スポーツ選手の腰痛の原因。腰を痛めずに競技を行うには?

腰痛になりやすいスポーツは?「スポーツと腰痛」について理学療法士が解説。運動をしている人が腰痛になりやすい原因や、腰を痛めやすい動作を学びましょう。

執筆者: 高田 彰人 職業:理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)
スポーツと腰痛の関係

理学療法士の高田彰人です。

 

腰痛は、医療現場・スポーツ現場の共に発生率が非常に高い疾患です。

この背景として、「幼少期の外遊びの減少」、「座り心地のよい椅子」、「ゲームやスマートフォンの普及」などが関係していると考えます。

つまり、人類の進化と共に腰痛の発生はさらに増加していくことが予想されます。

 

今回は、「スポーツと腰痛」というテーマでお話しします。

 

 

スポーツ選手の腰痛経験率が高いのはなぜ?

アスリートは、競技種目に特異的な運動を繰り返すことによって、腰部に物理的負荷が加わり続ける傾向があります。これにより、障害が発生するといわれています 1)


実際、高校までに運動を行なっていなかった人に比べて、運動経験のある人は腰痛を経験したことのある率が高いという結果が出ています。

 

運動歴のない人とある人を比較!腰痛経験頻度がこんなに違う

大学入学時のタイミングで、運動歴のある人の腰痛経験頻度を、運動歴のない人と比較してみた結果がこちらです。

 

  • バレーボール 3.8倍
  • 野球 3.2倍
  • 陸上 2.9倍
  • バスケットボール 2.5倍
  • 水泳 2.4倍
  • 剣道 2.2倍
  • テニス 1.9倍
  • サッカー 1.6倍


以上のことから、競技スポーツを行うことは、腰痛の発生リスクを増大させるという一面を持ち、その程度は種目特異性を有することが分ります 2)

なお、競技毎の腰痛発生率にはさまざまな報告があり、競技のアスリートに対する海外でのアンケート調査では、バスケットボール選手が最も腰痛症を抱える割合が高いという報告もあります 3)

 

椎間板が変性している人が多いスポーツとは?

腰痛のリスク要因のひとつであると考えられているのが、「腰椎椎間板(ようついついかんばん)変性」です。

 

半谷らは大学生アスリートを対象として腰椎椎間板変性率を調査しています 2)

競技ごとに、椎間板の変性が見られた割合を見てみましょう。

 

椎間板変性保有率
  • バレーボール 69%
  • ウェイトリフティング 62%
  • 野球 60%
  • 競泳 58%
  • バスケットボール 43%
  • 剣道 39%
  • サッカー 36%
  • 陸上トラック競技 26%
  • 非運動経験者 31%

 

上記のような結果になりましたが、決して、スポーツ活動自体が身体に悪というわけではありません。

今後、スポーツをしながら腰痛発生率を減少させることが必要と言えるでしょう。

 

ジャンプ動作が多い競技は、椎間板変性を引き起こしやすい

これまでの結果から、バスケットボールやバレーボールなどのジャンプ動作を伴う競技では、腰痛との関わりが深い傾向があるといえます。


半谷らは、バスケットボールやバレーボールにおいては、第2腰椎〜第3腰椎間での椎間板変性発生率が他競技に比べて高いということを報告しています。

 

この2つの競技に特徴的なのは、競技中のジャンプ動作を行う回数が非常に多いこと。

その点から、第2腰椎〜第3腰椎の椎間板変性を引き起こす原因に、ジャンプ動作が関わっていると考えられます 2)

 

スポーツには競技特性があり、一定の動作を反復するものがあります。

これらは腰痛発生にも関係することが推測されますので、競技特性に即したトレーニングが必要でしょう。

 

 

バスケットボールで、腰痛を起こす原因になる動作とは?

次に、バスケットボールを例に、動作と腰痛の関係をまとめてみました 4)

 

1.腰を反らす

原因:椎間関節に過度な圧迫ストレスが加わること
動作:リバウンドなど上肢の振り上げを伴う動作、ダッシュやジャンプといった股関節伸展を伴う動作。

2.腰を丸める

原因:椎間板性や筋筋膜性
動作:ディフェンス時のパワーポジションや踏み込み動作時の骨盤後傾に伴う、過剰な屈曲運動を繰り返す。

3.腰をひねる

原因:椎間関節性、椎間板性、筋筋膜性
動作:切り返し動作などで、過剰な回旋動作を繰り返す。

スポーツをする人は、腰を痛めないよう特に注意が必要

今回はスポーツと腰痛の関係について、まとめてみました。

スポーツ選手の腰痛には、発育期腰椎疲労骨折や腰椎椎間板ヘルニアなど、長期間のスポーツ活動休止を余儀なくされる疾患もあります。

 

次回以降は、腰痛が起こりやすい人の特徴や、腰痛を防ぐトレーニングについてご紹介したいと思います。

参考文献

1)金岡恒治:体幹深部機能からみた腰部障害,MB.Orthop.27(13):7-12.2014.
2)Hangai,M,Kaneoka K,Okubo,Y.et al:Relationship between low back pain and competitive sports activeties during youth.Am J Sports Med.37(1):149-55,2009.
3)Noormohammadpour P et al:Low back pain status of female university students in relation to different sport activities. Eur Spine J 25(4):1196-1203,2016.
4)中田周兵、清水結:バスケットボールによる頚部・体幹の障害の理学療法における臨床推論–非特異的腰痛症について–.理学療法33(10)2016,896–903.

 
 コラムニスト情報
高田 彰人
性別:男性  |   職業:理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー(JASA-AT)

【資格】
理学療法士
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
JCCA公認アドバンストトレーナー
四街道市スポーツリーダー

【トレーナー活動歴】
茨城県立取手松陽高等学校 男子バスケットボール部
茨城県立取手第二高等学校 男子バスケットボール部 
茨城県少年男子国体バスケットボールチーム
車椅子バスケットボール 日本代表選手

【研究分野】
バスケットボールの障害・パフォーマンス
足関節捻挫
疲労骨折
肉離れ

【所属学会】
日本理学療法士協会
日本整形外科スポーツ医学会
日本臨床スポーツ医学会
ドイツ筋骨格医学会
日本コアコンディショニング協会

【コンセプト】
①監督‐選手‐トレーナーの共通理解の徹底化
②トレーニングと障害予防の融合
③アウターマッスルとインナーマッスルの共同

【トレーナー目標】
日本が世界では通用しないと思われているスポーツ分野の底上げ

【ブログ】
バスケ選手のためのトレーニング理論
http://ameblo.jp/arinco-power55/

【アドレス】
g.torini.9@gmail.com

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