知らなかった!日本人が大好きなあのイタリア料理、トスカーナ地方では食べられません…
イタリアを旅行するなら、「日本で食べ慣れたイタリア料理を本場のレストランで」と思うはず。ところが、お店のメニューにないことも…。トスカーナ州の州都フィレンツェ在住の筆者が、イタリアの食を解説。
日本から来たお客様に、そう聞かれたことがありました。
私は、こう答えました。
「無いわけでは、ないんです。あるんですが、無いこともあります。」
今では、すっかり人気のイタリア料理。
パスタといえば、ミートソースかナポリタンだった時代から、30年ほどで、それは大きく進化を遂げました。
イタリア料理を担当する日本人シェフは、ここイタリアでも大活躍するほどで、日本に帰国後オープンするレストランは、イタリア人も顔負けなのでは...と思うくらいの上等なお店がたくさんできています。
それらのレストランで食べ慣れたイタリア料理を「ぜひ本場で!」、そう意気込んで入ったお店で出てくる言葉が、冒頭のそれです。
一般に、イタリアで「パスタ」というと、スパゲッティばかりではありません。
ショートパスタひとつとっても、その形状によって名前が違い、また、太さによっても名前が変わります。
作るソースによって、それが一番美味しく食べられるような形状のパスタを選ぶため、メニューにスパゲッティではなく、違う形状のパスタの名前が記載されているのです。
特に、肉系ソースを好むトスカーナ地方では、太打ち麺のパスタやショートパスタが使われることが多く、「日本では当たり前とされる”スパゲッティ”が無い」という印象が強く残るようです。
ところで、イタリア料理というと、どのようなものを想像しますか?
一般的には、やはり、ピザやパスタを思い浮かべる方が多いようです。
パスタの中でも、特に知られているものですと、「トマトソースのパスタ」、「カルボナーラ」や「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」といったところでしょうか。
一見、どこにでもありそうです。
が、意外や意外、ここトスカーナ地方では、普通にあるのは、「スパゲッティ アル ポモドーロ(トマトソースのパスタ)」のみです。
「カルボナーラ」は、ローマの代表的なメニューであるがゆえ、トスカーナでは、一般的ではないようで、観光客向けのレストランで、たまに見かける程度です。
そして、「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」。
これに至っては、「注文すれば作ってくれるんじゃない?」と現地のイタリア人が言うくらい、珍しいものです。
家では作るけれど、レストランで味わうものではない…ということでしょうか?
ピリ辛のシンプルなパスタといえば、「カレッティエラ」。
トマトソースに唐辛子を効かせたパスタソースで、トスカーナの人間は、こちらを食すのが一般的であるようです。
夏野菜をトマトソースで煮込んで調味した「ラタトゥイユ」。
日本では人気のレシピですが、オリジナルは南仏のもの。
イタリアでは、それに近いものを「カポナータ」と呼びます。
ただ、この「カポナータ」は、南イタリアで一般的なレシピ。
ここトスカーナでは、ほとんど習慣にありません。
イタリア家庭料理の定番、鶏肉のトマトソース煮は、イタリア料理のレシピ本に必ず載っている人気のメニューですが、これも、トスカーナ料理のレストランでは、あまりお目にかかりません。
家庭でできる料理は、レストランで味わうのが難しい...ということなのでしょうか?
何にしても、マンマの国、イタリア。
マンマの味には、レストランも敬意を示しているのかもしれません。
そんなイタリアは、日本同様、南北に長く、地域ごとにそれぞれの特徴があります。
また、愛国精神が特に強い性格上、食べるものも、地域に密着したものを選ぶ傾向にあります。
その上、方言というのが重なり、「同じものでも、呼び方が違う」なんてことも…。
違う地域に行って、トスカーナでは普通の呼び方が、全く通じないといったこともザラにあるわけです。
例えば、「ボロネーゼ」。
私たちが言うところのミートソースは、「スーゴ ディ ラグー」と言います。
また、「フォカッチャ」は、フィレンツェあたりでは、「スキアッチャータ」と呼んでいるというように、他にもいろいろあります。
同じものが、地域によって呼び方が違うなんて、やっぱりイタリアらしいですよね。
イタリアのいくつかの都市を巡る機会があれば、ぜひ比べてみてください。
きっと、美味しい…の他に、面白い発見があるかもしれません。
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花の都 フィレンツェ に住むこと、はや十数年。
フィレンツェの台所と言われる、メルカートで働いて10年以上となります。
多くの食材に囲まれながら、花より…の生活を楽しんでいます。
そんな生活をこちらに綴っています。どうぞ、ご覧ください。
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