パートやアルバイトも社会保険に加入できる?「パート労働時間延長コース」とは

キャリアアップ助成金「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」の概要や必要書類を解説。パートやアルバイトも、労働時間を拡大することで社会保険に加入できるようになりました。

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
キャリアアップ助成金「短時間労働者の週所定労働時間延長コース」

こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。

 

今回は、キャリアアップ助成金の「短時間労働者の週所定労働時間延長コース(パート労働時間延長コース)」についてご説明します。

 

どんな助成金なの?

週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を、週所定労働時間30時間以上に延長した場合に助成されます。

 

これは、パートさんやアルバイトなどの短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険加入ができるような環境を整えることで、労働者の能力のさらなる活用につなげることを目的としています。

 

いくらもらえるの?

支給額は、1人当たり10万円です。

(大企業は7.5万円)

 

多様な正社員コースの人数と合計し、1年度1事業所当たり10人までという上限があります。

 

支給対象となる事業主は?

(1) 雇用する週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等について、当該週所定労働時間を30時間以上に延長した事業主であること。

 

(2) 上記(1)の延長後、6により週所定労働時間を30時間以上に延長した労働者を、延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分(※)の賃金を支給した事業主であること。

※ 通常の勤務をした日数が11日未満の月は除く。

 

(3) 上記(1)により週所定労働時間を30時間以上に延長した日以降の期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。


(4) 上記(1)により週所定労働時間を30時間以上に延長した際に、週所定労働時間及び社会保険加入状況を明確にした「労働条件通知書」または「雇用契約書」を作成および交付している事業主であること。

 

対象となる労働者は?

(1) 支給対象事業主に雇用される有期契約労働者等であること。

 

(2) 週所定労働時間を30時間以上に延長した日の前日から起算して6か月以上の期間継続して、週所定労働時間が25時間未満(週当たりの実労働時間が平均25時間未満の場合に限る)の有期契約労働者等として雇用された者であること。

 

(3) 週所定労働時間を30時間以上に延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用を受けていなかった者であること。

 

(4) 支給申請日において離職していない者であること。

 

添付する書類は?
1. 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書

 

2. 対象労働者の週所定労働時間の延長前および延長後の労働条件通知書、または雇用契約書

 

3. 対象労働者の賃金台帳

 週所定労働時間の延長前6か月分(※1)、および延長後6か月分(※2

 

※1 週所定労働時間延長の適用を受けた日の前日から6か月前の日までの賃金に係る分。

※2 当該適用を受けた日から6か月経過する日までの賃金に係る分。通常の勤務をした日数が11日以上あること。

 

4.対象労働者の出勤簿等

週所定労働時間の延長前6か月分、および延長後6か月分

 

5.中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類

a)企業の資本の額または出資の総額により中小企業事業主に該当する場合

  • 登記事項証明書、資本の額または出資の総額を記載した書類等


b)企業全体の常時使用する労働者の数により中小企業事業主に該当する場合

  • 事業所確認表(様式第8号)

 

労働者の数により中小事業主に該当するなら、事業所確認表(様式第8号)を提出すれば足りるので、謄本の準備は必要ありません。

 

支給申請期間

短時間労働者の週所定労働時間延長後、6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2か月以内に支給申請してください。

おわりに

キャリアップ助成金の正規雇用転換コースですと、一般的に有期から正規という流れで支給申請を行いますが、有期契約労働者の中には、時間の制約から有期から有期のままを希望し、働ける時間までは働きたいと望む方もおられます。

 

そこに社会保険が完備されれば、労働環境が良くなると言えます。

 

例えば、夫が市町村国保の場合、妻がパート職で社会保険適用されれば、出産手当金や傷病手当金など、国保以上の手厚い手当を受けることができるなど。

 

正しい労務管理を!

社会保険の加入は、事業主と社員の折半のため、会社としては無視できないコスト増になります。

ですが、マイナンバー法の施行に伴い、社会保険適用者に該当するのに未加入状態だと、今後ますます行政から指導が入ることが予想されます。

 

正しい労務管理を徹底する上で、本助成金の活用も検討して頂ければと思います。

 
 コラムニスト情報
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