介護現場に「音楽」を!映画「パーソナルソング」から考える、音楽と一生付き合う方法
高齢者の介護現場に「音楽」を!思い入れのある曲を聞くことによって、認知症やアルツハイマー病が劇的に改善した例が多々あります。いざというとき自分を取り戻すために、好きな曲や音を家族や周囲の人々に伝えておきましょう。
こんにちは。ピアニストの小川瞳です。
今回は、「一生を通じての音楽」をテーマにお話しします。
アメリカのドキュメンタリー映画「パーソナルソング」が2014年に公開され、最近では特に音楽と認知症との関係性が注目されています。
「パーソナルソング」は、介護施設に入居している認知症患者が音楽によって記憶をよみがえらせたり、気力を回復したりする様子を記録している映画です。
普段は寝たきりの高齢者が、昔好きだった音楽を聴くと体を動かし足踏みをし、しだいに音楽に合わせて口ずさむまで明るく変化していきます。
その映像は大変感動的で、音楽療法の素晴らしさに気づかせてくれます。
音楽に少しでも関心がある方なら、「自分の心を揺さぶる音楽は何か」「どういった傾向の音楽をよく聴いているか」を再度確認しておくとよいでしょう。
好きな音楽ではなくても、たとえば学校の先生なら、長年に渡り毎日何度も耳にしているキーンコーンカーンコーンのチャイムの音が、体にしみ込んでいるはずです。
そうなると、仮に認知症や、何かのアクシデントで意識不明になっても、チャイムの音には反応して、意識が覚醒する可能性があります。
いざというときのために、普段よく聞いている音楽を、周囲の人に伝えておくことも大切かもしれません。
音楽における音というのは、意味を持つ言語の音とは違って、音そのものが脳や心に働きかけてくれるのです。
だからこそ、さまざまな人間を救えるのだと思います。
生演奏に触れるのも、良い刺激になる
視覚的にも楽しめる生演奏もお勧めです。
生演奏に触れる機会に恵まれると、体力や気力が低下している高齢者にもよい刺激となったり、新鮮な癒しの効果が得られることが多いからです。
子供たちの合唱の声なども、いきいきとしたエネルギーに満ち溢れているものなので、人々に元気を与えることができるでしょう。
高齢者を介護している方は、日常の雑務に追われて、なかなかそういった場に出かけるということを思いつかないかもしれませんが、学生の吹奏楽部の演奏会や合唱祭・文化祭など、アマチュアの演奏であってもエネルギッシュな音楽を聴ける場はたくさんあります。
介護している方の気分転換もかねて、いろいろなイベントに参加してみるのもよいかもしれません。
一概にはいえませんが、基本的に学校の文化行事は、春と秋に開催されることが多いようです。
もし興味があったら、たいてい各市町村のホームページに学校行事のご案内が掲載されていますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
また人間の五感の中で、聴覚が最後まで残るといわれています。
多方面でのご活躍で非常に有名な聖路加国際病院の医師 日野原重明先生の本にも「最後まで残っている力は聴く力です」とあります。
死を目前とした人間であっても、聴覚だけは働いている可能性が高いので、周りの人々による語りかけは非常に重要なことだそうです。
ただ、意識が衰えていると、言葉の意味を理解するのは難しいかもしれません。
それでも語りかけは、人の声そのものが持つチカラが大きいので、非常に有効なことですが、なかなか語りかけを行える人がいないときは、音楽に頼るのもよいと言われています。
病室によっては勝手に音楽を流すわけにはいかないかもしれないので、ヘッドフォンの活用もお勧めします。
ヘッドフォンを使うと、脳に直接響くような感覚にもなるので、より苦痛や精神的な落ち込みを和らげる効果も期待できるのではないでしょうか。
音楽との接し方はいろいろな方法があります。
ぜひ一生をかけて、聴力の有効活用としても考えてみてくださいね。
|
|
ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
|
|