人間が一番怖い…オカルト研究家が震え上がった人にまつわる怖い話

人間って怖い…オカルト研究家・洋子が人間関係の暗部、悪意、嫉妬、憎悪など、お化けや怪異よりも深く、恐ろしい人間の感情や行動に迫ります。

執筆者: 洋子

こんにちは。オカルト研究家の洋子です。

今日は、お化けでも怪異でもない、人間についてのとびきり怖い話をお届けします。

私は日々、奇妙な現象や未解決の謎を追っていますが、ふと思うことがあります。悪意、嫉妬、憎悪、行き過ぎた感情、予測不能な行動など…お化けや怪異よりもむしろ、人間関係や人間の本能、人間が持つ本質こそが最も怖いのではないか、と。

オカルト研究家の私が出会った、思わず人間が嫌いになりそうな怖い話の世界へ、あなたをお連れします。

 

四足歩行の人間

 人間が一番怖い…オカルト研究家が震え上がった四足歩行の人間

 

Kさんは、心霊映像を見ることにハマっている。そんなKさんが、会社の同僚のSさんに見せられた、とある1本の動画の話だ。

それは、Sさんの自宅にあるインターフォンのカメラ映像を、スマートフォンで撮影したものだった。

関東地方に住むSさんは、両親と、静かな住宅街にある一軒家で暮らしている。家の前は道路になっており、道路を挟んだ先には公園があって、人の背丈ほどの高さがある垣根が生い茂っていた。

Sさんが奇妙なお婆さんに遭遇したのは、深夜1時頃のことだった。日曜の夜だったので、家族は出かけており家にはSさんだけだったという。
ゴミ出しに外に出ると、道路を挟んだ公園にお婆さんが一人立っていて「〇〇さん(Sさんの苗字)」と声をかけられた。

見かけたことのない人だな? と思いつつも、Sさんはとりあえず会釈だけして家の中に入り、玄関のドアを閉めた。しばらくすると「ドシンッ」と、何かがドアにぶつかる音がした。

Sさんが、恐る恐るインターフォンカメラで外の様子を伺うと、公園の垣根の間から、先ほど会釈したお婆さんが、四足歩行で地面にべったりと這うようにし、ものすごい速さでSさんの自宅に向かって来るのが見えた。お婆さんは奇声を上げてドアに体当たりし、また公園の方に戻っていく。

延々とそれを繰り返すお婆さんに、Sさんは異様なものを感じながらも頭は冷静で「明日この話を誰かにしても、絶対信じてもらえないだろうから、録画しておこう」とスマートフォンで撮影をすることにした。

四足歩行のお婆さんが、公園の垣根の間からSさんの自宅に向かってきては、奇声を上げつつ無表情でドアに体当たりを続ける…動画を見て、Kさんは「ヒッ」と息をのみ、Sさんに恐る恐る「このお婆さんは、結局どうなったんですか?」と尋ねた。

Sさんは、「翌日仕事でしたし。延々に繰り返すので、さすがに付き合いきれないと、1時間くらい経った頃に寝てしまいました。なので、動画にはこれ以降が映っていないんですが、朝見たらいなかったので、夜の内にどこかにいったんじゃないかと。でも、お化けじゃないから安心していいですよ」と答えた。

というのも、お婆さんのものだと思われる麦わら帽子が、玄関前に落ちていたからだという。Kさんが映像を見直すと、確かにお婆さんは麦わら帽子を被っていて、シャツのようなものを着ており、裸足だった。

Sさんは、自分の苗字をお婆さんが呼んだことが気にかかり、「もしかしたら、家族の誰かが知っているかもしれない」と、翌日家族にも映像を見せたが、誰も見覚えがなかったそうだ。

また、ドア越しでもわかるくらい、叫ぶように上げていた奇声は、音だけよくよく注意して聞いてみると「なんで死んだの…」と言っているように聞こえると語った。

しかし、Sさんのそんな話は、Kさんの耳には全く入ってこなかった。「お化けじゃないから安心していい」と、淡々と語るSさんに対して、安心するどころかむしろ寒気を覚えたという。

お婆さんが落としていったのは、麦わら帽子。そして、お婆さんは裸足。映像が撮られたのは、雪がいつ降り出してもおかしくない氷点下の夜だった。

人間怖いポイント

お化けかと思ったら、四足方向でこちらに向かってくる人間(お婆さんだった)、という怖い話。いや、人間ではなく、もしかしたら…?

予測不能な行動をとる人間って怖いですよね。また、せっかくの日曜の夜に、なぜ自分の身にこんなことが起こるのかと不条理も感じます。

 

共感過剰

泣いている少女と優しく見守る少年

 

智也は、いつも穏やかで、人付き合いも良好な高校2年生。智也のクラスに、新しく美咲という少女が転校してきたのは、新学年が始まって仲良しグループも少しずつ固定してきた6月の半ばのことだった。

美咲は極度の人見知りで、クラスメイトに話しかけられても、目を合わせないだけでなく、突然立ち上がって教室を出ていってしまうことすらあった。美咲を心配した智也は、根気強く話しかけ、美咲を怖がらせないように優しく接して、美咲の学校生活が少しでも快適になるよう努めた。

初めは智也を避けていた美咲だったが、少しずつ智也の優しさに心を開き、二人の間には親密な友情が芽生え始めた。しかし、美咲の態度が変わったのは突然だった。美咲は智也に対して、過剰な共感を求めるようになった。彼女の悲しい過去や、感じている心の痛みについて、ただ話を聞くだけではなく「本当に理解して」と、智也に強く求めるようになる。

最初は、美咲の思いを理解しようと努めた智也だったが、次第に彼女の要求はエスカレートしていった。美咲は、自分の感じている苦しみを共感させるだけでなく、智也にも同じ苦しみを味わわせようとするようになった。

例えば、飼っていた猫が死んでしまった悲しみを智也に理解させるために、智也の大切にしているペットのインコを殺してしまった。美咲は智也に辛い体験を強要したり、心理的なプレッシャーをかけたりするようになっていった。

智也は美咲の行動に戸惑い、距離を置こうとするが、美咲はそれを許さない。夏休み前の終業式の日に、我慢しきれなくなった智也が「いい加減にしてくれ。もう限界だ」と伝えると、彼女は「あなたも私を理解してくれないのね」と言って、学校の屋上から飛び降りた。

驚愕と悲しみに包まれた智也は、美咲が残した日記を見つけた。美咲の日記には、智也への異常な執着と共に、智也が自分の感情を完全に理解してくれないことへの怒りが、毎日毎日びっしりと異常な量で綴られていた。彼女は、智也が自分と同じ苦しみを感じることでしか、真の理解者だとは認めなかったのだ。

智也の心は深く傷つき、人との深い関わり合いを避けるようになった。周囲の友人達は智也の変化に気づきながらも、美咲の死の真相を知らないため、智也はさらに孤独を深めることになった。

美咲の死後、智也は自分が他人の負の感情に「気持ち悪いほどに共感するようになった」という。まるで、美咲の過剰な共感性が自分に乗り移ったかのようだと。智也は人の悲しみや苦しみを過剰に感じ取るようになり、今も苦しんでいる。

人間怖いポイント

過剰な共感の要求は、恐怖に変わるという話。共感は大切ですが、行き過ぎた共感は人間関係を悪化させることがあります。

適度に距離をとることが大切ですが、それがなかなかできないから人間って怖いですよね。

美咲が智也に与えた影響が残り続けている点も、怨念じみた執着心を感じさせます。

 

猜疑心の塊

 悪口を言うゾンビの様な同僚達に囲まれて苦しむ男性

 

富山県にある、土木工事の請負会社に入社した鈴木さんは、上司の田中さんに強い違和感を覚えた。

きっかけは、田中さん、同僚の赤城さん、鈴木さんの三人で、ランチに出かけた時だという。田中さんは鈴木さんに、赤城さんの素晴らしい働きぶりを話し、赤城さんは「そんなことないですよ~」と、照れながら満更でもない様子だった。

しかし、赤城さんがトイレに行くと同時に、田中さんの態度が豹変した。赤城さんをべた褒めしていたのと同じ口で、「あの人の無能ぶりには呆れる」、「赤城さんのようなダメな社員にだけは絶対ならないで」など、赤城さんが席に戻るまで延々と悪口を言い続けたのだ。

「そうなんですね」、「わかります」と田中さんに適当な相づちを打ち、愛想笑いを浮かべつつ、鈴木さんは誓ったという。

(表面上はいい顔をして、その人がいない所では悪口を言う。田中さんは怖い人間だ、なるべく関わらないようにしよう)

前職でも、同じようなタイプの怖い人間がいたので、鈴木さんは対処法を心得ているつもりだった。しかし、鈴木さんが思うよりもずっと、田中さんは悪質な怖い人間だった。

鈴木さんの不安は、ある日の出来事をきっかけに増幅した。赤城さんがランチに出かけている間に、田中さんが彼女のデスクの引き出しを勝手に開けて、漁っているのを目撃してしまったのだ。慌てて隠れたので、田中さんには見つかっていないはずだという。

翌日になり、鈴木さんは田中さんに重要書類の提出を求められた。しかし、その書類がどこにも見当たらない。鍵をかけ、デスクのいつもの場所に入れていたはずなのに、突然消えてしまった。

必死に探したが見つからず、田中さんにそう報告したところ、「もっと責任を持って仕事をしてくれないと困る」と叱責されてしまった。
それからも、鈴木さんは重要な書類をなくしたり、客先で渡そうとした資料の中身が別のものに入れ替わっていたりと、仕事のミスを度々繰り返した。そのどれもに覚えがなく、鈴木さんは、田中さんの次のターゲットは自分になったのだ、とゾッとした。

さらに、オフィスでは奇妙な出来事が続いた。鈴木さんは、赤城さんを含めた何人かの同僚が、鈴木さんの方をチラチラと見ながら、話し合う姿を何度も目撃するようになった。その会話の中心にいるのは、いつも田中さんだった。鈴木さんは恐怖を感じたという。

相変わらず、覚えのない仕事のミスを続けながら、鈴木さんは自分が孤立無援の状態に陥っていることを痛感した。同僚たちの囁き、冷ややかな視線、オフィスの空気はより陰鬱なものに変わっていった。
しまいには、「誰にでもミスはある。次に気を付ければいい」とほほ笑む田中さんの、表面上の優しさにも吐き気を覚えるようになった。

状況に耐えかねた鈴木さんは、精神的な圧迫感に押しつぶされるようにして休職を決意した。朝起きると同時に、頭痛と吐き気に苛まれ、出勤することができなくなったのだ。

現在は、一週間の休暇を取ることにはしたものの、復職を考えるだけで食欲を失い、不安で夜も眠れない辛い日々を送っているという。

人間怖いポイント

表面上の振る舞いだけで、人を判断するのは怖いという話。

裏表がある人間というのは結構いるものなので、人間関係を築く際には注意深く観察しないと、怖い目に合うかもしませんよ。

また、いくら上司とは言え、愛想笑いを浮かべて同僚の悪口を肯定する鈴木さんも、怖い人間と思ってしまう私は、性格が悪いのかもしれません。

 

 嫌憎悪感

にらみ合って互いを罵る二人のサラリーマン

 

都内に勤める23歳の会社員、Aさんの話だ。Aさんには、翔太さんという長年の友人がいた。翔太さんとAさんは幼い頃からの親友で、何でも話せる仲だった。しかし、二人の関係はとあることをきっかけに、全く別物に変わってしまったという。


Aさんと翔太さんは同じ会社で働き、毎日のように顔を合わせていた。当初は仕事のストレスを共有し、励まし合っていたが、二人の間に微妙な緊張が生じ始めた。
翔太さんはAさんの小さな失敗を事細かに指摘してイライラするようになり、Aさんもまた、翔太さんの言動にイライラを募らせた。

二人の間の微妙な緊張は、翔太さんが昇進し、Aさんの上司になったことでさらに増した。翔太さんは仕事での結果を何よりも重視するようになった。

長年の友人であるAさんには無理も言いやすかったのか、深夜残業や休日対応など、翔太さんからAさんへの過剰な要求は、日に日にエスカレートしていったという。
Aさんは翔太さんの変貌に戸惑いながらも、はじめて任された仕事のプレッシャーだろうと始めは我慢していた。

ある夜、残業を終え疲れ果てていたAさんは、翔太さんと激しい口論になったという。その口論は、お互いの心の中に溜まっていた不満が爆発したものだった。二人はお互いを口汚く罵り合い、Aさんは、長年の友情が壊れただけでなく、翔太さんへの気持ちが憎悪に変わるのを感じた。

その後、Aさんは翔太さんと距離を置くようになり、会社も辞めた。しかし、Aさんの心には翔太さんに対する憎悪と嫌悪が残り続け、復讐の妄想に取り憑かれることさえあるという。二人の間には修復不可能な亀裂が生じてしまったのだ。

数ヶ月後、翔太さんからAさん宛に連絡があった。翔太さんはAさんに謝りたい、前のように親友に戻りたいと言ったそうだが、Aさんは徹底的に拒絶したそうだ。Aさんの心にはもう、翔太さんへの信頼は一欠けらも残っていないという。

人間怖いポイント

後日談ですが、この話を語ってくれたAさんの「翔太の名前は、必ず実名フルネームで出してください。あいつに思い知らせてやりたいんで」と言う鬼気迫る表情が忘れられません。


その後に「なーんて、冗談ですよ。でも、フルネームは絶対お願いします」とAさんは言いましたが、掲載は下の名前のみとしています。

 

さいごに

いかがでしたか。私達の周りには、お化けや怪異とはまた違った、人間にまつわる怖い話がたくさん存在しています。

今回紹介した話を見て、皆さんが「人間怖い! 人間関係を築くのが怖い!」と人間不信におちいらないことを、私は切実に願っています。

それではまた別の怖い話でお会いしましょう。

 
 コラムニスト情報
洋子

オカルト研究家の洋子です。

私の最大の関心事は、日本の古くから伝わる怪談話や未解明の伝説です。
全国の隠れた怖い話や地域特有の伝説に魅了されており、それらを探求するために日本全国を旅しています。

それぞれの地域で語られる独特の怪談話は、その場所の歴史や文化を映し出しています。
オカルト研究家として、同じ興味を持つ人たちとこれらの情報を共有し、議論を深めています。