界面活性剤は化粧品にとって必要な添加物。化粧水などスキンケアコスメに含まれる「界面活性剤」の種類・成分・特徴を専門家が解説します。
界面活性剤の種類と成分
こんにちは、スキンケアカウンセラーの松原好克と申します。
界面活性剤の分子は、「油に馴染み易い部分(親油基)」と「水に馴染み易い部分(親水基)」の両方を兼ね備えており、「水溶性(水に溶ける)成分」と「油溶性(油に溶ける)成分」を整合させる働きを持っています。
これにより、 界面活性剤は、化粧品をはじめとする様々な美容アイテムに欠かせない存在になっています。
この界面活性剤は、大きく4つのタイプに分類されます。
今回は、それぞれの主な用途に加え、代表的な成分とその特徴を解説します。
水に溶けると、親水基が陰イオンに解離するものを指します。
洗浄能力に優れており、泡立ちも良いため、石鹸・洗顔料・シャンプーなどに使われます。
化粧品に使われる代表的なアニオン界面活性剤成分には、次のようなものがあります。
- 石ケン素地 … アルカリ水溶液に「水酸化Na」を加熱反応させたもの
- カリ石ケン素地 …「水酸化K」を加熱反応させたもの
- カリ含有石ケン素地 …「水酸化Na」と「水酸化K」の両方を加熱反応させたもの
油性物質に対する洗浄力に秀でており、少量でも弾力のある泡立ちをもたらします。
グルタミン酸と脂肪酸から構成されたアミノ酸系の活性剤で、非常に低刺激です。
ただし、洗浄力は他のものに比べるとマイルドです。
その他には、オレイン酸Na・アキリル硫酸Na・イソステアロイル乳酸Na・ステアリン酸Mg・ステアロイルグルタミン酸Na・ラウロイルグルタミン酸Na・ココイルメチルタウリンNaなどがあります。
水に溶けると、親水基が陽イオンに解離するものを指し、アニオン界面活性剤と逆の性質を持ちます。
ヘアケア製品を中心に利用されていますが、口紅・マスカラ・ファンデーションなど、一部のメイク料にも配合されます。
化粧品に使われる代表的なカチオン界面活性剤成分には、次のようなものがあります。
静電防止作用や柔軟作用を有するため、しなやかさを保つ毛髪アイテム(リンスやコンディショナー)に適しています。
刺激は低いとされています。
強い殺菌力を持つため、さっぱりとした毛髪アイテム(シャンプーやトニック)に適しています。
皮膚に刺激があるため、口紅0.05%以内・シャンプー0.5%以内・リンス3.0%以内などの配合規制があります。
その他には、ジステアリルジモ二ウムクロリド・ステアルトリモ二ウムクロリド・ポリクオタニウム-7などがあります。
水に溶ける際に、親水基がphによってマイナスに帯電したりプラスに帯電したりする界面活性剤です。
phがアルカリ性ならマイナス(陰イオン)に、phが酸性ならプラス(陽イオン)になります。
シャンプー・リンス・化粧水・美容液・乳液・クリームなど、様々なアイテムに使用されます。
化粧品に使われる代表的な両性界面活性剤成分には、次のようなものがあります。
ヤシの実から抽出される脂肪酸と、クコなどに含まれるベタインを結合させた成分です。気泡性が良いので、洗浄時の使用感が抜群です。低刺激なため、敏感肌用のシャンプー・ボディーソープ・洗顔料などに使われています。
大豆や卵黄に含まれるリン脂質(天然レシチン)を水素添加して、熱・酸化に対する安定性を高めたレシチン誘導体です。べたつかないしっとりとした使用感の化粧水・美容液・クリームなどに使われています。
その他には、ラウラミドプロピルベタイン・ラウリルベタイン・ココアンホ酢酸Na・アルキル(C12、14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCIなどがあります。
水に溶けてもイオンに解離しない界面活性剤で、アルカリ性・酸性に関わらず化学安定性に優れています。
乳化剤・可溶化剤・増粘剤・洗浄剤など、様々な用途に使われますが、最近人気のオイルクレンジング料は、このタイプの界面活性剤を使うことが多いようです。
化粧品に使われる代表的な非イオン界面活性剤成分には、次のようなものがあります。
トウゴマという植物の種から抽出された二重結合のヒマシ油に水素を添加して、さらに酸化エチレンを付加重合した界面活性剤です。目薬にも使われるほど低刺激で、とても安全性が高い界面活性剤のため、多くの化粧品に配合されています。
オリーブ油由来のオレイン酸と、保湿剤のグリセリンを結合させた成分です。
人気が高いリキッドファンデーションやBBクリームによく使われます。
モノステアリン酸ソルビタンに、酸化エチレンを付加重合させた界面活性剤です。
安定した乳化作用・可溶化作用・分散作用を持つため、美容液・乳液・クリーム・シャンプー・リンス・メイク料など、多岐にわたるアイテムに使われています。
その他には、ステアリン酸ソルビタン・アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-13)コポリマー・イソステアリン酸PEG-20グリセリル・イソステアリン酸PEG-20ソルビタン・イソステアリン酸ポリグリセリルなどがあります。
界面活性剤は、化粧品にとって必要不可欠な成分です。
無添加や自然派と謳っている化粧品にも、少なからず、認知度が高い有名な界面活性剤が含まれていないだけで、同等の働きをする成分が含まれており、それらが悪く働くかどうかは、個人の肌質や体質によって決まるため、絶対安全とは言い切れません。
化粧品は、キャッチコピーや口コミなどのイメージで選ぶのではなく、ご自身の使用感に満足できるものを選ぶことが、その人にとって本当に肌に優しい化粧品なのです。
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