原因不明の慢性下痢におすすめの漢方薬「啓脾湯」「参苓白朮散」とは

胃腸が弱いために下痢をしてしまう人に適した漢方薬を紹介(啓脾湯・参苓白朮散)。何か特別な原因があるわけでもなく慢性的にいつも下痢・軟便であるなら、原因の一つとして体質的な胃腸虚弱が考えられます。

執筆者: 田伏 将樹 職業:薬剤師(漢方薬・生薬認定薬剤師)
原因に心当たりなし!慢性的な下痢に効く漢方薬

こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。

下痢はいろいろな原因で起こりますね。


例えば、細菌やウイルスによる感染症、食中毒。
急にお腹を冷やしてしまったときも起こります。

 

食べ過ぎや飲みすぎなどの不摂生によっても下痢をすることがあります。
仕事でストレスを受けたときに下痢する人もいます。


また、潰瘍性大腸炎のような炎症性の疾患による下痢もあります。

 

 

特別な理由なく慢性的に下痢が続くようなら「体質的な胃腸虚弱」かも?

しかし中には、何か特別な原因があるわけでもなく、慢性的にいつも軟便・下痢だという方がおられます。
病院を受診しても特に異常は見つからない。
その場合、体質的な胃腸虚弱によるものかもしれません。

 

胃腸虚弱だと、次のような症状が見られます。

 

胃腸虚弱の主な症状

 

  • 飲んだ水の吸収能力が悪いので下痢をする
  • 下痢の他に、ちょっと食べ過ぎると消化が追い付かず消化不良を起こす
  • 消化管の動きが悪くて腹痛になる
  • 胃に水が溜まっていて悪心や嘔吐がする
  • 栄養の吸収が悪いので疲れやすくなる など

 

おすすめの漢方薬その1「啓脾湯(ケイヒトウ)」※処方が必要です

お腹を冷やしたり、生ものを食べたり、わるくなったものを食べたりとかではないのに、いつも軟便や下痢で困るという人に使われる漢方薬のひとつが「啓脾湯」(けいひとう)です。

 

次の9種類の生薬が配合されています。

 

  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 人参(ニンジン)
  • 蓮肉(レンニク)
  • 山薬(サンヤク)
  • 山査子(サンザシ)
  • 陳皮(チンピ)
  • 沢瀉(タクシャ)
  • 甘草(カンゾウ)

 

胃から腸への飲食物の動きを良くさせる、食べ物の消化を助ける、栄養を補う、下痢を止める、腸内の過剰な水分を引き込んで尿として排泄させる、といった働きのある生薬が使われています。

胃腸が弱いために下痢をしてしまう人に適した方剤です。

ただし、啓脾湯は医療用のものしかありませんので、医療機関を受診して処方してもらう必要があります。

 

おすすめの漢方薬その2「参苓白朮散(ジンリョウビャクジュツサン)」※市販薬です

一般用医薬品(市販薬)で、処方がなくても購入が可能なものでは「参苓白朮散」(じんりょうびゃくじゅつさん)があります。

 

次の10種類の生薬が配合されています。

 

  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 人参(ニンジン)
  • 蓮肉(レンニク)
  • 山薬(サンヤク)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 縮砂(シュクシャ)
  • 薏苡仁(ヨクイニン)
  • 扁豆(ヘンズ)
  • 桔梗(キキョウ)

 

「啓脾湯」と共通して使われている生薬が多いだけでなく、それぞれの生薬のはたらきも「啓脾湯」と似ており、ほぼ同じ効果が期待できます。

 

正しい効果を引き出す漢方薬の飲み方

食事の場合、食の細い方は一度にたくさん食べられないので、1日3度ではなくて、食べられそうなときに少量ずつ食べるのがいいと思います。

 

少しずつ飲むのが良いが、水の摂り過ぎに注意!

同様に通常、漢方薬は1日量を2~3回に分けて飲むのですが、腸からの吸収が能力が悪いことを考えると、半量ずつ1日5~6回くらいに分けて服用してもいいかもしかしれません。

 

この場合、服用回数を増やしても、服用するときに水を摂り過ぎないように気をつけなければいけません。

 

冷えた水で飲むのはNG!

また、冷蔵庫の冷たい水などで服用すると腸が冷えて、下痢を招きやすくなります。

常温の水であっても、体温と比べると常温の方が温度は低いので、摂り過ぎてはいけません。

 

下痢は栄養を十分に吸収できず、消耗してしまう

下痢が続くと、栄養が十分に吸収できないだけでなく、気力も体力も消耗してしまいますので、放置しないようにしましょう。

 

食が細くて、疲れやすく、やせ型で、下痢の傾向があるなら、今回ご紹介した漢方薬で体質改善ができる可能性があります。

漢方薬は体質によって合わないこともありますので、心配な方は購入前に専門家にお尋ねください。

 
 

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