もしもの航空事故、生存確率を高める座席はどこ?飛行機の墜落時に生き延びるためのポイント (2/2)

執筆者: 奥之園 誠 職業:航空アナリスト

 

墜落時は、前方座席ほど重力が掛かる

また、実際にアメリカで旅客機を墜落させる実験も行われております。

この実験では、機内の衝撃、重力加速度の測定結果は、以下の通りです。

 

  • 前方:12G(重力の12倍)
  • 中央部分:8G
  • 最後尾:6G

 

前方席では、自分の体重の12倍の力が加わる事になります。

 

シートベルト着用には、注意が必要

車に関わらず、飛行機においてもシートベルトは命を守る重要なものです。

しかし、場合によってはシートベルトが凶器となる可能性があります。

 

シートベルト着用による死亡例も

シートベルトで体を固定していると、墜落で急激に力が加わった場合、体が前方に急激にのけぞる事により、腰部や腹部を痛める可能性もあります。

 

実際に過去の墜落事故などでは、内臓損傷による死亡や、胴体切断による死亡例もあります。

 

  • シートベルトを着用のポイント!

直接体につけるのではなく、毛布や衣類などを緩衝材とし、その上からシートベルトを着用する事で、安全性が高まります。

 

また、頭部の保護も大変重要です。

飛行機は、緊急時に90秒で外へ出られる構造になっている

航空機により、ドアや非常口の数が違うのをご存知でしょうか。

これデザインではなく、航空法により決まっているのです。

 

旅客機の開発に当たって、乗客の定員数に対応した数と大きさの非常脱出口を設置する事が、義務付けられています。

 

暗闇で、半数の脱出口を利用した場合

また地上での緊急時には、日没後90分以上経過した快晴の暗夜で、その脱出口(ドア、緊急脱出口)の半数だけを利用するという条件のもと、90秒以内に乗組員乗客が脱出できる事を、実演により証明する事が求められています。

 

不安に思う場合は、なるべくドアや非常口に近い座席を予約する事をお勧めします.

 

しかし、事故などでドアや非常口が開かないといったイレギュラーが起こりえることも、想定しておいてください。

 

おわりに

航空機は他の乗り物と比較して、安全性の高い乗り物である事は確かです。

考えたくは無いですが、もしもの場合、航空機の特性を理解していれば、最悪の事態を免れる確率も高いと言えます。

 

航空事故という言葉がこの世からなくなって欲しいと、切に願って止みません。

 
 コラムニスト情報
奥之園 誠
性別:男性  |   職業:航空アナリスト

航空ブロガー、航空検定1級。

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