元店員が語る!百貨店やデパートなどのアパレルブランドショップで起きた、お客様もとい「モンスタークレーマー」からのお洋服返品理由!

モンスタークレーマーの"珍"返品理由・珍事3選
変な返品理由も多い

服を購入したけどサイズが合わない、不良品だったなどの理由で返品する方は珍しくありません。

お店の商品交換で対応できない場合は、返金対応となるのが一般的です。

アパレルショップでは、返品は非常に多いクレームなのでですが、実は"あり得ない"理由で、強引に返金を迫るお客さんも極まれにいます。

筆者が以前勤めていたショップでも「え?」と、思わず首を傾げたり、対応に苦慮した返品理由も少なくありません。

「嘘でしょ」と思うかもしれませんが、筆者やスタッフが経験した、実際に起こった例をご紹介します。

 

 

珍事1 一年後に返品!

ある日、30代くらいの男性が「商品を返品したい」とお店を訪ねてきました。

当然商品を確認し、返品理由を聞いて購入時レシートを出してもらうのですが、レシートに印字された日付を見て一瞬思考が停止してしまいました。

 

ん?今年の西暦って?

お客さまには少し待ってもらい、裏で作業中のスタッフに「今年って、西暦何年だっけ」と訪ねてしまいました。

少し変な目で見られましたが、何度も確認し、再びレシートの日付をチェック。

1年以上前の商品の返品希望だったのです。

さらには返品対応のマニュアルをチェック(大半のお店にあります)。

見るとすでに返品期限を過ぎています(当たり前ですね)。

 

このため、お客さんにも返品期限が過ぎていて返金できない旨を伝えました。

 

普通ならここで諦めるはずです。

が、「何としても返金して欲しい」の一点張り。こちらも食い下がる訳にはいきませんし、恐らく5分以上は押し問答を繰り返していたと思います。

結局そのままの状態が続き、店長からSV、果てはエリアマネージャーに連絡。

お客さんの電話番号を聞き、後日改めて連絡することで一件落着となりました。

 

結局SVが対応したそうで、どうなったかは聞かされませんでしたが、その後返品交換ルールについての再確認と、説明の徹底をするよう全店舗へ通達がありました。

 

珍事2 「洗濯したらネジネジになったんですけど。」

Tシャツを洗濯するとネジネジになることってありますよね。

素材の特性や厚みが原因ですが、中々避けられないのが実状です。

私が退職する数週間前だったでしょうか。

「お宅の商品が不良品だったから返金して欲しい」と40代くらいの女性が来店しました。

 

不良品なら交換になりますが。

不良品ならこちらに非がありますから、返金するのが当たり前です。

別のスタッフ(後輩)が対応しましたが、うちで買った商品と判明したため、返金処理をすることになりました。

そこで後輩が該当商品を見せてもらったそうですが、当時新作として販売していたあるTシャツでした。

 

しかし…シワだらけ。

むしろ洗濯したばかりの"ネジネジ"状態です。

無理矢理広げてチェックしましたが、どこに不良があるのか見つからず、お客さまに尋ねてみました。

 

「失礼ですが、どの点に不良があったのか教えていただけますか?」


するとこのような答えが。

「洗濯したらシワだらけになったのよ。他のTシャツよりシワがひどいし、不良品でしょ?」


この時の後輩の気持ちを表すなら「えっ」、でしょうか。

初めて聞いた返品理由だったので、非常に、非常に困惑しました。

 

だから返金してよと迫られましたが、実際これは不良品ではありません。

該当商品も、綿・ポリエステル混合繊維の、ありふれたTシャツです。

 

「ホンマ勘弁してくれ!」

後輩に助けを求められ、代わりに対応することになりましたが、"ホンマ勘弁してくれ"と思ったのは言うまでもありません。

 

私はお詫びしつつ不良品ではない点、素材の特性と返金不可能な旨を説明し、念のためカスタマーセンターの番号を教えて帰ってもらいました。

 

その後も特に上からの連絡も無く、丸く収まったようです。

 

Tシャツはなぜねじねじになりやすいのか

余談ですが、シャツなどで使われている布地と、Tシャツで使われる布地はまったく別物です。

シャツなどの布地は"織っている"のに対し、Tシャツの布地は"編んでいる"のです。

編んでいるのでニットですね。

主に天竺とスムースという素材が使われ、編み方が少し異なります。

天竺編み・スムース編みと呼ばれます。

Tシャツを引っ張ってもあまり伸びないのが天竺、ストレッチ性の高いものがスムースです。

 

これらは布地を編む際にねじった糸を使うのですが、洗濯する際に反対方向への力が加わり、"ネジネジ"の原因を原因を作ってしまいます。

特にニットは水分を吸うと膨張しますから、ネジネジする力が強くなってしまいます。

 

Tシャツを乾燥機で乾かす方もいると思いますが、なるべくハンガーに吊って乾かしましょう。

吊り干では下への力が働き、徐々にねじれも取れていきますが、乾燥機はあらゆる方向からの力が加わり、ネジネジが中々取れなくなります。

 

 

これはニット製品のカットソーやセーターも同じです。

少しでも長持ちさせるなら、ハンガーで日陰干しをしましょう。

直射日光が当たると変色のおそれがあります。

 

珍事3 定価だと思わなかったから…

さて、最後の珍返品理由は、「定価だと思わなかった」です。

セール開催時期だったので、ある意味仕方がないかもしれません。

 

セール中は多忙を極める店内。

しかし…返金対応はしたもののの、当日はちょっとした騒動になるほど大事になったとか。

当日のピリピリした空気を見るに、色々問題が起こったと推察できます。

 

 

これで済めば良かったのですが、その後の"珍事"が起こりました。

返金から数日後、私はSVと店長の出勤日にバックヤードへ呼ばれました。

そして「○○様にどう説明したの?」と、鋭い剣幕で言われました。

 

「え?何の話?」

私からすれば「誰?何の話?」という具合ですが、店長曰く、「あんたんトコの男スタッフに定価って聞かされてなかったわ!(意訳です)」と、店頭で怒鳴られたとか。

 

SVも黙って見守っていますし、私自身は身に覚えがなかったので、"冤罪"をどう証明するか頭をフル回転させていました。

「でもさ、××君(店長)の店って男性スタッフばかりじゃない?」。

 

このSVの一言がきっかけでした。

呪縛から解かれたように、店長がハッとした顔を上げ、次の瞬間土下座するように頭を下げられました。

「え?何が起こったの?」と混乱しましたが、どうやら別のスタッフが浮かんだそうです。

 

冤罪は晴れた…

その後勤務シフトを持ってきて確認しましたが、私の"冤罪"はそれで証明されました。

店長によると、私の出勤日を1日勘違いしていたこと、個人売りの比率から私が応対したと勘違いしていたことが誤解を生んだようです。

他のスタッフがやらかしたことでしたが、店長が猫のようになり、裏で2時間SVに絞られたのは別の話です。

おわりに

話も逸れてしまいましたが、変な理由で返金を求めるお客さんも意外と多くいます。

他メーカーのスタッフさんから聞いた話ですが、「無理矢理買わされた」、「やっぱいらない」、という理由で返品に訪れたお客さんもいるようです。

 

実際は強引に売りつけてくる店員もいるので注意しましょう。

返品ルールはブランドやお店ごとに決められています。

もし返金できないと言われたら、必ず理由を聞きましょう。

大手ならカスタマーサービス窓口を開設していますので、不服がある場合は相談することをおすすめします。

この記事を書いたコラムニスト

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