今こそ書道で日本文化を味わおう。初心者におすすめの道具の揃え方

執筆者: 福田玉庭 職業:書道師範
はじめに

こんにちは、書道師範の福田玉庭です。

 

独学で書道を学ぶ方法(基本~創作)をご紹介致します。
今回のテーマは、道具の揃え方です。

 

書道の学び方の概要

書道でも何でもそうですが、まずは基本が大事です。

基本を習得した上で「自由に書く=創作」が出来る様になります。

 

どんなベテランの方でも、基本=古典の臨書を何度も何度も練習するのはその為です。
先人の書き方を学び、自分の中で昇華させ、自分の作品にしていきます。

 

 

まずは、とても大事な基本の学び方です。

書道の道具を準備する
書道を始める為に最低限必要な「文房四宝」(ぶんぼうしほう)

それは、筆・紙・硯・墨の4つの道具の事です。

 

無数の種類があるので、選別が難しいかもしれませんが、高価でなくても使いやすい物を選ぶといいでしょう。
お店の人に相談し、定番の物を紹介して頂くのもいいと思います。

様々な筆の中から、自分に合う物を見つける

筆には毛の種類、硬さ、長さ、産地…と多種類ですが、まず揃えるならば、小学生の時に学校で使用したような、半紙書きに適する大きさの筆がいいでしょう。

 

  • 毛の長さ:「中鋒」(ちゅうほう)
  • 毛の硬さ:兼毛(けんもう)*茶色  /羊毛(ようもう)*白色

 

大人の方であれば、柔らかく墨含みがよい羊毛がお勧め

慣れるまで筆の扱いが難しいかもしれませんが、最初の段階から感覚を掴んでいかれるといいと思います。

小さいお子様の場合は…

筆を強く扱ってしまい、すぐに割れてしまう恐れもある為、最初は比較的傷みに強い兼毛がよいと思います。

練習用には「半紙」を使う

紙も原材料により書き味が大分異なりますが、まずは市販されているものでよいでしょう。

色々と書き試していくうちに、紙質の違いを感じるようになり、自分に合った紙が見つかると思います。

 

価格帯の広い硯(すずり)

硯は、日本中国の主に山あいにある「石」で作られています。

硯こそピンからキリまで価格帯も幅広く、消耗しないという点でも骨董的価値が高く、硯が最重要という意見もあります。

 

良い硯の条件とは

滑らかでよく墨がおり、墨色の良い物です。

 

表面がざらついていると、いくら固形墨がよくてもいい墨色が出ません。

大人の方でしたら、数千円~の価格帯、中鋒でも使える様な大き目の硯が一つあるといいでしょう。

 

または小筆専用、持ち運びも楽な小さ目の硯でも良いです。

漢字の練習には墨汁でOK
硯に水を垂らして墨を磨る

これが書道の基本スタイルではありますが、墨を黒く磨るには時間もかかり、墨の種類により真っ黒には中々ならないものです。

固形墨は、主に「淡墨」(たんぼく)用として、その淡い色合いを必要とする場合に使用するとよいでしょう。

 

小筆書きには磨った墨を使用しますが、漢字の練習には墨汁でよいです。

「墨を磨る」という時間

これは伝統的なものであり、その時間こそ「心を落ち着かせる時間」でもあります。

また、墨の匂いは五感を刺激してくれるものです。漢字には墨汁、小筆書きには固形墨、と使いわけてもよいでしょう。

墨の種類

松を焼いたススを使う「松煙墨」、油を焼いた「油煙墨」、鉱物を焼いた「洋煙墨」などがあります。

 

また、年数を経ると質のよい色に変化していくものもあります。

淡墨を目的に使用するならば松煙墨がお勧めですが、初心者の場合は特にこだわらず、手頃な「一般的」なもので十分です。

下敷き

厚さが1~3mmとありますが、墨汁をはじきやすい2mm以上がよいです。

 

文鎮

軽すぎないものがよいです。

おわりに

中国、日本の長い歴史の中で育まれてきた「書道」文化。

道具もそれに伴い、とても精巧に高い技術により生まれています。ただ、道具は良い物を求めると上限はなく、最低限の物だと良い「書」も書けず「感覚」が掴めません。

 

最初は定番な手頃なものから練習を積み、見る「目」、「感覚」を養っていくとよいでしょう。

 
 コラムニスト情報
福田玉庭
性別:女性  |   職業:書道師範

「伝統的な」書道を追求しつつ、書に書画を取り入れたデザインの制作もしています。
古典や歴史を学びながら、日々書道を精進
書道教室「書の庭」を埼玉県越谷市で開塾
ウェルカムボードのネットショップ「あとりゑ玉響」運営
URL http://gyokuteifukuda.com

 

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