入場無料!フランス・パリ観光で立ち寄りたい、人気の個性派美術館7選

執筆者: taneko 職業:フランス旅行アドバイザー
はじめに

芸術の都パリには、その名の如く大小173もの美術館があります。

 

有名なルーブル美術館オルセー美術館ポンピドゥーセンターは言うまでもなくお勧めなのですが、今回はあまり知られていない、でも見応え十分な美術館をセレクトしてみました。

 

どこも比較的ゆったりと鑑賞でき、しかも半数以上は入場料無料。

なるべくお金をかけずに遊ぶのが得意なパリジャンにも人気のスポットを紹介します。

 

カルナヴァレ博物館


古代から近代まで、パリの歴史と人々の生活を垣間見ることができる別名「パリ歴史博物館」。

 

年打順に展示された絵画、彫刻、模型、調度品、写真、ポスターは芸術作品であると同時に、各時代の“証人”であることを感じさせてくれます。

特にフランス革命下の様子は興味深く、パリに監禁されていたルイ16世一家の絵画も多くあり、マリー・アントワネットファンは必見。

 

ほかにも中庭に立つ破壊を免れたルイ14世のブロンズ像、16~20世紀のお店の看板、アールヌーボーの申し子ミュシャが手掛けた宝石店などなど見所は沢山です。

 

博物館の建物は元々、マレ地区に多く残る貴族の邸宅の一つでした。

17世紀にパリでサロンが流行した時には、この館が一番人気だったとか。

当時の主セヴィニェ夫人は大変聡明で会話が楽しかったため、多くの文人が訪れたという話です。

 

カルナヴァレ博物館
住所:16 Rue des Francs-Bourgeois 75003 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Saint-Paul(1号線)
開館時間:10時~18時
入場料:無料(企画展は有料)
休館日:月曜、5月1日、7月14日、8月15日、12月25日

 

パリ市立プチ・パレ美術館

 

お向かいのグラン・パレと共に1900年開催のパリ万博会場として建てられたプチ・パレ。

実際に万博で展示された作品が広々とした明るい館内に贅沢に配置され、優雅に鑑賞することができます。

多数の賞を獲得したエミール・ガレの花瓶はずっと眺めていたくなる美しさ。

 

また、絵画の中の女性達の表情がとても自由奔放に見え、活気に湧くパリの黄金時代(ベル・エポック)を反映しているかのようです。

 

万博の作品以外にも18世紀の家具や調度品、中世・ルネッサンス期の絵画や美術品など展示品は多いのですが、もし興味がなければパスして、中庭の回廊に設けられた喫茶コーナーでお茶しながら、ゆっくりと建物や雰囲気を満喫するプランはいかがでしょうか。

 

 

パリ市立プチ・パレ美術館
住所:Avenue Winston Churchill 75008 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Champs-Elysées Clémenceau(1号線と13号線)
開館時間:10時~18時
入場料:無料(企画展は有料)
休館日:月曜、5月1日、7月14日、8月15日、12月25日

 

パリ市立近代美術館

 

この美術館の建物は1937年のパリ万博のために建てられたもので、その名は「パレ・ドゥ・トーキョー」。

と言ってもかつてあった“日本通り”に因んだもので、日本との関係はないようです。

 

ここでぜひ観て欲しいラウル・デュフィ作の「電気の精」。高さ10m、長さ60mもある大作は、万博の照明と電気のパビリオンに展示するために制作されました。

美しい色彩の壁画の中には、作家が好んだヨット、鳥の群れ、パリ祭の風景と共にオリンポスの神々、エジソン、ワットをはじめとする電気に関する110人の科学者や技術者が描かれているという実にユニークな作品です。

 

他にもピカソ、マチス、モディリアーニ、シャガール、レオナルド・フジタなど人気画家の作品も揃っています。

 

パリ市立近代美術館
住所:11 Avenue du Président Wilson 75116 PARIS
最寄りの地下鉄の駅:Alma-Marceau(9号線)
開館時間:10時~18時
入場料:無料(企画展は有料)
休館日:月曜とフランスの祝日



ロマン派美術館

 

この隠れ家的な美術館は、1830年に建てられた画家アリ・シェフェールの邸宅でした。

 

当時の内装と雰囲気が残る館内では、シェフェールや当時流行していたロマン主義に関する展示がご覧になれます。

 

二階では毎週金曜日に女流作家ジョルジュ・サンドをはじめ、ショパン、ドラクロワ、ロッシーニ、リストなどが招かれ、サロンが開かれていました。

 

小さな美術館ですので鑑賞はあっという間に終わってしまうのですが、お庭にある素敵なティーサロン(3月中旬~10月中旬まで)でゆっくり過ごすのもロマンティックですよ。

 

 

ロマン派美術館
住所:16 rue Chaptal 75009 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Pigalle(2号線と12号線)
開館時間:10時~18時
入場料:無料(企画展は有料)
休館日:月曜とフランスの祝日

 

クリュニー中世美術館

 

パリの学生街、大学が集まるカルチエ・ラタンの中で一際目を引く建物。

 

ここは15世紀末に建てられた、ブルゴーニュのクリュニー修道院長のパリ滞在時の邸宅でした。

 

その後1832年に中世の美術品の収集家ソムラール氏が彼のコレクションと共にこの館の一部に定住しましたが、彼の死後、この邸宅とコレクションをパリ市が買い取り、1843年に現在の美術館となりました。

 

ここでの見所は、フランスで一番古いステンドグラス、フランス革命時に破壊された状態で残っている当初のノートルダム大聖堂を飾っていた彫像、何ともミステリアスで美しい6枚のタペスリーの連作「貴婦人と一角獣」などなど。

 

さらに、この邸宅の敷地内には、ローマ帝国時代に造られた大公衆浴場跡も残っており、古いものが好きな方にはたまらない美術館です。

 

 

クリュニー中世美術館
住所:6 Place Paul Painlevé 75005 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Cluny la Sorbonne(10号線)
開館時間:9時30分~17時45分
入場料:8€(日本語オーディオガイド込み)、毎月第一日曜は無料
休館日:火曜、1月1日、5月1日、12月25日

 

モンマルトル美術館

 

急な勾配に位置するこの美術館は、眼下にぶどう畑が広がるのどかな風景の中にあります。

 

有名なテルトル広場もすぐそば。敷地内の二つの建物はこの界隈で一番古い17世紀のもので、ルノワール、ユトリロとその母シュザンヌ、ラウル・デュフィ、エミール・ベルナールなどが暮らした場所でもあります。

 

当時のモンマルトルには画家だけでなく、小説家、詩人、音楽家、俳優など多くの芸術家が住み、「ル・シャ・ノワール」、「オ・ラパン・アジル」、「ムーラン・ルージュ」などの酒場に集い、語り、作品にしました。

展示品はユトリロやシュザンヌの絵画や彼らが使ったアトリエ、ロートレックやスタンランの絵画やポスター(原画)、新聞や挿絵などなど。

 

19世紀末のモンマルトルで始まった芸術活動がいかに熱かったか!アヴァンギャルドな作品を通して、今尚私達に語りかけてくれます。

 

モンマルトル美術館
住所:12 Rue Cortot 75018 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Lamarck-Caulaincourt(12号線)
開館時間:10時~18時
入場料:9,50€(日本語オーディオガイド込み)
年中無休

 

オランジュリー美術館

 

ルーブルやオルセー美術館と並んで有名な美術館ですが、ここは1時間程ですべての作品を鑑賞することができます。

 

地下に展示されているのは、美術商で収集家のポール・ギヨームのコレクション。印象派のルノワール、モネ、セザンヌ、シスレー、パリ派のモディリアーニ、ユトリロ、ローランサン、ドラン、スーティン、それからマティス、ピカソ、言わずと知れた巨匠達の作品ばかりです。

 

しかも、ギヨーム氏が選んだ絵画はどれも、優しくて癒される感じがします。

この美術館の目玉とも言えるモネの「睡蓮」は、1階にあります。

 

4枚の壁画に囲まれた二つの部屋は、まさに癒しの空間。仕事に疲れ切った神経を自然の風景で癒すことは、モネがこれらの作品をここに展示する際の願いでもありました。

 

オランジュリー美術館
住所:Jardin des Tuileries 75001 Paris
最寄りの地下鉄の駅:Concorde(1号線、8号線、12号線)
開館時間:9時~18時
入場料:9€
休館日:火曜、5月1日、7月14日午前中、12月25日

 

おわりに

パリの美術館は大方、展示数が多くて疲れるという贅沢な悩みも聞きます。

 

けれども、館内には必ずソファーがありますから、好きな作品の前では腰を下ろして眺めたり、あまり興味がない時には飛ばしたり、併設の素敵なカフェやティーサロンで休憩したりして、気楽に楽しんでくださいね。

 

特にいつも大混雑で疲労度が高いルーブルとオルセー美術館は、夜間開館日(ルーブルは水曜と金曜、オルセーは木曜)に出掛けると、比較的ゆっくり鑑賞できるかもしれません。

 
 コラムニスト情報
taneko
性別:女性  |   職業:フランス旅行アドバイザー

渡仏してから17年、パリ郊外に在住。
パリの観光バス会社で6年間勤務後、
現在はブログにてパリ情報を発信しています。
「レシピと雑貨とパリ案内」
http://taneko39.blog.jp/