[マンション・アパート経営] 不動産投資の”利回り”の考え方と、実質利回り計算方法!高利回り物件を見つけるコツ

不動産投資において非常に重要な「利回り」。広告に載っている内容だけで判断すると危険です。本当の利回りの算出方法、良い高利回り物件が市場に出る理由を解説。

執筆者: 荒川雄一 職業:国際フィナンシャルコンサルタント
不動産投資における「利回り」の考え方

こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。

さて今回は、不動産投資において非常に重要な「利回り」について考えてみましょう。

 

 

不動産広告に載っている利回りだけで判断するのは危険!

不動産投資も「投資」である以上、投資した金額に対して、どれだけの賃料収入があるかは、重要なポイントと言えます。

一般的な不動産広告では、よくこのように表記されています。

 

年間賃料120万円 ÷ 物件価格1200万円 = 利回り10%


しかしながら、不動産投資をする場合、この数字だけで判断するのは危険です。
不動産を維持するには、経費が掛かるからです。

 

 

本当の利回りを算出するには?

重要なのは、“実質利回り”です。

一般的に、本当の利回りを算出する計算式は、次のようになります。

 

(年間賃料 ― 年間経費)÷ 投資金額 = 実質利回り

 

例えば…

先ほど上でご紹介した利回り10%の不動産広告の例を当てはめて計算してみましょう。

年間賃料120万円、固定資産税や火災保険料などの経費が年間30万円の物件を、1200万円で購入した場合の実質利回りは、次のようになります。

 

(120万円 ― 30万円) ÷ 1200万円 = 実質利回り7.5%


そして、もし、この物件を値引きすることができて、1000万円で購入できれば、実質利回り9.0%になるということです。
まずはこの関係を、よく理解しておきましょう。

利回り物件の評価の仕方

上述のように、投資家とすれば、なるべく利回りの高い物件を購入したいわけですが、実際に価格は、その時期の“相場”に左右されます。

逆に言うと、利回り相場が6%の時に、10%を超す物件があった場合、そこには、必ず何かしらの理由があるということです。

 

投資するならどっち?

例えば、千代田区の一等地で、築30年程のビルが売られているとします。
新しい物件ではありませんが、諸条件から、表面利回りが5%くらいの価格でも、多数の買付が入る事が予想されます。
一方、シャッター通りに面する地方都市の駅近ビルが、千代田区の物件と同じ築30年とすると、利回りが2倍の10%でも売れるかどうかはわかりません。

要因としては、下記のようなことなどが考えられるからです。

 

  • 土地の地価(評価額)が違う
  • 千代田区は都心の一等地という付加価値がある
  • 千代田区の物件の方が、需要が多く、空室率を抑えられる
  • 千代田区のビルは将来値上がりの可能性もある
  • 地方都市は、場所によっては今後人口減少が進む
  • 売却する場合、千代田区の物件の方が値崩れしにくい

 

「実質的な価値」が高い物件が、良い利回り物件

従って、良い利回り物件とは、土地の評価、空室リスク、修繕費・運営費などのコスト、中長期的に見た不動産相場等も勘案して、「実質的な価値」が高い物件ということができるのです。

 

市場に高利回り物件はあるのか?

では、「良い高利回り物件は、市場にあるのか?」という疑問を持たれる方もいると思います。

 

答えは「Yes」です。

なぜ、そのような物件が市場に出回るのでしょうか?

「優良な高利回り物件」には、頻繁に出会うことはできませんが、いくつかの理由で、そのような物件を見つけることは可能です。

 

理由1「物件の評価」

1つ目の理由は、「物件の評価」です。

不動産の売却に慣れているオーナーは、それほど多くはありません。
また、物件の在る地域に精通していない不動産会社に依頼した場合、相場より低い評価をするケースがあるからです。

結果、時に市場の相場価格よりも、「割安」な価格設定で売りに出されることがあるのです。

 

理由2「売り急ぎ」

2つ目の理由は、「売り急ぎ」です。

一般的に、不動産売買は、「契約 → 資金調達(融資)→ 決済」と段階を踏むため、時間がかかります。

しかしながら、売主側で早急に現金が必要な場合には、買い手を待つ余裕が無く、スピードを求められるため、早く売れる価格設定で物件を売り出すことがあります。

現金で購入できる投資家、早く融資を確定させられる投資家は、「良い高利回り物件」を取得できるチャンスが増えるのです。

 

理由3「阻害要因がある」

そして、3つ目は、比較的改善が容易な「阻害要因がある」場合です。

外観など、見た目が非常に悪い物件、空室が多く利回りが期待できない物件などは、投資家(買主)から敬遠されるため、どうしても「安い価格(利回りは高くなる)」で売り出されることとなります。

ただ、一見したところ汚く感じる物件でも、ちょっとした塗装や高圧洗浄などで、見違えるような見栄えになる物件もあります。
また、現況は空室が多くても、少し家賃などの条件を緩和することで満室にできる物件が、割安に売られている事も珍しくはありません。

要は、不動産の“目利き”ができるかどうかが、重要なポイントと言えるのです。

おわりに

以上をまとめると、次のようになります。

 

  • 不動産投資の利回りは、「実質利回り」で見る
  • 優良物件かどうかは、「実質的な価値」で総合評価する
  • 割安に物件を購入するには、「目利き」が必要である


個人投資家にとっては、特に3つ目の“目利き”は難しいかもしれません。
その場合には、経験豊富な不動産コンサルタントや不動産会社の意見を参考としながら、物件選びを行うとよいでしょう。

 
 コラムニスト情報
荒川雄一
性別:男性  |   職業:国際フィナンシャルコンサルタント

投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。

■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他

■メディア実績(執筆、取材など)
 ・日本経済新聞 、日経ヴェリタス 
 ・納税通信、税理士新聞
 ・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
 ・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など

■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)