お金を増やすための考え方「行動ファイナンス理論」とは?前編 (1/2)
行動ファイナンス理論の代表的な考え方「プロスペクト理論」。「人間は常に、合理的に行動するとは限らない」という前提で、投資家が陥りやすい心理を解説します。
こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。
さて、今回は「投資」を心理面から考えてみましょう。
常日頃、私は、「投資とは、ある種の心理ゲームである」と考えています。
それを理論的に説明するために、“行動ファイナンス理論”をご紹介したいと思います。
あなたは、“行動ファイナンス”という言葉をご存知ですか?
初めて耳にする方、または「聞いたことはあるが、意味はよくわからない」といった方もいらっしゃることでしょう。
代表的な考え方「プロスペクト理論」
行動ファイナンス理論で代表的な考え方が、2002年のノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン博士とエイモス・トヴェルスキー博士が提唱した「プロスペクト理論」といえます。
それは、行動ファイナンスとは、「人間は常に、合理的に行動するとは限らない」という前提で、経済や金融市場の動きを考えていくべきだというものです。
それまでの経済理論においては、「人間は利益の追求のみを目的として、常に合理的に行動する」とされてきました。
しかしながら、実際の「投資の世界」においては、全く違った動きを繰り返してきた過去の歴史があります。
その典型的な例が、株式市場などに見られる「バブル」です。
後になって振り返ってみれば、バブルに巻き込まれていった投資家の行動が、いかに合理的でなかったか、逆にいえば、いかに感情的に行われていたかが分かります。
人間自体が「感情の生き物」であるため、投資の世界においても、その意思決定を行う投資家の感情によって、様々なことが左右されてきたということなのです。
それでは、具体的に一つの例で考えてみたいと思います。
もしあなたが、いま、100万円の投資を行ったとします。
「50万円利益を上げた」ときの“喜び” と 「50万円損失を被った」ときの“悲しみ”。
果たして同じ“感情の度合”だといえるでしょうか?
具体的に、想像してみてください。
たぶん、多くの人が、「50万円儲かった感情(嬉しさ)」よりも、「50万円損した感情(悲しみ)」のほうが大きく感じるのではないかと思います。
合理的に考えれば、50万円の利益と損失は同じ金額ですが、人間の感情は、金額に正比例するわけではありません。
損失の割合が大きくなるにつれて、「損失から受ける悲しみ」の方が強く感じる傾向があるのです。
先程の例で、利益も損失も仮に1万円だったとしたら、「感情の差」は、ほとんどないはずです。
元本の半分にあたる50万円ほど、金額が大きくないからです。
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投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。
■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他
■メディア実績(執筆、取材など)
・日本経済新聞 、日経ヴェリタス
・納税通信、税理士新聞
・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など
■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)
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