飛行機の燃料についての豆知識!飛行機の燃料ってガソリンじゃないの?どこに積んでるの?

車の燃料はガソリン、では飛行機の燃料は何?燃料の種類や燃料を積んでいる場所、給油の方法、最大でどのくらいの燃料が積めるのかなど、飛行機の燃料に関するさまざまな疑問を解決します。

執筆者: 奥之園 誠 職業:航空アナリスト

 

 

車の燃料はガソリン。では、飛行機の燃料は?

最近はエコカーの普及も進み、電気で走る車も増えつつあるとはいえ、「車の燃料」と言えば、一般的にはガソリンを思い浮かべますよね。

では、飛行機の燃料は、車と同じガソリンなのでしょうか?

 

今回は、普段は意識する機会の少ない「飛行機の燃料」についてお話しします。

 

 

 

飛行機の燃料は、航空用の“軽油”

「飛行機の燃料はなに?」

飛行機の種類にもよりますが、ジェット旅客機については、その答えは「軽油」です。 

ただ、軽油と言っても、私たちがガソリンスタンドで購入できる軽油ではありません。

航空用に生成された軽油で「ケロシン(JET-A、JP-5)」と呼ばれる燃料です。

 

※小型のプロペラ機では、航空用ガソリンを燃料とするものもあります。

  

航空用に生成された軽油「ケロシン」は、低温下でも凍らない!

ジェット旅客機が飛ぶ高度1万メートル以上では、気温が平均マイナス50℃にもなります。

この厳しい低温下でも凍らない、純度が高く水分の少ない燃料がケロシンです。

  

ケロシンが採用された理由は?

では、なぜ飛行機の燃料としてガソリンでなく、軽油(ケロシン)が使われるようになったのでしょうか。

軽油が採用された背景には、いろいろな専門的な理由がありますが、大きな理由は次の2つです。

 

1. 価格面

軽油は、ガソリンより安価です。

 

2. 安全性

軽油は、ガソリンと比べて火災の危険性が低いです。

 

ガソリンの引火点は-43℃ですが、ケロシンは38~72°C。

ガソリンより引火点が低く、揮発しにくいのです。

 

飛行機の燃料は、どこに積んでいるの?

飛行機の燃料は、どこに積んでいるかお分かりでしょうか?

 

もちろん飛行機にも、車のように燃料タンクがあります。

その場所は、客室の下の胴体部分と思われる方も多いかもしれません。

ですが、客室の下部は貨物を入れるスペースとなっており、燃料は積んでいません。

 

正解は、主翼の中、および胴体の中央付近です。

胴体の中央付近は、「中央翼」と呼ばれます。

 

 

赤:主翼の中の燃料タンク青:中央翼内の燃料タンク(出典:Wikimedia Commons)



なお、機種によっては、水平尾翼の中にも燃料タンクを搭載する機種があり、B747-400がその構造を持っています。

 


翼・中央翼に燃料を積む理由は?

翼と中央翼に燃料を積む理由は、端的に言うと、そこにしか積めるスペースがないからですが、もっと重要な航空力学上の理由もあります。


飛行機が飛ぶには、飛行機を上に押す力(揚力)が必要となります。
翼が揚力を受けて上へ持ち上がると、翼が上方向にしなります(反り返る)。
ところが、翼が大きな力を受けてしなり続けると、構造的な限界があり、最終的には翼が壊れる可能性があります。

そこで、翼に燃料を入れることで翼を重くし、燃料の重みによって、主翼が必要以上に反り返る力を和らげるようになっています。

これが、主翼に燃料を積む大きな理由なのです。

 

給油はどのようにするの?

空港施設によって若干の違いはありますが、一般的な燃料の給油は、燃料を登載したタンクローリーを使用して行われます。

 

空港での飛行機への給油の様子

 

羽田空港などの大規模な空港では、空港地下にパイプランが張り巡らされています。

飛行機の駐機している場所(スポット)付近までパイプラインが伸びており、そこから、タンクローリーを介して飛行機に給油されるのです。

 

羽田空港の場合

羽田空港内のパイプラインの総延長距離は、約40kmにおよびます。

羽田空港は海が近いので、タンカーから運ばれた燃料は、空港敷地内のタンクに貯蔵されます。

 

成田空港の場合

成田空港の場合は内陸のため、千葉港から成田空港まで約47kmものパイプラインが敷設され、燃料を成田空港へ送っています。

 

飛行機の燃料の給油単位は? 車と同じリッター?

ガソリンの給油の単位は、リットル(リッター)ですね。

では、飛行機でも同じ単位のリッターを使っているのでしょうか?

 

答えは、リッターではなく、ポンド(lb)が使われています。

飛行機の各種重量の単位はポンドなので、それに合わせた形で燃料の単位にもポンドが採用されているのです。

 

重量はどのくらい?

ガソリン1リットルは、比重が0.73~0.76なので、重さに換算すると730g(1608lb)~760g(1675lb)です。

一方、飛行機用の燃料であるケロシンは、比重が0.79~0.83。

よって、ケロシン1リットルは、790g(1741lb)~ 830g(1829lb)で、ガソリンより少し大きい重量となります。

 

最大でどのくらいの燃料が積めるの?

燃料は、そのフライトに応じた最適な燃料量を計算して給油されます。

では、最大でどのくらいの量が積めるのでしょうか?

 

 

国際線の大型主力機の場合

現在の国際線の大型主力機の一つであるB777-300ERを例にとってご説明します。

 

B777-300ERが登載できる最大燃料は約18万リットル。

ドラム缶に換算すると、約900本分になります。

18万リットルを燃料比重(ケロシンの平均的な比重0.8で計算)を加味して重量換算すると、約144トンになります。

 

燃料や乗客・貨物を登載しないB777-300ERの機体重量は約168トンなので、燃料がいかに飛行機の重さの割合を占めるのかが、お分かりいただけると思います。

感覚的に、飛行機の約半分は燃料と思っていただいてよいと思います。

 

B777-300ER

 

 

おわりに

今回は、飛行機の燃料に関するお話でした。

使われている燃料の種類や単位が、車とは違うことなどがお分かりいただけたでしょうか。

 

またの機会に、飛行機の燃費や燃料節約の裏技についても、お話ししたいと思います。

お楽しみに!

 
 コラムニスト情報
奥之園 誠
性別:男性  |   職業:航空アナリスト

航空ブロガー、航空検定1級。

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