「そんな意味だったの!?」クラシック音楽のタイトルにまつわるオモシロ雑学
「亡き王女のためのパヴァーヌ」は死んだ王女のための曲じゃない!クラシック音楽のタイトルは、その曲名の意味が誤解されていることもしばしば。
こんにちは。ピアニストの小川瞳です。
クラシック音楽というのは、たいていコンサートの前に、当日のプログラムがわかるようになっています。
「作曲者」と「曲名」が事前に告知されているわけですが、なにしろクラシック音楽は、西洋のもの。
カタカナばかりで意味がわからないタイトルって、意外と多いですよね?
そこで今回は、有名だけど意味がわかりにくいタイトルを一挙ご紹介します。
「ラデツキー」とは、1848年にオーストリア帝国領北イタリアの独立運動を鎮圧した、英雄ヨーゼフ・ラデツキー将軍のこと。
イタリア独立を阻止したラデツキー将軍を称えて作曲された曲のため、昔はイタリアでの演奏はNGでしたが、現在ではそういった問題もなく、イタリアでもよく演奏される曲となっています。
この曲は…運動会でよく聞いた!
いいえ、そうではありません。
- アイネ … 女性形の不定冠詞
- クライネ … 小さな
- ナハト … 夜
- ムジ―ク … 音楽・曲
こういう意味です。
ですから、アイネ・クライネ・ナハトムジークは「小さな夜の曲」という意味になります。
まれに「小夜曲(セレナーデ、恋人や女性を褒めたたえる曲)」と呼ばれていることもあります。
この曲はクラシックというよりシャンソンで、1900年代に生まれた比較的新しい曲です。
フランス語で、「おまえがほしい」「あなたが大好き」といった意味の、フランスらしい濃厚な一曲に仕上がっています。
サティのタイトル付けはユニークで、他にも「犬のためのぶよぶよした前奏曲」など面白いものがあります。
ちなみに出版社へ持ち込んだものの「ふざけているのか!」と受け取ってもらえず、怒って「犬のための本当にぶよぶよした前奏曲」を再作曲し、再び持ち込んだそうです。
ちょっぴり不安を掻き立てるメロディ…。
あとちょいちょいビクッとさせるシーンがあります。
「パヴァーヌ」とは、16世紀から17世紀にかけてヨーロッパの宮廷で流行していた踊りのことを指します。
そしてもっとも誤解されやすいのは、「亡き王女」は「亡くなった王女」ではないということです。
20代でこの世を去ったマルガリータ王女を偲んだ曲と思われがちですが、「亡き王女」の部分は原題(フランス語)で「infante défunte」となり、言葉遊びとなります。
ラヴェルが韻を踏む要領で、フランス語で「亡き王女」の意味となるタイトルをつけたのだとか。
「剣の舞(つるぎのまい)」とは、一見、物騒なタイトルですが、剣の踊りという意味ではありません。
バレエ「ガイーヌ」の最終幕、クルド人が剣を持って戦う様子を表している踊りの場面で使われる楽曲なのです。
この場面が急きょ挿入されることとなり、ハチャトゥリアンは「思いつかねぇ~」と一晩中悩み、ある瞬間閃いて一気に作曲した曲なのだとか。
クラシックの楽曲は基本的に西洋のものなので、タイトルはどうしても日本人には意味が通じにくいものが多いと思います。
ですが、耳慣れない言葉を少し調べてみることで、今まで知らなかった文化に触れることができたり、歴史的背景を垣間見ることができて、新しい世界が開けるかもしれません。
何か気になったら、積極的に調べてみたり、演奏家と話す機会があれば、直接質問してみたりするとよいでしょう。
|
|
ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
|
|