フランス パリの治安の悪い地区と旅行中の注意点

在フランス日本人による、フランスパリにおける治安の悪いエリアと、観光客が被害に遭いやすい犯罪手口、意識したい防犯術を紹介します。

執筆者: taneko 職業:フランス旅行アドバイザー
フランス パリの治安の悪い地区と犯罪手口、意識したい防犯術

世界中で人気の観光都市フランス、パリ。

美しい街並み、美術館、ファッション、グルメとその魅力は尽きません。

 

しかし残念なことに、パリの治安は決して良いとはいえません。

スリなどを始め多くの犯罪が発生しています。スリに遭うと警察に行ったり時間を取られるだけでなく、精神的なショックもあって、折角の旅行が台無しになってしまいます。

 

安全に楽しい旅行にするために、パリの治安の悪い地区の紹介と、旅行中の注意点についてお伝えします。

 

 

パリで治安の良い地区・悪い地区

パリは、中心部から渦巻き状に1区~20区まであります。

 

カルチエ(区画)によって貧富の差がはっきりしていて、大まかに言うと、西→南→東→北の順で治安は悪いです。

お金持ちのフランス人が住む高級住宅地は7区、8区、16区に集中していて、逆に移民が多く住む18区、19区、20区は、ここはパリ?と戸惑うくらい、雰囲気も全然違います。

 

 

一昔前は、日本人は安全な地区のホテルにしか泊まっていませんでしたが、近年のツアーの格安化で、ホテル代の安い危険な地区のホテルに泊まる日本人が増えており、このことが被害に遭う確率を高くする要因となっています。

 

治安の悪い地区では観光客、とりわけ日本人は大変目立ち、格好のターゲットとなってしまいます。

バッグを斜め掛けにしたり気を付けていても、ナイフで切られ盗まれたという人にも会いました。

ですので、18、19、20区のホテルは安くても絶対に避けてください。

 

お勧めの地区は、観光やショッピングにも便利なパリの中心部1区、6区、7区、8区辺りでしょうか。

また、公共の交通機関、特に便利なメトロ(地下鉄)の駅に近いかも確認しましょう。

安全な地区でも、人通りの少ない小さな通りをかなり歩かなければいけないホテルは、お勧めしません。

 

パリ旅行中の注意点:服装

旅行中、宿から出掛ける前に、防犯対策は万全か今一度チェックしましょう。

 

現金は小分けにしておく

現金は数か所に分けて持ち歩きましょう。

大金は持たず、支払いはカードでしましょう。(注意:フランスでカードを使う場合は、暗証番号が必要です。)

 

貴重品は体の一部として肌身離さず持つ

現金、クレジットカード、パスポートなどの貴重品は、小さなポシェットなどに入れて、肌身離さず持つのがベストです。

絶対にズボンの後ろポケットに財布は入れないでください。

今は便利な防犯グッズがいろいろ出てますから、ぜひ利用しましょう。

 

バッグに荷物を入れる順番、斜め掛けのポイント

バッグは、チャックなどできちんと閉まるものを選び、財布や携帯電話はバッグの一番下の方に入れましょう。

斜め掛けのバッグは、夏以外はコートやジャケットを羽織り、紐を隠すようにします。

 

リュックは前に持つ

リュックサックは前に持つか、後ろに背負う場合は貴重品は入れないでください。

肩掛けバッグや手に持つバッグは後ろからパッと取られやすいので、お勧めしません。

 

貴重品は「フロントの」セーフティボックスへ

貴重品は、ホテルの部屋のスーツケースやセーフティボックスの中に置かない方が無難。

ホテルのスタッフが盗む場合があります。

フロントのセーフティボックスなら安全でしょう。

 

個人旅行はもちろんですが、ガイドさんが一緒のツアーでもスリの被害に遭う方も多いようです。

絶対に油断せずに、十分に注意してください。

 

旅行中の注意点:移動中
地下鉄(メトロ)にはスリがたくさん

 

メトロ(地下鉄)の中やホームは一番スリが発生しやすい場所です。

犯人は若いロマ(ジプシー)の集団で、大抵は女の子ですが、時々男の子もグループの中にいます。

スリ集団の女の子達は小奇麗にしているので、パリの人にはすぐわかるのですが、観光客にはわかりにくいようです。

 

彼女らは、特に混雑した車両内でバッグの中から財布などを盗みます。

いくら混んでいるとはいえ、必要以上に身体を押し付けてくる人には注意してください。

若くても盗みのプロですから、知らない間にチャックを開けて、貴重品を盗み出します。

混雑している時は特にバッグは自分の手で押さえて、すぐに気付くようにしておきましょう。

 

親切心を装って近づいてくる輩には注意

スリ集団は観光客やお年寄りに親切を装って話しかけてきます。

絶対に関わらないで、すぐに離れてください。

少しでも相手をするとしつこく追ってきます。

 

話かけて気を引きながら、別のメンバーがバッグの中から盗むという手口です。

観光に便利な1号線は特にご注意ください。

 

道路・路地は車道から遠いところを歩く

 

路地や通りを歩くときは、まず車道から遠いところを歩きましょう。

後ろからバイクで紐を掴まれ、引きずられた人の話を聞いたことがあります。

そして、なるべく人や車の通りが多い大きな道を選んで歩いてください。


これは昼間でも治安の良い地区でも同じことで、人通りの少ない道では、ひったくりや運が悪いと暴行を受けてしまう可能性があります。

暴行を受けそうになった時は、残念ですが抵抗せずにバッグは渡しましょう。

お金よりも命の方が大事なのは、言うまでもありません。

それから、現金はもちろん、携帯電話も通りでは出さないでください。

特に高く売れるiPhoneは危険です。 

 

旅行中の注意点:観光地

 

治安の悪い地区以外の、人気の観光地でも十分にスリに気をつけてください。

 

ロマのスリ集団は、観光客に「Do you speak English?」と話しかけて、署名を求めてきます。

凱旋門、エッフェル塔、ルーブル美術館、コンコルド広場をはじめ、特にオペラ座界隈での被害が多いようです。

 

彼女らの目的はスリですから、すぐに離れてください。

最近は悪質化してきて、「No」と言っても取り囲んだり、バッグに手を掛けてきたりします。

断固とした態度で大声を出したりして(日本語で構いません!)、素早くその場から離れてください。

 

レストランやホテルでも置き引きが多発してる

また、レストランやホテルでは、置き引きに気を付けてください。

日本では席を取るために荷物を置いたりしますが、これは絶対にタブー。

「取ってください」と言ってるようなものです。

 

トイレに立つ時も持っていくか、連れの人に見ててもらいましょう。

 

パリ北部の治安

 

治安の悪いパリ北部にも三つの有名な観光名所があり、訪れる際は更なる注意が必要です。

 

品物の押し売りに注意

昔ながらの下町のパリの雰囲気が残るモンマルトルは、観光客も多い人気のスポット。

しかし、スリのほか、テルトル広場では勝手に似顔絵を描き始めて売りつけたり、サクレクール寺院前の公園の階段では、黒人がミサンガを強引に手に巻き付けてきてお金を要求してくる被害が出ています。

彼らを見たらすぐに離れましょう。

 

日本語で話しかけられても無視!

パリの18区にある、クリニャンクールの蚤の市の治安もよくありません。

特に、地下鉄の駅から蚤の市までの間が要注意です。

スリや押し売りに十分に気を付けてください。

日本語で話しかけられても、相手にしないようにしましょう。

 

不良少年たちに要注意

また、サン・ドニ大聖堂には、フランスの歴代の王族が眠る墓がありとても興味深いのですが、パリ北部の郊外サン・ドニには不良少年達がうろついています。

スリや暴行の危険性も高いですので、観光客が行くのはお勧めしません。

 

在フランス日本国大使館のサイトで治安や事件をチェックしよう

以上、パリの治安について、主な犯罪の手口や注意すべき危険な地区について書きましたが、他にもさまざまなケースがあるようです。

 

「在フランス日本国大使館」のサイトにある「フランス安全情報」にも、最新の安全情報や月別の事件例、被害者からの手紙、盗難に遭った時の対応について書いてありますので、パリへお出掛けの際にはぜひご覧になってください。 

 

随分脅かしてしまったかもしれませんが、気を付けるだけで被害は未然に防げるはずです。

まさに備えあれば、憂いなし。常に「スリに狙われている可能性がある」ことだけ忘れずに。

あとは思いっきり楽しんでくださいね!

 
 コラムニスト情報
taneko
性別:女性  |   職業:フランス旅行アドバイザー

渡仏してから17年、パリ郊外に在住。
パリの観光バス会社で6年間勤務後、
現在はブログにてパリ情報を発信しています。
「レシピと雑貨とパリ案内」
http://taneko39.blog.jp/