スズメバチに襲われたら?逃げ方と刺された後の対処法
前回、山岳探険での危険動物としてヒグマと毒ヘビを特集しましたが、国内で一番被害例が多いのはスズメバチで、被害者は年間数千人とも云われ、そのうち20人前後が亡くなっている危険生物です。
住宅地やキャンプ場、公園のゴミ捨て場などでも見かけることがあり、生息も広範囲で油断できません。
国内では3属17種類が全国に分布しており、大きさは種類によって違い15mm~45mmほどです。
木の幹や地中、山林ほか、民家の屋根裏や物置と、何処にでも巨大な巣を作り、ちょっとしたハイキング等でも遭遇する時があり、近づくと集団で襲う厄介な存在です。
特に観光シーズンとぶつかる7~8月の暑い時期に活発化し、気性も荒くなるので被害例も多いようです。
TV等でも完全防備で駆除するシーンがよく放送されていますが、それほど危険なのです。
山岳では絶対に会わないというのは、ほぼ不可能なので、次のような対策を講じてください。
- 長袖で白系の服を着る
黒や赤系は襲われやすいことが分かっているので、避けましょう。
- 匂いの強いものは身に付けない
強い匂いは、花だと思われて蜂が寄ってきます。
- 頭部保護と髪を隠す意味で、帽子を被る
なお、服装は、長袖の上に半袖が基本です。(野球のユニフォームと同じ)
また、意外に有効なのは自衛隊員が着ている迷彩柄の服のようです。
隊員は山林で演習を行いますが、蜂に刺されたという被害はあまり聞きません。
ほか、虫刺され薬、水も忘れずに持参しましょう。
ちなみに、スズメバチに、虫除けスプレーなどは殆ど効果はありません。
山中などで運悪くスズメバチを発見した時は、態勢を低くしてゆっくり離れること、基本的に巣から50m以上離れると襲ってこないと言われています。
巣から10m~20mくらいには偵察の蜂が、「ブーン」と羽音を鳴らしながら飛んでおり、この時点で気付いて離れれば、まず大丈夫なので、下手に叩いたりして刺激しないことが大事です。
こちらが気付かない場合、スズメバチは、これ以上近づくなと言う意思表示で「カチ」「カチ」と警告音を発し、遅くともこの時点で離れれば、襲うことは少ないと言われます。
ただ気をつけていても、誤って近づいてしまい、襲われたらどうするか?
そんなときは、逃げるしかありません。
集団で襲ってくるので、頭と首筋を守るように態勢を低くし、地面や草むらを這うように急いで逃げましょう。
蜂の視界は意外に狭く真下は殆ど見えていないそうです。
頭や首を刺されると、激痛で顔やリンパが腫れあがり重症化する可能性があるので注意してください。
さて、注意していても運悪く刺されてしまった場合はどうするか?
まずは「落ち着いて救急車を呼ぶ」、次に「傷口を冷水で洗い、手で毒液を絞り出す」、これだけでもかなり有効です。
つぎに患部を冷やして、虫刺され薬を塗ること、よく言われるアンモニアは、全く効果は無いようです。
毒針も、出来ればピンセットなどで抜いたほうが良いようですが、無理は禁物です。
刺されると患部は腫れあがり、10~15分ほどで寒気や目まいなどの症状がでますが、落ち着いて安静にします。
また、症状が直後に出ない場合や痛みが無い場合も、1日後に出るケースもあり、個人差があるため、大至急病院へ行ってください。
ヘビ毒のような血清は無いので、早期治療が大切です。
以前スズメバチに刺された経験があり体内に抗体を持っていたり、アレルギー反応が出た場合は、30分以内に、上記症状と呼吸困難などのショック症状が現れます。
死亡例の殆どは、このケースです。
とくに大型のオオスズメバチは、他よりも強い毒針を持っており、毎年事故が絶えません。
いち早く、救急施設での処置が必要です。
他に蜂としては、熊蜂とミツバチがいますが、いずれも大人しいので、近づいても刺激しない限り襲われることは少ないようです。
山岳や森林には様々な危険がありますが、より良い準備を怠らないことが楽しむコツです。
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北海道を中心に、地底の鍾乳洞から山奥に眠る滝や秘湯、遺構(炭鉱、鉱山跡)など誰もが行けない秘境を探検する、あくなきチャレンジャー。
気力、体力、技術に大事なのは時の運、単独行は危険です決してマネはしないでください。
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