「業務改善助成金」で経費の一部がお得に!支給対象・金額・実施例
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。
今回は、中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(以下、業務改善助成金)について、お伝えをします。
地域別最低賃金引上げにより、大きな影響を受ける中小企業(地域別最低賃金額が800円以下の県に事業場を置くものに限る)の事業主を支援する目的で、設けられているものです。
具体的には、当該事業場で最も低い賃金を、計画的に800円以上に引き上げ、それに伴って業務改善を目的とした、労働能率の増進に資する設備・器具の導入を実施した場合に、支給されます。
支給額は、業務改善に要した経費の2分の1(企業規模30人以下の事業場は4分の3)となります。
上限額があり、下表の通りとなります。
平成27年度より、さらに、時間給(又は時間換算額)800円未満の10人以上の労働者の賃金額を60円以上引き上げた場合においては、人数に応じて下表の通り、業務改善経費の一部が助成されます。
なお、助成率は(助成/率1/2(企業規模30人以下の小規模事業者は3/4))変わりません。
まず、都道府県ごとに設定される最低賃金が800円未満(時間額)の事業場の中小事業主が対象になります。
具体的には、東京、神奈川、埼玉、愛知、大阪、千葉(H27.10.1発効/時間額817円)、京都(H27.10.7発効/時間額807円)以外の都道府県に事業場を置いている事業主であること。
次の表の業種に応じて、「資本金の額または出資の総額」、または「常時使用する企業全体の労働者数」のどちらかの要件を満たす事業主であること。
H27改正部分:3カ月→6カ月
ア 賃金改善計画の策定:4年以内に事業場内最低賃金を時間給等800円以上とする計画
イ 業務改善計画の策定:経費(労働能率の増進に寄与する設備・器/具の導入)の合計が10万円以上の支払いを行う計画(労働者の意見を聴いた計画)
ウ 事業場内最低賃金規定の作成:時間額40円以上引き上げ、就業規則等で定めること
エ 賃金改善の実施:上記ウにより定められた就業規則等に基づく賃金の引き上げとその支払
オ 業務改善の実施:助成対象経費に該当する経費として合計10万円以上の支払いを行う
また、コピーした就業規則、意見書、見積書、領収書、写真(導入前・導入後)など、事実を確認できる証憑も提出します。
- 機器・設備類(※)の購入、製作又は改良の費用
※特種用途自動車以外の自動車、パソコン(周辺機器を含む)は除く。
- 調査会社、コンサルタント会社、システム開発会社等への委託費用(※)
※就業規則の作成・改正及び賃金制度の整備は除く。
- 通常の事業活動を行うに当たり、社会通念上当然に必要となる経費を除く。
- 労働能率増進に資する設備投資等の経費には、単なる経費削減のための経費(例)LED電球への交換、エコカーへの買い替え等)、職場環境を改善するための経費(例)エアコン設置、執務室の拡大、机・椅子の増設等)は含まれないこと。
- 「機械装置等購入費」の欄「特種用途自動車」とは、車両に対して付与されるナンバープレートの「車種を表す数字」が8で始まるものをいうこと。
具体的には、車椅子リフト付き自動車、トラクター等の農作業車、除雪車等
- 「機械装置等購入費」の欄「パソコン」には、例えば、POSシステム、会計給与システム等特定業務専用のシステムに組み込まれて用いられ、汎用ソフトを使用してはならない仕様であれば、対象外とはしないこと。
- 「社会通念上当然に必要となる経費」とは、同一規模の同一業種においては一般的に保有・使用している機器の購入経費を指すこと。
(例)「社会通念上当然に必要となる経費」として一般的に助成対象外となるもの
● 飲食店における冷蔵庫の購入経費
● 美容業における美容機器の購入経費
● 倉庫業におけるフォークリフトの購入経費
業務改善の内容(労働能率の増進に効果があること)は、事業実施計画書の段階で厳しく審査されることになります。
どういう実施なら認められてきたかの例が、厚生労働省から「生産性向上の事例集」としてネットにアップされていますので、参考にして頂ければと思います。
また、こちらの業務改善助成金は、国の予算の範囲内で行われるタイプの助成金になります。
ここ最近の地域別最低賃金の動向は、値上げ幅がとても高いことが挙げられます。
東京都、神奈川県については、900円を突破しました。
2015年度の全国の最低賃金の平均額は、798円となり、前年比18円上昇となりました。
今後も同様、最低賃金は上昇傾向にあると言われております。
最低賃金額以上の時給設定の管理は、今後も必要なことではありますが、他に、設備の導入などを検討している場合は、経費の一部が助成金で賄える業務改善助成金をぜひご利用して頂きたいです。
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