あわや大惨事!飛行機からパネルが落下するトラブルの原因は?通報義務は? - Latte

  あわや大惨事!飛行機からパネルが落下するトラブルの原因は?通報義務は?

ここ最近、飛行中の航空機からパネルが落下するトラブルが続いて発生。「航空機からの部品落下のトラブルは多い?・少ない?」「通報義務は?」「落下の原因は?」など、さまざまな方面から解説。

執筆者: 奥之園 誠 奥之園 誠 職業:航空アナリスト
一歩間違えば、大惨事!航空機から部品が落下するトラブルは防げる?

ここ最近、立て続けに、飛行中の航空機からパネルが落下するトラブルが発生していますね。

 

今回は、「航空機からの落下物はどのくらいあるのか?」「通報義務は?」「落下の原因は?」などの疑問についてお答えします。

 

 

実際に起きた「旅客機のパネル落下事故」2件
関空発⇒アムステルダム行KLM機

2017年9月23日に、関西国際空港を離陸したアムステルダム行KLM868便(ボーイング777-200ER機番:PH-BQC )からパネルが落下し、大阪市内を走っていた車に当たった。

落下したパネルは、重さ4kg余りの主翼の付け根付近の胴体パネルで、車の屋根などが壊れたが、車に乗っていた女性2人にけがはなかった。

 

厦門発⇒成田行ANA機

2017年9月27日、午前11時ごろ、成田空港を発着する航空機の飛行ルートに当たる茨城県稲敷市江戸崎の会社敷地内で、航空機のパネルが落ちているのが見つかった。

調査の結果、2017年9月7日の厦門(アモイ)発成田行きのANA936便(ボーイング767-300ER機番:JA624A)からと判明。

こちらの機体は翌8日にもパネルが落下していますが、現時点では見つかっていません。

 

両方のトラブルとも、幸い人的な被害はありませんでした。

KLM機のパネルトラブルは、「重大インシデント」に認定

9月23日のKLM機のパネル脱落トラブルは、国土交通省の外局である「運輸安全委員会」から、航空重大インシデントとして認定されています。

事故等の種類としては、“航空機から脱落した部品が人と衝突した事態”に準ずる事態との記録で、現在詳細調査中とのことです。

ANA機のパネル脱落についても、今後、航空重大インシデントに認定される可能性もありそうですね。

 

重大インシデントとは?

航空法第76条の2に定められている「航空事故が発生するおそれがあると認められる事態」であり、閉鎖中または他の航空機が使用中の滑走路からの離着陸や滑走路からの逸脱(航空機自らが地上走行できなくなった場合のみ)など16の事態が航空法施行規則第166条の4に定められています。

 

※国土交通省のホームページより

 

飛行機の部品落下のトラブルは、「めったにない」って本当?
7年半で、437件! 実は、意外と多い

国交省では、航空機で部品の脱落が見つかった場合、航空法に基づき事業者に報告を求めています。

2009年4月~2016年10月までで、437件の報告があったとのこと。

 

過去には、スプリング、ねじ、タイヤ、金属パーツといった落下物も確認されています。

現在、国交省が報告を義務づけているのは、国内の航空会社や個人などで、“金属100グラム以上”など、一定規模の部品に限っているので、実際はもっと多く落下している可能性がありますね。

 

また、今までは、海上や山間部に落下するケースが多く、大きく報道されることは無かったのですが、今回のパネル落下は市街地への落下なので、大きなニュースになったようです。

航空機からの落下物で被害が出た場合、報告義務は?見舞金はもらえるの?
現状、海外エアラインは、落下物があっても報告義務なし!

航空機からの落下物があった際は、国内航空会社については、国交省に報告義務があります。
ですが、海外の航空会社については、現時点では報告外務が課せられていません。

 

国土交通省は、制度の見直しを検討

今回のKLM機からのパネル落下のトラブルを起因とし、今後、海外の航空会社に対しても報告を求める方向で検討を開始したそうです。

 

さらに、羽田空港周辺で、航空機からの落下物で被害が出た場合、国土交通省は,見舞金を支払う制度を導入する方針を固めました。
この制度は、部品を落とした機体が特定されない場合でも補償される制度で、補償の手厚い成田空港の制度を参考にし、2020年までに運用を始めることが予定されています。
また、部品を落下させた航空会社に対しては、同時に行政処分を課すことも検討しています。

 

航空機の胴体の構造について

航空機の胴体はセミモノコック構造とよばれる構造を採用しています。

縦方向の円框(フレーム)と前後方向の縦通材(ロンジロン、ストリンガ)という骨材で外板を補強する構造で作られています。

 

簡単に図式化すると、以下の図になります。

その下の写真は、実機の客室の構造とドア部分の構造です。

 

航空機の胴体に使われるセミモノコック構造

 

 ボーイング747の客室躯体構造とドア付近の様子

 

そもそもパネルって何?

パネルが落下と聞いて、「そもそもパネルって何?」と思われる方も多いかもしれません。

パネルとは、航空機の開口部を覆う外板とご理解いただけばよいと思います。

 

次の2枚の写真をご覧ください。

著者が撮影した整備中の航空機の写真ですが、上の写真は胴体と主翼の連結付近の写真です。

 

各所に開口部が確認できますが、ここの開口部を覆う外板がパネルと呼ばれ、胴体本体から出ている骨格(フレーム)や、縦通材(ロンジロン、ストリンガ)にネジねじ止めされています。

 

胴体の中央、「中央翼」と呼ばれる付近のフレームの構造

  

一方、下の写真は、胴体と主翼の接続部「フェアリング」と呼ばれる付近の構造でパネルを外した状態です。

 

 胴体と主翼の接続部「フェアリング」と呼ばれる付近のフレームの構造

 

パネルの材質は?

航空機自体は「アルミニウム合金」を主材料とした機体や、ボーイング787に代表される「炭素繊維複合材」を主材料とした機体があります。

 

そして、パネルですが、その場所により材質が異なります。

「アルミ合金」や「強化プラステック」のパネルもあれば、「複合材」のパネルも存在します。

また、パネルの形状は、その取り付けられる位置により、大小複雑な形状をしたさまざまなパネルが存在します。

パネルが落下する原因は?

では、このパネルが何故落下するのでしょうか。

 

整備の際は、機体を細かく分解して整備します。

そして再度組みたてます。

その際に、パネルはフレームにねじ止めしますが、ねじ止めする際に掛かる力(トルク)が強く締めてもダメ、弱すぎてもダメと、場所により細かく締める力が設定されています。

 

そうであっても、航空機は、離陸や飛行時の際の振動が繰り返し掛かります。

すると、ねじが緩んでくる可能性もあります。

 

通常のフライト間の点検では目視点検が主になります。

部品が脱落していれば判りますが、次のフライトで脱落するかどうかは、見た目ではなかなか判りません。

 

部品の落下を無くしたいのは当たり前ですが、残念ですが、落下をゼロにすることは現実的には難しいのではと思います。

航空会社としては、整備のスパンを短くするか、航空機製造メーカーに改善を求めるしか手が無そうですね。

落下事故が無くなりますように…

航空会社も安全を第一に考えていると思いますが、今回のトラブルは市街地や企業の敷地内への落下ということで大きなニュースになりましたね。

 

利用する側の意見としては、航空会社・機体製造メーカーへ再発防止策・改善対策をお願いしたいですね。

飛行機は、他のどんな乗り物より安全性の高い乗り物。

その安全性を一層高めて欲しいというのが、我々利用者からの声です。

 

なお、掲載しました一部の写真は、ANAの掲載許可を取得の上、掲載しております。

 

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