少子化は本当に悪?戦争も飢餓も環境問題もない世界を子どもたちに残すこと。

少子化が進む日本。深刻な社会問題として扱われ、悲観論が蔓延していますが、本当にデメリットしかないのでしょうか?適正人口や人口減少のメリット、今後未来に向けてできることを一緒に考えてみましょう。

執筆者: 金子 大輔 職業:気象予報士、理科教員
「少子化=人口減少」のメリット・デメリットを考えてみる

こんにちは。生き物好き&占い好きな気象予報士の金子大輔です。

今回は、少子化について、理科教員・自然解説員として考えてみたいと思います。

 

現在の日本では、少子化が深刻な社会問題とされていますが、40代以上の方は子どもの頃のニュースを思い出してみてください。

1980年頃の新聞では「子どもは最大でも2人まで」という字が躍っていた記憶はありませんか?

 

 

人口爆発と環境問題

地球温暖化、酸性雨、森林破壊、砂漠化、水質汚濁…。

あらゆる環境問題は、産業革命後、世界人口が急増するとともに襲いかかってきました。

 

1970~1980年代、環境問題が激化し、政府は必死で人口を減らそうとしていたのです。
ですが、バブル崩壊後は、長い不況と経済の低迷で地球環境を思いやる余裕を失い、政府は手のひらを返したように出生率を増やそうとしてきました。

 

環境問題は異常なペースで拡大している

環境問題が解決したわけでは決してありません。

現在も年間で4万種(1日では100種以上)の生物が絶滅しています。

これは、白亜紀末に恐竜が絶滅したときをもはるかに上回る、極めて異常なペースといえます。

 

伐採される熱帯多雨林

 

本来の適正人口は、何人くらい?

世界人口が1億人を切れば、戦争も飢餓も環境問題もなくなるとする説があります。

私も同感で、日本で数十万人世界で数千万人くらいを適正人口と考えます。

 

適正人口とは、仮にみんながあちこちで排泄やポイ捨てをしても、環境面・衛生面で問題が生じない人口としています。

実際、大きな災害が起きて社会が麻痺したときには、そうせざるを得なくなりますので、このような事態を当然想定しておくべきです。

 

人口減少のメリット
自然環境の改善

世界人口が大幅に抑えられると、住宅や農地などに使う土地が減ります。

地球上の大部分を自然のまま残しておけるのです。

そうなれば、ヒトと距離が近いとどうしてもうまくいかないカバ・イノシシ・クマ・ドクガ・スズメバチといった動物も、森林の奥深くへと帰っていくことでしょう。

 

過密の解消

身近なところでは、満員電車も渋滞もなくなり、あらゆる「行列」「混雑」がなくなります。

崖や河川の近くなど、災害の危険があるところに住む必要もなくなり、地価が下がってみんなが大きな家に住めるようになります。

隣家との距離を何キロも取れるので、騒音を始めとしたご近所とのゴタゴタもほぼなくなるでしょう。

 

意外に可愛い顔をしたチャドクガ。

「ボクを悪者にしないで」と訴えているようです…。

 

人口減少のデメリットと対策

もちろん、人口減少にはデメリットもあります。

 

年金問題

まっさきに上がるのは、年金の問題です。

「若い人が働いて高齢者を養う」というシステムを、きれいさっぱり未練なく捨て去り、まったく新しいシステムをゼロから創る時期にさしかかっていると思います。

 

国力・経済力の減退

国力・経済力が落ちることも懸念されますが、地球がダメになっては経済もへったくれもありません。

永遠に成長し続けなければいけない「経済」「マネーゲーム」こそが、究極の「クソゲー」「無理ゲー」であったことを反省する機会かもしれません。

経済が発展しなくてもやっていける、人口が減っても回る新たな「ゲーム」を一から創る覚悟も必要でしょう。

 

社会インフラの崩壊

さらに、少子化が進んで人手不足が深刻化すると、社会インフラが崩壊するのではないかという懸念もあります。

そこは、AIのさらなる発展に期待したいところですね。

 

気象庁HPより引用

 

「人口を減らす」以外に、人類の未来の選択肢はない。

環境問題を語ると、どうしても「人口を減らせ」という月並みな(今の日本では、月並みですらなくなってしまった?)結論に達しがちですが、言いかえれば、これ以外に方法はないということでもあります。


田中優さんの著書『環境教育 善意の落とし穴』(クレスコファイル)では、人口が少ないことで知られるアイスランドについて、次のように述べています。

アイスランドでは小規模な自然エネルギーで暮らそうという価値観が確立しているが、30万人の人口だったからこそ、公共事業も巨大化せず、利権は小さく、人々の意思は伝わりやすく、互いに信じあって生きようとすることになった。

 

また、花里孝幸さんの著書『自然はそんなにヤワじゃない―誤解だらけの生態系』 (新潮選書)でも、こう結論づけています。

使用エネルギーが少なかった昔の不便な生活に戻ることは不可能だから、人口を減らすことしか人類の未来の選択肢はない。

 

世界で一丸になって

非人道的なことをせず、平和的に人口を抑制するのは、人口を増やすよりずっと難しいし時間がかかります。

私は、『二酸化炭素の排出取り引き』のごとく「人口を減らした国はボーナス&国際的に賞賛される、増やした国は罰金&国際的に叩かれる」という世界規約を早急に作ることが課題だと考えます。


発展途上国の援助をする際にも、子育て支援ばかりでなく、質のよい避妊具を送ったり、正しい性教育をしたりすることも大切でしょう。

 

日本は、悲観的にならずに世界のお手本をめざそう!

日本は超少子化を迎えていますが、悲観するのでなく、世界をリードする人口減少社会のお手本となることをめざしてはどうでしょうか。

 

「結婚も出産も義務ではない。国会議員に立候補する以上の覚悟で、我こそは!と思う人だけ子育てにチャレンジして」とマスコミでアナウンスして欲しいと思います。

 
 コラムニスト情報
金子 大輔
性別:男性  |   現在地:東京都江戸川区  |   職業:気象予報士、理科教員

生き物が大好きな気象予報士&教員&物書き&占い師。生き物はゴキブリも含めすべて好きで、生き物と天気については話し出したら止まりません。ディズニーランド好き、絶叫系好き、激辛好き。

著書
『こんなに凄かった! 伝説の「あの日」の天気』
『気象予報士・予報官になるには』
『気象予報士 (シリーズ“わたしの仕事”)』
『世界一まじめなおしっこ研究所』

Twitter:https://twitter.com/turquoisemoth
facebook:https://www.facebook.com/turquoisemoth
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/cameleotino

 

 生活のコラム