ウィーンで芸術に触れる♪ウィーン観光で絶対立ち寄りたい美術館3選

執筆者: きくちまこ 職業:アロマセラピスト/アロマテラピーインストラクター/旅ブロガー/

ウィーン観光で美術館巡りをするにしても、時間が足りないのが現実。

有名なのは、名門ハプスブルグ家が何世代にも渡り収集した名画や美術品の膨大なコレクションを所蔵する「美術史美術館」ですね。

 

しかし、日本でも有名なグスタフ・クリムト作品数世界一を誇る「ベルヴェデーレ宮殿」、ジブリ映画の世界観にも影響を与えたといわれるフンデルト・ヴァッサー私設美術館「クンストハウス・ウィーン」も見逃せません。

 

今回は趣向はそれぞれ異なりますが満足度の高い、これら3つの美術館をご紹介します!

 

世界有数の規模を誇る「美術史美術館」

王宮からリンク通りを渡った先に、偉大なる母であり女王であったマリア・テレジア像が君臨。

その両側を挟むように建立しているのが、双子美術館として親しまれている美術史美術館と自然史博物館です。王宮から見て左側に設立されたのが「Kunsthistrisches Museum Wien / 美術史美術館」です。

 

 

贅を尽くした内館装飾の美しさ

ヨーロッパに顕在する多くの美術館が宮殿を使用しているのに対し、美術史美術館は最初から美術館として設立されました。当時第一線で活躍していた芸術家達を総動員して贅を尽くした内装の美しさはそれだけでも一つの芸術作品として鑑賞に値します。 

 

 

 

クリムトの壁画はどこに?

 エントランス中央の豪華な階段を登りきったところで後ろを見上げると、まだ若かりし頃のグスタフ・クリムトが弟エルンストらと描いた壁画に出会えます。

エジプト、古代ギリシャ、中世フィレンツェなど、芸術の発展発掘していく様をテーマに描写しています。

 

 

名門ハプスブルグ家所蔵コレクション

600年以上ヨーロッパ各地を支配してきたハプスブルグ家が何世代にも渡り収集してきた名画、美術品の数々は他を圧倒するほどの所蔵数で中1階「古代エジプト・オリエントコレクション」、「美術工芸収集室」を見て回るだけでも1時間以上かかります。

 

 

展示品と内装デザインが関連しているのも見どころの1つ。

ヨーロッパ各国からエジプトでの共同発掘作業が盛んだった頃の各国発掘領域を表す地図を見ると、圧倒的にオーストリアの発掘エリアが広く、ここでもハプスブルグ家の権威を感じます。その発掘品を鉄道、船を使ってウィーンへ持ち帰った当時は一大センセーションが巻き起こったことでしょう。

 

 

2013年に10年の修復機関を経てリニューアルした「美術工芸収集室」では、ふんだんに宝石をちりばめた水差しや、クリスタルに金を装飾した見事な美術装飾品、財宝など、しばし時間を忘れて見入ってしまいます。

中には牛黄(ごおう)と呼ばれる動物の胃腸内で未消化のまま固まった結石のようなものに黄金、宝石の装飾をした珍品(写真右上)まで。牛黄はうつ病に処方される漢方薬として、中世ヨーロッパに持ち込まれていたようです。

 

世界で最も美しいカフェで一休み

 

1階に上がると中央に吹き抜けのカフェがあります。絵画ギャラリーに移る前にここで一息するのはいかがでしょうか。名画、美術品だけでなくを鑑賞できるだけでなく、「世界で最も美しいカフェ」でゆっくりそれらを反芻する贅沢な時間をぜひ過ごらされてはいかがでしょうか。

 

また、毎週木曜日の18時半~「Gourmet-Abent」というビュッフェ形式のディナー(お1人44€、入館料別、要予約)もおすすめです。

 

絵画ギャラリー

カフェを挟んだ左右に「オランダ・フラマン・ドイツ絵画」(左)、「イタリア・スペイン・フランス絵画」(右)が展示されています。世界最多数を誇るブリューゲルのコレクション専用の部屋(部屋番号:X)では「バベルの塔」、「雪中の狩人」などを間近で観る事ができます。

 

 

その他ルーベンス、ラファエロ、ベラスケス、ティッツィアーノなどの傑作を座り心地の良いソファでゆっくり鑑賞できるのも日本では考えられないような贅沢ですね。

日本語版オーディオガイドはダイジェスト版になっているので、そこで紹介されている名画を見つけながら鑑賞するのもおすすめです。

 

 

平日とはいえ観光シーズンの8月の午前中で写真に人が入り込まないほど。後ろから押されることなく、ゆったりと自分のペースで鑑賞できるのも嬉しいですね。

 

美術史美術館

住所:Maria Theresa Square, 1010 Wien

開館時間: 10:00~18:00、毎木曜日~21:00(月曜休館※6月~8月は月曜日も開館)

 

クリムトの接吻はこちら「ベルヴェデーレ宮殿」

「美しい眺め」という意味の名前をもつ「Belvedere palace and museum Vienna / ベルヴェデーレ宮殿」。

フランス出身貴族プリンツ・オイゲン公の夏の離宮として1723年ペーター教会も手掛けた建築家ヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントにより造られました。

 

上宮、外宮の間は緩やかな斜面になっておりその間には美しいバロック庭園が広がっています。

美術館になっている上宮からの眺めはまさにベルヴェデーレ「美しい眺め」。鑑賞後はこちらの庭園をゆっくり散歩するのも気持ちがよいです。

 

 

ハプスブルグ家所有に

当時オスマントルコ軍からウィーンを救った英雄オイゲン公は、生涯独身だったために宮殿は彼亡き後ハプスブルグ家所有となり、上宮は近代オーストリア絵画を中心とした美術館となりました。

 

 

世界最大のグスタフ・クリムトコレクション

 

©Bervedere.at

 

エントランス中央の白い階段を登った左側からクリムトの伝説的名画「接吻」、「ユーディット」などが展示されています。

この部屋だけが薄暗く、よりクリムト絵画の特徴でもある金色のきらめきが強調されています。実物の「接吻」は見る位置によって色合いが異なり、何度も絵の前に釘づけになってしまうほど見入ってしまいます。クリムトファンならずとも世界的有名な「接吻」の周りには人が絶えません。

 

貴族女性を中心とした肖像画

クリムト作品は神話的、寓話的な作品、肖像画、風景画の3つのジャンルに分けられます。なかでも一番の収入源だったといわれているのがウィーン富裕層からの注文による女性の肖像画。

「接吻」が展示されている部屋では、美しく装飾された肖像画もみることが出来ます。ウィーンのカサノヴァと呼ばれたクリムトとの関係やいかに、とつい想像してしまうほど絵の女性達の表情が豊か。そんな体温が高くなるような空間を後に隣の部屋に移ると、彼の穏やか且つ色彩豊かな風景画が展示されています。

 

同じ画家による作品かと思わせるほど対照的ですが、クリムトの世界を十分に堪能出来るのではないでしょうか。

 

 

ベルヴェデーレ宮殿 

住所:Prinz Eugen-Straße 27, 1030 Wien

開館時間:10:00~18:00

※庭園は無料です。

 

フンデルト・ヴァッサー私設美術館「クンストハウスウィーン」

上記2つの美術館とは全く意向の異なる美術館が、フンデルト・ヴァッサー自身が設計した「Kunst Haus Wien/クンストハウス・ウィーン」。

カラフルで遊びのある外観、自然との共存を感じさせる独特な彼の建築物の中でウィーン市内の公共住宅は特に有名ですが、実際に人が住んでいるため中をみることは出来ません。しかし、こちらの私設美術館では建築物だけでなく、画家、アーティストとしてのフンデルト・ヴァッサーの世界を十分に堪能できます。

 

 

フンデルト・ヴァッサーの世界観

1928年ウィーンで生まれたフンデルト・ヴァッサーは幼少期から自然を愛し、色鮮やかな花を美しいままに残したいとの思いから絵を描き始めたと言われています。

「家、人、自然との共存」という彼の哲学は幼少期から培われ、ヨーロッパやアフリカを旅していく中で確固たるものになっていったのではないでしょうか。

 

 

自然と芸術を融合させるという理想は作品だけで形にしようと試みただけでなく、彼の生き方そのものにも表れています。館内のところどころに彼の「言葉」が展示されていますが、それらは読む側の状況に訴えてくるようなメッセージとも受け取れます。

 

 

ジブリ美術館建設の際に

「自然の中に直線はない」と直線を拒否し、外観だけでなく館内の床までもが独特な曲線をなしている徹底ぶり。

建物と自然と融合させたフンデルトバッサーの建築物とその世界観は宮崎駿監督にも影響を与え、ジブリ美術館建設の際に彼の思想を取り入れたいとの希望があったそうです。


 

なだらかな起伏のある床や、ぎしぎしと音のする板床も彼の意図するところ。

渦巻き模様が特徴的な絵には「百水」という雅名が印字されているものもあります。「百水」とはフンデルト(百)・ヴァッサー(水)をそのまま漢字にしたもの。一時期日本人女性と結婚したことのあるフンデルト・ヴァッサーは日本でも作品を残しています。

 

 

子供達にとってもここは楽しめる美術館ではないでしょうか。自然と共存する事を理想と思う大人に対して想像豊かな子供達には現実味があるかもしれません。ぜひ親子で訪れてほしい美術館です。

 

クンストハウスウィーン

住所:Lower Weißgerberstraße 13

開館時間:10:00~19:00

※月曜日(祝日除く)常設展10€→5€に割引

 

おわりに

今回ご紹介した3つの美術館は規模、趣向がそれぞれ異なりますが、どこもウィーン旅行の思い出として深く心に刻まれるのではないでしょうか。

ぜひウィーン観光の際の参考にしてくださいね!

 

 
 コラムニスト情報
きくちまこ
職業:アロマセラピスト/アロマテラピーインストラクター/旅ブロガー/

2014年より家族でオーストリア/ウィーン在住。ウィーン街をひたすら歩き回って日々素敵なカフェやお店を開拓しています。
10代の頃から旅が好きでパリ、スペイン、沖縄へ一人旅、アジアはバックパッカーとして各国旅してきました。
屋久島生まれの父と韓国で生まれ育った母を持ち、20代は自分の居場所探しをしていましたが今は【今いる場所が私の場所】なのだと確信。毎日がハッピーです。

ウィーンで知り合ったアーティスト達との出会いから高級レストラン【ユリウスマンイル】で日本、韓国料理のイベントをプロデュース。
世界で一番読まれている経済誌【Forbesオーストリア創刊号】に掲載されました。
ウィーンでもアロマテラピー講習会の依頼があり沢山のご縁に感謝する毎日です。

コラムでは、おしゃれで美味しいカフェや芸術の都ウィーンならではのアーティスティックな場所をご紹介。食材にこだわるオーストリア人のオーガニック事情、ヨーロッパ女性の美しさの秘訣などもお伝えしていきたいです。

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