無駄な残業・拘束時間を減らそう!仕事にメリハリがつく「変形労働時間制」のメリット (1/2)

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
はじめに

こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の一安裕美です。

今回は労働時間について考えてみたいと思います。

 

基本的な労働時間

「1日8時間、1週間40時間(※一部の特例措置対象事業場は週に44時間)。この時間を超えた場合は、割増賃金の支払いが必要。」という事は皆さんご存知かと思います。

 

しかし、労働時間は決まっていても、実際の業務量は時期によってばらつきがある場合も多いのではないでしょうか?

 

会社側と従業員側の求める働き方

この様な場合従業員にとっては、業務量が忙しい時は時間外労働が増え、反対に業務量が少なく手が空いてしまっている時でも、所定労働時間は拘束される。

 

会社にとっては、時間外労働に対する割増賃金を支払う時間が発生し、実際に業務をしていない手持ち時間分も賃金を支払う事になると、お互いにとってあまり合理的ではない気がしますよね。

 

 

合理的な働き方をする為に

そこで、労働基準法でもこのような事態を考慮して、業務の繁忙期と閑散期によって労働時間を弾力的に運用する「変形労働時間制」という制度を、会社が導入する事を認めています。

 

変形労働時間制の概要

変形労働時間制は、一定期間内の労働時間を平均して、週40時間以内とする事により、割増賃金を支払う事なく、特定の日や特定の週に法定労働時間の原則を超えて、労働させる事が出来る制度です。

 

雇用主と従業員お互いのメリット

この制度を使って、業務の繁閑に合わせて労働時間を設定すれば、時間外労働(残業)を削減する事が出来ます。

従業員にとっては閑散期は拘束時間が少なくなり、メリハリのある働き方が出来るメリットがありますね。

 

 

変形労働時間制には、全部で4つの制度があります。

それぞれ要件がありますが、ここでは名前と大まかな内容を説明したいと思います。

 

1か月単位の、変形労働時間制

月末、月初、特定の週が忙しいなど、1か月のうちに業務の繁閑がある場合や、週休2日制を実施出来ない会社に有益といえます。

 

1年単位の、変形労働時間制

会社が定めた1か月を超え、1年以内の一定期間(対象期間)を平均して、1週間あたりの労働時間が40時間以下になっていれば、40時間を超える週や8時間を超える日があっても、時間外労働として取り扱わなくてもよいという制度です。

 

季節的に忙しい時期が決まっているなど、1年のうちに業務の繁閑がある場合や週休2日制を実施出来ない場合において、有益といえます。

 

フレックスタイム制

1ヶ月以内の一定期間(清算期間といいます)の総労働時間をあらかじめ決めておき、従業員がその枠内で各日の始業と終業の時刻を自主的に決定して働く制度です。

割増賃金の支払いが必要な時間外労働は、清算期間における法定労働時間の総枠を越えた時間のみとなります。

 

従業員が自ら働く時間を決められますので、業務の都合や私生活とのバランスをとって働く事も出来そうですね。

 

コアタイムとフレキシブルタイム

1日の中で、必ず勤務しなければいけない時間帯(コアタイム)と、その時間帯のなかであればいつ出社や退社をしても良い時間帯(フレキシブルタイム)を分けて運用している企業が多いようです。

 

 

1日のすべての労働時間帯をフレキシブルタイムとする事は可能ですが、ほとんどの時間帯がコアタイムでフレキシブルタイムが極端に短い場合などは、始業と終業の時刻を従業員が決定する事になりませんので、フレックスタイム制とは言えません。

 

1週間単位の、非定型的変形労働時間制

この制度は、適用出来る従業員の規模・業種がかなり限定されています。

 

具体的には

「日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、かつ定型的に定まっていない為、就業規則等により各日の労働時間を特定する事が困難な事業とされる、常時使用する労働者が30人未満の小売業・旅館・料理飲食店の事業」に限るとされています。

変形労働制が適用出来ない者がいるので、注意が必要

次に該当する人は、フレックスタイム制を除く変形労働時間制の適用が出来ない決まりになっていますので、注意が必要です。

 

 
 コラムニスト情報
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