映画『ティファニーで朝食を』は私の大好きな映画のひとつ。でもどうしてか、これまでトルーマン・カポーティの小説を手に取ることはありませんでした。そこで、機会をつくるべく2013年の暮れに作成した "2014年読む本" リストの中にちょこっと入れておきました。そしてこれが2014年初めて読んだ本。小説『ティファニーで朝食を』は、映画のそれとまったく異なっていて、まるで初めて読むストーリー。今でこそ『ティファニーで朝食を』=オードリー・ヘプバーンが成り立ちますが、小説ではいったいどうなのでしょう、そんなことを考えながら読み始めてみました。

 

 私の場合、まず小説を読む前に、何度目かわからないくらい観た映画を見直してから小説を読みました。映画と小説をじっくり比べたいのであれば小説の他にいくつかの本を手元においておくのが得策かと思います。私が選んだのはこの4冊▼

 

・『女子とニューヨーク

・『イノセント・ガールズ 〜20人の最低で最高の人生〜

・『FASHION-BOX(ファッション・ボックス)永遠のモード―愛すべき時代のアイコン

・  オードリー・ヘプバーンの伝記本『AUDREY HEPBURN PGRN2』(高校の時の朝読本。20ページ程の薄いもの)

 

『ティファニーで朝食を』を観る/読むときに、おさえておきたい5つのこと

 

 


 映画でも小説でも、いくつかの事柄を知っておくと、それなしより何倍も楽しめることがあるとおもうのですが、『ティファニーで朝食を』にかけては本当にその通りで、挙げたらきりがないほど。そのいくつかの事柄のうち5つをご紹介。

 

1. オードリーがティファニーの前で朝食を食べるシーンは小説にはなく、映画版で挿入されたシーンである。

 

有名なこのシーン。何度この場面を見たことでしょう。あのペーパーバッグに入っているデニッシュとコーヒー。この場面をみて "紙袋ってなんてお洒落なんだろう!" と感動して、私の中での紙袋における立ち位置が一気に変わりました。紙袋が好きです。なので、(余談ですが)2013秋冬メンズコレクションでジルサンダーのPaper bagが発表されたときには、本当に興奮したものです。(その前の2011年春夏に発表されたMarket Acetate Bagも素敵でしたが) 

 

2.『ティファニーで朝食を』のヒロイン候補とそのモデルとなった人物

 

まずは、マリリン・モンロー、後にジョディ・フォスターの名前があがっています。(※この2人も大好きな女優なのでまたこの2人については別のコラムで触れたいと思います。)オードリーは最初ミスキャストだと言われていたとか。また、オードリー演じる、ミス・ゴライトリーのモデルも何人かが挙げられていますが、それは明らかになっていません。それがまた興味深いところでもあります。

 

3. 「ミス・ホリデー・ゴライトリー 旅行中」

 

『ティファニーで朝食を』のヒロイン、ミス・ゴライトリーの名刺にはこう記されています。住所のかわりに"Traveling (旅行中)"と。小説の中でも映画の中でも、曖昧で、現実味がなく、なんだか空想の中にいきているようなオードリー演じるヒロインになんだかしっくりくる言葉で、私はとても好きです。

 

4. ヒロイン、ホリーゴライトリーのヘアスタイル

 

何色かのカラーが入り交じった髪の毛は、地毛なのか、それとも染めたものなのか。これ、気になりませんか。ーあれは、地毛ではないのです。

 

5. "ほとんど夏のような暖かな夜で、彼女はほっそりとしたクールな黒いドレスに、黒いサンダルをはき、真珠の小さなネックレスをつけていた"

 

これは小説における、ホリー・ゴライトリーについての描写。ちょうど映画では、ティファニーのディスプレイを前に紙袋からデニッシュとコーヒーをだして、ほおばっている場面。装いだけ想像すれば、エレガント、でもその仕草、振る舞いにはまだあどけなさが残ります。上品さ、快適さ、厳格さ、純潔さ、欲望、空想といったいろんな要素が交差するリトルブラックドレス。着る人でその表情を柔軟に変えてしまう、リトルブラックドレスの魅力であり魔力が垣間見える場面です。

 

※ジバンシイが生んだこの劇中のドレスは有名ですが、そもそもジバンシイとオードリーの関係は1951年に映画『麗しのサブリナ』でジバンシイがオードリーの衣装を担当したことから始まりました。その後、1961年の『ティファニーで朝食を』で、ジバンシイによる、あの黒のチューブドレス(リトルブラックドレス)が誕生したのです。(1926年にココ・シャネルがリトルブラックドレスを発表したときには、米『ヴォーグ』で、"新しいフォードである"と評されています)

 

 私が読んだのは、上に挙げた4冊の本ですが『ティファニーで朝食を』をもっと楽しむために、読み足したい本はまだたくさんあります。例えば、『オードリー・へプバーンとティファニーで朝食を』、1969年に発刊されたという『ティファニーに学ぶテーブルマナー』等。映画と小説とファッションの関係性を紐解いていく過程がとても楽しいです。2014年は、古いものから新しいものまでたくさんの映画を観て、本を読んで、知識を増やしていきたいと思います。

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