「油は太る」というイメージをもち、摂取することに罪悪感をもっている女性は多いことでしょう。しかし、油は三大栄養素の1つ。体を構成するのに欠かせないもの。では、一体油は体内でどのような役割を果たしているのでしょうか。


■体内で油が欠かせない訳
「女性ホルモンアップ」という言葉をよく耳にします。女性ホルモンの働きを助けるイソフラボンやリグナンにも注目が集まっています。実は油はホルモンの働きを手伝うどころか、ホルモンそのものの材料なのです。ですから油抜きダイエットなどを行ってしまうと生理が止まってしまうなどホルモンバランスが乱れてしまうことは当然な訳です。

またそれだけではなく、体を構成している60~100兆個の細胞を取り囲む細胞膜そのものが油でできているのです。体全ての中で一番油の多い臓器は脳。なんと脳は60%が油でできているのです。

つまり、油の供給が断たれると、神経伝達をはじめ、全身全てにあらゆる不調がでてしまいます。それほど大切な油ですが、皆さんは普段どのような油を摂取されていますか?

■脂肪酸の分類
油は常温で固まる「飽和脂肪酸」と常温で液体となる「不飽和脂肪酸」の2種類に分けられます。


飽和脂肪酸は、牛肉・豚肉・乳製品などの動物性脂肪に多く含まれていますが、過剰摂取は血液をドロドロにしてしまうため、注意が必要です。不飽和脂肪酸は植物性の油に多く含まれていて、さらに「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」と「オメガ9系脂肪酸」に分けられます。

「オメガ9系脂肪酸」はオリーブオイルやアボカドに代表され、悪玉コレステロール値を下げてくれたり、また美肌効果にも期待ができるため、美と健康を維持するためには、是非積極的に摂りたい油です。

■美女が注目している「オメガ3」
さらに注目したい油は、不飽和脂肪酸の中でも熱に弱いとされる「オメガ3系脂肪酸」。具体的には亜麻(あま)仁油(にゆ)、しそ油、インカインチオイルなどの植物油に含まれるαリノレン酸や、青背の魚などに含まれているEPA・DHA。

血液サラサラ効果、炎症を抑える効果、代謝アップ、コレステロール値を正常にしてくれる、など嬉しい効果がたくさん。熱に弱いため、生で使う油ではありますが、「オメガ3の摂取」は、美を意識する女性の中ではもはや常識。

αリノレン酸は私達の体内でEPAやDHAに変化するため、最初からEPA・DHAの形で含まれている魚を食べることも有効ではありますが、海の汚染が進む現在、魚からのみのオメガ3摂取は安心とは言えません。

■亜麻仁油でキレイにダイエット
そこで注目されているオメガ3系の植物油が、亜麻(あま)仁油(にゆ)(フラックスオイル)です。


亜麻仁油はオメガ3が豊富なだけではなく、亜麻に含まれているポリフェノールの一種の「リグナン」が、植物性エストロゲンと呼ばれていて、女性ホルモンの働きをサポートしてくれるのです。

生理痛や生理不順、不妊で悩む女性、妊娠中の女性、更年期防止のために、と女性の悩みにも大いに期待がもてる、まさに女性のための油。油が太るという考えは大きな間違い。正しい油を摂取することで代謝はあがり、結果的に痩せやすい美肌を手に入れることができるのです。

理想は1日大さじ1杯と言われています。サラダのドレッシングにする他、納豆や豆腐にかけたり、グリーンスムージーに混ぜたり、と摂り方は様々。

美肌になりたい! 痩せたい! と願う女性は、まずは油の摂り方を変えてみましょう。そうすることが、理想の自分になれる近道となることでしょう。

(中嶌歩見)

この記事を書いたコラムニスト

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