お試し採用、ハローワークの「トライアル雇用」とは?就職面接時とのミスマッチを防ぐ助成金制度
みなさんこんにちは。さとう社労士事務所の一安裕美です。
「採用をしたのに、社員がすぐに辞めてしまった」
「面接時と違って、会社の風土に馴染まない人だった」
こんな経験のある人事担当の方、いらっしゃいませんか?
限られた面接時間の中で、応募者の本質を見極めることは難しいですよね。
求職者の方も同じだと思います。
このようなミスマッチを防ぐためにも、「トライアル雇用」という制度をご紹介します。
企業がハローワークや職業紹介事業者等の紹介で、一定の条件に該当する人を最大で3ヶ月試行的に雇い入れ、その間にその方の働きぶりから適性や業務遂行能力等を見極め本採用するかどうかを決めることができる制度です。
短期間ですが実際に仕事をしてもらうことで、書類や面接だけでは分からない資質なども見ることができます。
また、トライアル雇用をした企業に対して、従業員1人につき月額4万円(※出勤率が75%以上の場合)が奨励金として支給されます。
次の条件に当てはまる求職者が、トライアル雇用の対象者となります。
- これまでに就労の経験のない職種や業務に就くことを希望する人
- 過去2年以内に2回以上離職・転職を繰り返している状態にある人で、今後長期的に安定した就業を希望する人
- 直近で1年を越えて失業している人(パートやアルバイトで就業している場合は含まれません)
- 母子家庭の母、父子家庭の父、学卒未就職者、育児ブランク者、生活保護受給者など就職の援助を行うにあたって特別の配慮を要する人
求職者の方にとっては、未経験の職種や正社員登用に向けたチャンスが広がる制度といえますね。
企業側は、トライアル期間に応じて最高月額4万円の奨励金を最大で3ヶ月分受給できます。
申請までのステップは次の4つです。
求人票を提出するときに、トライアル雇用奨励金対象の求人を希望することを伝えます。
トライアル雇用の場合、書類選考はなくすぐに面接となります。
面接の結果、「この人に働いてほしい」という人が決まったら、トライアル雇用の開始です。
開始から2週間以内に、ハローワークへ「トライアル雇用実施計画書」を提出します。
この計画書には、以下などを記載します。
- 常用雇用に切り替わる際に求められるレベル
- 具体的な目標
ハローワークへの提出はもちろんですが、雇い入れた従業員に対しても「常用雇用されるには何が必要なのか。どういった目標をクリアすればよいか」をきちんと説明するようにしてください。
あとから「面接時と条件が違う」といったトラブルを防ぐことができます。
トライアル期間中は企業と従業員がお互いに理解を深め合う期間ですので、有効に活用しましょう。
最長3ヶ月のトライアル期間が終了したら、本採用の可否を決定します。
ここでも一方的に結果のみを従業員に伝えるのではなく、トライアル開始時に立てた目標の達成状況はどうだったか、従業員と面談し一緒に確認することが大切です。
きちんと面談の場を設けることで、本採用に至らなかったとしても従業員側も納得して結果を受け入れることができるでしょう。
トライアル雇用が終了したら、2ヶ月以内に「結果報告書兼雇用奨励金支給申請書」という書類をハローワークへ提出します。
雇用をしていたことの証明として、出勤簿や賃金台帳の添付も必要になります。
- 従業員の1週間の所定労働時間は、30時間以上であることが必要です。
- トライアル期間終了後に本採用にならなかった場合でも奨励金は支給されますが、トライアル期間中に事業主都合の雇い止めがあった場合は、支給の対象となりません。従業員側から退職した場合は、実際に雇い入れていた期間が奨励金支給の対象となります。
- 「事業主都合の雇い止め」の有無は、トライアル雇用者だけでなく他の雇用保険の被保険者も含みます。
企業側、求職者側が共にお互いを理解した後に、正社員として働き続けるか見極められるこの制度。意欲のある方に長く働いていただくため、活用してみてはいかがでしょうか。
トライアル雇用と通常の求人を併用して募集することもできますので、採用担当者の方は管轄のハローワークへ一度相談してみるといいかもしれませんね。
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