ざっくり可愛いアラン(フィッシャーマンズ)セーター伝説!現地アイルランドでおすすめのクラフトショップ3選

執筆者: ユキリトル
はじめに

これから本格的な冬を迎え寒くなると重宝するのが、アイルランドのアランセーターです。

 

セーターの中でも、アイルランド最果ての島々、アラン諸島で編まれたセーターのことを「アランセーター」と呼ばれています。

アランセーターにまつわるストーリーはとても興味深く、セーターへの愛着も更に深まる内容となっています。


 

アランセーターの故郷、アラン諸島

まず、アラン諸島はアイルランド西方、ゴールウェイ湾に浮かぶ3つの島から成ります。

「大きな島」を意味するイニシュモア島、「真ん中の島」を意味するイニシュマーン島、そして「東の島」を意味するイニシィア島です。

 

島は石垣だらけ

 

アラン諸島は石灰質の岩盤で出来た不毛の地として、昔から先人の知恵を活かした生活が営まれていました。

作物が育つような土壌はなく、岩を砕いた上に海藻を蒔いて代々土を作り出してきました。

厳しい気候の中、強風から畑を守るために石垣が積まれ、島全体に続く石垣の風景は現在訪れる人々の心を捉えて止みません。


また、アラン諸島の人々の多くは漁業で生計を立ててきました。

そして、極寒の荒れ狂う海で働く漁師たちの防寒着であったのが、このアランセーターです。

アランセーターは家族の絆

アランセーターの特徴とも言えるステッチ(編み目)には、色々な意味が込められています。


例えば、一般的に見られるステッチ「cable(綱)」は、漁に不可欠な道具を表しています。「honeycomb (蜂の巣)」ステッチは幸運の意味を持ち、豊漁を祈願するステッチとして編み込まれます。

他にも健康や富、長寿などステッチひとつひとつに意味が込められています。

 

 

アランステッチ(編み目)が描かれたのキッチンクロス

 

漁から無事に戻って来るようにと、夫たちを待つ妻たちが願いを込めて、それぞれのステッチを組み合わせて編んでいきました。

そして、その家庭ごとに文様が異なるアランセーターが生まれたのです。

不運にも荒れ狂う海で遭難した際、身元を見分けるのにこの文様が役立ったというストーリーは、今も語り継がれています。

 

アランセーターを買ってみよう

アラン諸島に行ったなら、一着は買ってみたいという衝動にかられるかもしれません。

特に大きな島イニシュモアにはセーターショップがいくつかあります。


イニシュモアの一番の見どころである、断崖絶壁に佇む石砦ドゥン・エンガス (Dun Aengus)へ向かう途中には、茅葺き屋根のクラフトショップが軒を連ねています。

 

アランセーターを取り扱うショップ

国内に点在する「ウーレンミルズ(Woollen Mills)」というウール製品を中心に扱うクラフトショップでも、アランセーターを購入することができます。

しかしここではアラン諸島、または周辺のショップを一部ご紹介します。

 

イニシュモアの港にほど近いアランセーターマーケット

 

Aran Sweater Market (アランセーターマーケット)

イニシュモアにあるアランセーターマーケット。
大半が機械織りの製品ですが、手編みのセーターには「Hand Knitted」と書かれてあり、必ずニッター(編み手)さんの手描きサインが付いています。セーターから小物まで品揃えが豊富です。


ちなみに、ケリー州の観光地キラーニーにはアランセーターマーケットのアウトレットショップがあるので、アラン諸島までは行けないという方にもお勧めです。

 

Ó'Máille(オモーリャ)

アラン諸島の玄関口、ゴールウェイのメインストリートにあるセーターショップ。

厳選した糸を使用しており、アイルランド国内のニッター(編み手)に作品を依頼しています。

アランセーターを取り扱うショップの中でも、こだわった手編み製品で評判が高いお店です。

 

The Sweater Shop(ザ セーターショップ)

クレア州の大西洋側の小さな村ドゥーリンにあるクラフトショップです。

一般的にはゴールウェイのロッサヴィール港を利用することが多いのですが、実はドゥーリンからもアラン諸島への船が出ているので、アラン諸島へのもうひとつの入り口でもあるのです。


クラフトショップには規模は小さいながら、アランセーターのコーナーがあります。

しかし手編みセーターは少ないかもしれません。

 

 ドゥーリンのクラフトショップ


失われる手編みのニット文化

 

観光地としての地位確立

 

アラン諸島では、生活に根付いたニット文化がやがて商業化され、小さいながらもアランニット産業で名を馳せていきました。

しかし、現在アラン諸島は、アイルランドでも特に多くの観光客が訪れる人気スポットへと成長しています。

アランニット産業に頼ることなく、観光業で栄えるようになったのです。


 

高品質なニット製品の台等

 

また、機械の性能が向上し、高品質なニット製品が生産できることになったことから、ニッター(編み手)が減少しています。

現在では手編み製品を手にすることが容易ではなくなってきました。


 

後継者不足

 

元々はデザイン図面もなく手から手へと技術継承されてきたアランニットですが、その後継者もいなくなってきているようです。

 

さいごに

手編みのアランセーターは、多少値が張っても欲しくなりますね。

本場アイルランドで購入する方が日本で買うよりはかなりお得です。


アイルランドの厳しい気候で育った羊の毛は、少し硬いけれど風を通さず暖かく、油分を残した毛は水を弾きます。

アランの男たちにとって、格好のセーターとなったのがよく分かりますね。

これが「フィッシャーマンズセーター(漁師のセーター)」と呼ばれる所以です。

アイルランド旅行時には、お気に入りの1枚を見つけてみてはいかがでしょうか。

 
 コラムニスト情報
ユキリトル
性別:女性  |   現在地:福岡県在住  |  

大好きなアイルランドと関わりたくて、旅行をベースとしたアイルランド情報をブログにて発信中。不定期にアイルランドのかわいい雑貨を集めたマーケットを開催しています♪ 

詳しくは、ブログをご覧下さい。
『リトルアイルランドカンパニー』http://irelandcom.exblog.jp