【不動産経営の極意】マンション・アパートの維持コスト「臨時的な経費」と「税金」とは

マンション・アパート経営で忘れてはいけないコスト(経費)について解説。一つは、入居者が退去するときに必要となる「原状回復費用」や「設備の入れ替え・リフォーム費用」。もう一つは「税金」です。これらの支出を考えて資金計画的を立てないと大変なことに!

執筆者: 荒川雄一 職業:国際フィナンシャルコンサルタント
不動産投資にかかるコストとは?その2

こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。

前回は、不動産投資にかかる様々なコスト(経費)の中から、毎月かかる日常的な経費である「管理費」と「修繕積立金」について解説しました。

今回は、残りの不動産維持コスト「臨時的な経費」と「税金」を取りあげたいと思います。

 

 

コスト1 臨時的な経費

まずは、臨時的な経費についてみていきましょう。
コストの中でも結構大きなものが、「退去時の原状回復費用や設備の入れ替え」・「リフォーム費用」などです。

(1)退去時の原状回復費用

入居者が退去した後に、また、新たな借り手を見つけるために、「原状回復」をする必要があります。
ただ、この「原状回復」には、色々とトラブルの歴史がありました。


昔は、契約時に「原状回復費用は、借主が負担する」と書かれていました。
大家さん側の理由としては、「きれいな状態で貸すのだから、退去後に、またきれいにして戻してください。その費用は、使っていたあなたが負担してくださいね」というわけです。


ところが今は、この論理は通用しなくなりました。
というのも、この「原状回復」をめぐり、預けていた敷金を返してもらえないなどのトラブルが多く発生したため、明確な基準が設けられたからです。


それは、「住んでいて自然に汚れる箇所、摩耗するものなどについての費用は、家賃に含まれている」という認識で統一されたのです。
従って、一般的なお掃除代は借主に負担してもらうものの、畳替えやクロスの張替えなどは、タバコの焦げ跡をつけるなど、借主の明らかな過失がない限り、大家さんの負担となりました。

(2)設備の入れ替え・リフォーム費用

原状回復に合わせて必要になるのが、「エアコンや給湯器などの設備の入れ替え費用」と「入居者のライフスタイルに合わせたリフォーム費用」などです。


エアコンや給湯器などの寿命は8年~12年といわれているため、時間の経過とともに、入れ替えが必要となります。
また、10年、20年と経つうちに、入居者の要望する設備も大きく変わってきます。

 

代表的なものとしては、畳からフローリングへのリフォーム、ユニットタイプのバストイレを別々にする工事、そして和式のトイレを洋式、さらにシャワートイレに替える費用なども必要となります。


従って、リフォームや設備の入れ替えには、ある程度まとまったお金が必要です。
そのため、建物全体の修繕費とは別に、家賃から個別に設備リフォーム積立金などを用意しておくとよいでしょう。

その他、臨時的な経費としては、火災保険料(年1回)などもあります。

コスト2 税金

アパート・マンション経営で支払うお金を、“コスト”と考えると、支払うべき税金も、頭に入れておく必要があります。

 

不動産購入時に必要なのは?

不動産の購入時にかかるのが、「登録免許税」や「不動産取得税」です。
通常、不動産購入費用として、物件価格と合わせて準備を行います。

 

保有してから毎年かかるのは?

不動産を保有してからかかる代表的な税金は、「固定資産税」と「都市計画税」です。
こちらは毎年、その保有している不動産に対してかかってくるため、家賃収入からそのコストを支払う形になります。

そして、最終的に不動産賃貸業の損益とその他給与収入などが合算され、「所得税」や「住民税」が決定されることになります。

 

コストのことも考えた「お金」の管理を!

以上、見てきたように、不動産経営には様々なコストが必要です。
従って、そのコストの金額はもちろん、どのようなタイミングで支払う必要があるかなど、しっかりと資金繰り(キャッシュフロー計画)を考えておく必要があります。

家賃が入ったからと言って、全部使ってしまっては、あとから様々なコストが支払えないということにもなりかねません。
是非、計画的に「お金」の管理を行ってください。

まとめ
  • 原状回復費用は、お掃除代以外は、オーナー負担と考えておく
  • 時間の経過とともに、設備の入れ替え、リフォームが必要となる
  • 不動産経営にかかる税金もコストとして認識する


上記のように書くと、色々と面倒だと感じるかもしれませんが、最初に「仕組み」をしっかり作り、計画的にコストに見合った資金の準備をしておけば、それほど難しいことではありません。
何事も「最初が肝心」ということですね。

 
 コラムニスト情報
荒川雄一
性別:男性  |   職業:国際フィナンシャルコンサルタント

投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。

■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他

■メディア実績(執筆、取材など)
 ・日本経済新聞 、日経ヴェリタス 
 ・納税通信、税理士新聞
 ・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
 ・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など

■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)