クラシックのコンサートと言えば、やはり格調高い、特別な場。日々どうしても繰り返しになりがちな日常生活の中で、ときどきはそういったスペシャルな雰囲気を味わいたいもの。株式会社東芝は、これまで30年以上にわたりそんな素晴らしい体験を提供してきている。
(C)林喜代種
毎年、東京サントリーホールで行われる「東芝グランドコンサート」は、株式会社東芝が芸術文化支援活動の一環として行っているもの。これまでもずっと世界の一流オーケストラを招聘し、国内外の著名指揮者やソリストらと共に、素晴らしい演奏の場を作り上げてきた。
32回目を迎える今年は、圧倒的なエネルギーと革新的なアプローチで聴衆を魅了するロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、指揮者には溢れる才能とカリスマ性を持ち、いま最も注目される若き俊英ヤニック・ネゼ=セガン氏を迎え、1月31日に幕を開けた。
ヤニック・ネゼ=セガン氏のタクトさばきに場内は息をのみ、まず1局目の「シューマン:歌劇『ゲノフェーファ』序曲Op.81」をエネルギッシュに演奏し終わると、割れんばかりの大きな拍手が沸き起こった。
他にもいま日本で最も輝いている若いヴァイオリニスト、庄司紗矢香を迎えてプロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調」、後半にブラームスの最高傑作「交響曲第4番ホ短調」が演奏され、音楽ファン約1800人を魅了した。
さらに演奏後には、現在NHK Eテレ「ららら♪クラシック」で司会を務める加羽沢美濃氏、音楽評論家の渡辺和彦氏のインタビューも行われた。
加羽沢氏は、「オランダに出かけてみたくなりました。明るくて華やかなサウンドを奏でる人々が、どんな景色を見て、どんなものを食べて、どんな風に生きているか…見てみたいですね」とコメント。
渡辺氏は、「今日は明るい透明な音でしたね。もうひとつのオランダの名門、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団が重厚なのに対して、こちらはカラフル! ヴァイオリニストのテンションがどんどん上昇し、パッと演奏が終わるのがスリリングだった」と、二人ともやや興奮気味に感想を口にした。
さらに渡辺氏は、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の特色について、「明るくカラフルでいて、ヴィオラやチェロはよく響く。ヴァイオリン部門の音が軽めでヴィブラートを抑え気味にしていることが、独特の都会的サウンドの秘密かもしれない」と寄稿を寄せた。
さらにメイン曲のブラームスについても、「木管部門のトップ奏者が名人揃いな上に(特にフルート)、金管の音程がよいのは指揮者の耳が鋭いことの証明。メロディのフレーズを大きめにとって歌わせるので、結果として今どき珍しい巨匠タイプのブラームス演奏になった」と評した。
(C)林喜代種
また渡辺氏によると、「ヤニック・ネゼ=セガン氏は、いまはクラシック・ファンの間で知る人ぞ知るという存在だが、あと数年もすれば若き巨匠として大スターになっているかもしれない。というより、いますでにそうなりつつある」とのこと。
「その彼の指揮を、2013年初頭の時点で、オランダ名門楽団と一緒に聴けたのはとても幸運だった。会場の多くのひとが同じように感じたに違いない」と、今回のコンサートを高く評価した。
この日の後、コンサートは、広島、名古屋、仙台、そして再び東京で行われた。普段クラシックには縁遠いという人にこそ、このようなレベルの高い、本当によいものに触れるところから、クラシック音楽を経験してみてはどうだろうか。「東芝グランドコンサート」は、きっとふさわしい場を提供してくれるはずだ。来年以降も続くであろう「東芝グランドコンサート」に期待したい。
・東芝グランドコンサート
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