これは突き指?骨折?「手指の怪我」種類と症状

その手や指の痛み、本当に付き指?スポーツや運動時に多い「手指の外傷」について解説。「突き指か」と軽く見ていたら、「骨折」だったということも。どんな種類があるか、まとめてみました。

執筆者: 高田 彰人 職業:理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)
「手指の外傷」について

理学療法士の高田彰人です。

今回は、スポーツ現場で比較的発生頻度の多い「手指の外傷」について取り上げます。

 

 

手指の外傷は放っておいては完治しないケースも多々ありますが、スポーツ現場では、安易に突き指として認識されてしまうことも多いのは事実です。

 

本来は、医師の正しい診断の基に、最善の処置を行うことが重要です。

よって、手指の外傷の発生機序と病態について、解説していきます。

 

手指の解剖学

引用:大阪大学大学院医学系研究科ホームページより

 

槌指(マレットフィンガー)
発生状況

指先に硬いボールが当たるなどして、DIP関節にストレスが加わったときに起こります。

 

症状

指のDIP関節が損傷して曲がり、自分で伸ばそうと思っても、伸びない状態になります。

 

病態には、2つのタイプがあり、伸筋腱の骨付着部での断裂を「腱性マレット」、付着部の骨片を伴う剥離骨折を「骨性マレット」と言います。

 

手術適応

開放損傷、骨片が関節の1/3以上を占める、DIP関節が掌側亜脱臼をしているものが、適応となります。

PIP関節脱臼
発生状況

バレーボールやバスケットボールなどの大きなボールで突き指をして起こります。

 

治療 

一般的に背側に脱臼することが多く、脱臼整復後の状態により、保存療法か手術療法に分かれます。

剥離骨片が関節面の40%以下の骨折で脱臼整復後の安定性がある場合は、保存療法となります。

 

手術適応

掌側の骨片が関節面の40%以上を占め、容易に再脱臼するもの、あるいは軸圧損傷で関節面の陥没転位が大きく、関節面の適合性に問題のある場合には、手術適応となります。

母趾MP関節尺側側副靭帯損傷
発生状況

スキー、バレーボール、ラグビー、野球などで、母趾MP関節(普通の感覚で親指の付け根と感じる部分の関節で、親指の2番目の関節)に曲がる力が働いた状態で、親指の外側へのストレスが加わったときに生じます。

 

診断

ストレスを加えた状態でのレントゲンにて左右を比較します。

 

手術適応

不安定が強い場合には、手術療法として側副靭帯を縫合します。

中手骨頚部骨折(ボクサー骨折)
発生状況

拳を握って強打した際に起こります。

 

症状

第5中手骨に生じます。

背側に凸変形するために、容易に診断できます。


掌側の骨皮質が損傷するため、固定性も悪く、徒手整復が困難なことが多い症状です。

 

中手骨骨幹部骨折
発生状況

物が手の甲に当たった場合や、手をついたような場合に、強い力が加わって起こることが多い骨折です。

分類

次の3つに分けられます。

  • 横骨折(おうこっせつ):棒を折るようにまっすぐ折れる
  • 斜骨折:斜めに折れる
  • 粉砕骨折:ばらばらにくだけてしまう

 

治療

保存療法では、徒手整復後にギプス固定を行います。
どの部位の骨折でも、「overlapping finger(折り重なり指)」といわれる病態を防ぐことが重要です。

基節骨骨折

指の付け根の部分にあたる骨の骨折です。

 

  • 骨折線は、横骨折が多い傾向があります。
  • 小児では回転性顆上骨折があり、注意を要します。
  • 基節骨基部骨折は、年長児には、骨端線離開骨折として認められます。

 

手術適応

徒手整復後の固定性が悪いときには、手術適応となります。

有鉤骨骨折
発生状況

転倒時に手をついたり、ボールが直接当たって起こります。

 

症状

有鉤骨部を押した時の痛み、手掌面の小指側の痛み、筋力低下などが見られます。

ちなみに、有鉤骨とは、手首から2,3cmの小指側にある、突起が存在する特殊な骨のことです。

 

検査・診断

レントゲン検査だけではなかなか診断がつかず、特殊な撮影方法やCT検査など画像診断が必要となります。

 

おわりに

今回紹介した疾患は、画像診断や徒手整復、ときには手術療法が必要となる場合があります。

症状は人それぞれで異なるため、まずは重症と感じた際に、医療機関に受診をすることをお勧めします。

参考文献

  • 笹益雄:手指の外傷.MB Orthop 9,205-212,1996.
  • 笹益雄:手指の外傷.関節外科,31:86-94,2012.
  • 笹益雄:成長期のスポーツ外傷の診断と治療.関節外科,32:70-76,2013.
 
 コラムニスト情報
高田 彰人
性別:男性  |   職業:理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)

【資格】
理学療法士
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
JCCA公認アドバンストトレーナー
四街道市スポーツリーダー

【トレーナー活動歴】
茨城県立取手松陽高等学校 男子バスケットボール部
茨城県立取手第二高等学校 男子バスケットボール部 
茨城県少年男子国体バスケットボールチーム
車椅子バスケットボール 日本代表選手

【研究分野】
バスケットボールの障害・パフォーマンス
足関節捻挫
疲労骨折
肉離れ

【所属学会】
日本理学療法士協会
日本整形外科スポーツ医学会
日本臨床スポーツ医学会
ドイツ筋骨格医学会
日本コアコンディショニング協会

【コンセプト】
①監督‐選手‐トレーナーの共通理解の徹底化
②トレーニングと障害予防の融合
③アウターマッスルとインナーマッスルの共同

【トレーナー目標】
日本が世界では通用しないと思われているスポーツ分野の底上げ

【ブログ】
バスケ選手のためのトレーニング理論
http://ameblo.jp/arinco-power55/

【アドレス】
g.torini.9@gmail.com

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