ストレスやイライラに効く漢方薬5選!精神を安定させる漢方効果まとめ

執筆者: 田伏 将樹 職業:薬剤師(漢方薬・生薬認定薬剤師)
はじめに

こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。

 

気温が上がって昼の時間が長くなり、ぽかぽか陽気に誘われる春。
植物は、一斉に土から顔を出して上向きに成長します。

 

今回は、そんな春に感じるストレスについてのお話しです。

 

陽気な春に感じるストレス

陽気と言う言葉、まさに「陽」という活動的な「気」が増えるので、何かを始めたくなる季節。
その一方で、春はストレスの多い季節でもあるのです。

 

環境の変化がもたらすもの

就職、入学、歓迎会、花見など多くのイベント事がありますし、引っ越しや配置換えで環境が大きく変化した方もおられるでしょう。

新しい人間関係が生まれ、それに伴ったストレスが生じることも多いものです。

 

 

肝とストレスの関係

東洋医学では、ストレスに対応するのは五臓のうち「肝」と考えています。

肝には、気の流れを調整する働きがあるのです。

 

イライラの原因も肝にある

春は、肝の働きが活発になると言われていますが、ストレスが多過ぎる時には、肝が障害を来たしてしまいます。

肝は怒りの感情と結びつきが強いため、過剰に働き過ぎると、心の安定が乱れていつもイライラし怒りっぽい状態になってしまうのです。

 

「肝」の不調は、西洋医学の「肝臓病」と言うことではありません。

 

肝の不調に効く漢方

「柴胡」という生薬が、ストレスによる肝の不調に効果があります。

そこで、柴胡が含まれていて、イライラに使える漢方薬を少し紹介しましょう。

 

「抑肝散」(よくかんさん)

抑肝散は、その名前からも分かるように、肝の不調による気の高ぶりを抑えるという漢方薬です。

 

元々は、子供が夜泣きをし、そのせいで親が眠れずにイライラしてまた子供に強くあたってしまう、という悪循環がある時に、親子に同時に服用されていた歴史があります。
現在でも、子供から高齢者まで幅広く使われている漢方薬です。

 

抑肝散は、自制がきかずストレスの対象に対して直接的に怒りをぶつけてしまう人にお勧めです。

 

 

「加味逍遙散」(かみしょうようさん)

更年期障害や月経前のイライラによく使われる漢方薬ですが、男性が使っても問題ありません。

思うようにいかない、分かってくれないなどの「不満」があると、イライラします。

そんな自分の置かれた環境が嫌で、ため息も多いことでしょう。

 

抑肝散と同様に、怒りっぽい状態に対して使いますが、怒りの質によって抑肝散と加味逍遙散を使い分けましょう。

 

加味逍遙散は、直接怒りをぶつけてもどうしようもないことが分かっていて、ネチネチと愚痴を言って責めてしまうタイプに使います。

 

「柴胡加竜骨牡蛎湯」(さいこかりゅうこつぼれいとう)

竜骨と牡蛎には、鎮静作用があり、自律神経を安定させる漢方薬です。

 

体力はある方なので仕事が多くても無理をしてしまう、責任感のある仕事を任されている、職場の人間関係に悩みがあるなどでストレスがたまり、自律神経のバランスが崩れてきます。
眠りが浅いと不眠になったり、円形脱毛症ができることもあるのです。

 

 

その他のお勧め漢方

柴胡は含まれませんが、イライラに効くその他の漢方薬もご紹介します。

「黄連解毒湯」(おうれんげどくとう)

イライラしたら、血圧が上がって顔を赤くし、目が充血するような人に使われます。

頭の熱感を、下へおろして冷ましてくれる働きです。

「安中散」(あんちゅうさん)

ストレスによる胃痛に使われます。

冷えると、胃が痛い人に適します。

 

体の外にも現れるイライラ

イライラしている時は、頭に気が過剰に上ってしまっていて、気が上手く流れていない状態です。

頭に溜まった過剰の気を、下の方や外側に発散しようとする体の反応があります。

 

  • 外側への反応:自然と出るため息・生あくび・じんましん・発汗など
  • 体の下の方向への反応:貧乏ゆすり・腹痛・下痢など

 

人によって反応は様々ですが、イライラを抑えようとする防衛反応とみることができます。
体の変化に早めに気付き、イライラが高まる前に気分転換して気を発散させましょう。

 

おわりに

始まりの季節だからと無理をし過ぎないようにして下さいね。

もし不調を感じたら、ご紹介した漢方を上手く利用して、この時期を乗り切りましょう。

 

すべての症状が紹介している漢方薬だけで治せることはなく、間違った使い方をすると却って悪化することもあります。服用時には専門家に相談の上、ご使用下さい。