新しい葬式スタイル「家族葬(家庭葬)」とは?身内だけで行う葬儀のメリット・デメリット

執筆者: 中山寒稀 職業:お葬式、終活ガイド
はじめに

今や、お葬式のスタイルとして定番になりつつあるのが「家族葬」。

ごく親しい人だけのアットホームなお葬式、というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。


しかし、イメージだけに惑わされていると、家族葬の意外な現実が待っているのです。

陥りがちな家族葬の落とし穴

家族葬には気を付けるべきポイントがあります。

 

  • 人間関係があからさまになりやすい。
  • 理解を得られない場合がある。
  • 個別の自宅弔問客が増える。
  • 費用負担の軽減はあてにならない。

 

あからさまになる人間関係

「弔意を持った方が自らの意思で訪れる」というのが、今までのお葬式のスタイルです。

つまり、参列をするかどうか決めるのは訪問する側でした。


ところが、家族葬は招待制。
遺族側が参列する方を選択することになるのです。


そうなると、参列できないことを「拒絶された」と感じる方もいますし「あの人は参列したけど、自分には声が掛からなかった」など、故人や遺族との関係が明白になることに。

 

 

理解されない

従来の伝統的なお葬式スタイルを重んじる方の中には「家族葬は非常識」と感じることが少なくありません。

 

自宅弔問客が多い

無事にお葬式が済むと、今度は、参列したくてもできなかった方が個別で自宅弔問に訪れます。

家族葬は、一般的なお葬式よりも自宅弔問にお見えになる方が、かなり多くなることは覚悟しておいた方が良いでしょう。

 

費用は軽減されない

家族葬は費用が抑えられるというのは間違った認識。

 

確かに、香典返しや通夜ぶるまいなど、参列してくださる方に掛かる費用は抑えられるため、葬儀業者の請求書の額は少なくなります。


しかし、お香典を頂きませんし、お布施や棺などお葬式のスタイルによって変わらない費用も多く、トータルで考えると費用が軽減できるとは言い難いのです。

家族葬の抑えるべきポイント

家族葬を行う際は、事前の打ち合わせや根回しをしておきましょう。 

 

  • 訃報は安易に広めない。
  • 根回しはしっかりと。
  • 自宅での家族葬は避ける。
  • 予定外に訪ねてきた方、供花、お香典などの対応は統一する。
  • お葬式後の個別の自宅弔問は予定しておく。

 

訃報を広めない

家族葬を望む場合、訃報を伝える相手は最小限に留めることが必要です。
訃報は意外なほど早く広まります。
予定外の弔問客がたくさん来てしまい、その対応で心身共に消耗してしまったというのはよくある話です。

 

根回し

参列して頂く方、勤務先の方、迷惑を掛ける方など、必要な方に限定して訃報を伝えます。

また、それと同時に家族葬をする主旨と、お葬式が済むまでは口外しないようお願いをしましょう。


この時、口うるさい身内や近所のまとめ役などにあらかじめ相談して、納得してもらっておくとスムーズにことが運びます。

 

自宅外での家族葬を

自宅での家族葬は、訃報を安易に広めることになるばかりではなく、ご近所に余計な気を使わせることにもつながります。

自宅以外を会場としましょう。

 

弔問客への対応方

弔問客が来てしまった場合や、届いた供花、弔電などの対応は事前に決めておくこと。
相手によって対応を変えると収拾がつかなくなるうえに、後々の人間関係にひびが入りかねません。 

 

お葬式後の自宅弔問

お葬式後の自宅弔問は、むしろ「故人の思い出話ができる」と割り切って対応することが必要です。

 

 

おわりに

故人の死を悼みたいのは、家族ばかりではありません。

 

なぜ、家族葬を選択するのか。
果たして家族葬が可能な状況なのか。

 

メリット、デメリットを知った上で、家族葬の選択をお勧めします。

 
 コラムニスト情報
中山寒稀
性別:女性  |   現在地:埼玉県  |   職業:お葬式、終活ガイド

ライター、ドクターズクラーク、ファイナンシャルプランナー(CFP)の中山寒稀(なかやまふゆき)です。
主に健康、終活について書いております。

製薬会社退職後、保険代理店を経験し、ライターに転身。

著書:『人が死ぬということ
   …必ず起こる!弔いの「想定外」悲喜劇』(主婦の友インフォス情報社)
ブログ:ひだまりすずめ 中山寒稀のブログ
    http://fuyuci7.exblog.jp/