地震や津波など、自然災害が原因でも労災は下りる?通勤災害の認定基準
こんにちは、社会保険労務士・防災士の安 紗弥香です。
国内国外で多発している巨大地震、昨今の異常気象、火山運動など、自然災害はいつどのように起こるのかはわかりません。
今回は自然災害が発生した際の、通勤災害認定について見ていきます。
この場合の通勤とは、就業に関し以下の合理的な経路および方法で行うことで、業務の性質を有するものを除く、とされています。
- 住居と就業場所の往復
- 就業の場所から、他の就業の場所への移動
- 単身赴任先住居と帰省先住居の間の移動
従来、災害に関しての通勤災害は認められにくかったのです。
ですが、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災といった未曾有の大災害発生により、その対応の緩和がはかられてきました。
(1)自宅が津波により被災。避難所から職場に通っている途中でケガをした場合は?
避難所が「住居」になるので、通勤災害になる。
(2)会社から帰宅途中で津波警報が。避難所に向かう途中でのケガは?
警報が出て避難をすることは、通勤に通常伴う行為となるため、通勤災害になる。
(3)地震で電車が止まったため、歩いて帰ることに。その途中でのケガは?
普段通勤で利用している電車が使用できず、歩いて帰らざるを得ない場合には、通勤として認められる。
厚生労働省「東北地方太平洋沖地震と労災保険のQ&A」より
しかし、(3)の場合、途中で買い物に立ち寄ったり、食事に行ったりすると、「逸脱」という扱いになります。
その後帰路につくまでに負傷などをしたとしても、通勤災害とは認められないため、ご注意ください。
過去の事例で認められないと最初から諦めず、まずは労災申請を行うことをお勧めします。
認められたケース
- 自社の社員が、被災して入院中の家族の看護を行うために寝泊まりしている病院から職場に行く途中でケガをした場合
- 通勤中の災害発生により命を落とした場合
認められなかったケース
- 災害発生時、途中で人命救助を行っているときに新たな事故に巻き込まれた場合
いつ社員が自然災害に巻き込まれるかわかりません。
通常の通勤や業務中はもちろん、こうしたケースでも労災保険を有効に活用していただきたいと思います。
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