています。
工房では、吹きガラス体験などガラスにふれあえる様々な体験をして頂けます。
HP>http://www.glass-minakuchi.com/
食器からオブジェなど、独自の表現を使い制作した作品を、定期的に開催する個展で発表しています。
18歳からガラスの魅力にとりつかれたままです。
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