「お墓の木」イトスギ(サイプレス)の秘密!墓地から見るキリスト教文化
ヨーロッパ、特にカトリックの国々で、イトスギは「お墓の木」と呼ばれています。
今回は、このイトスギと、ヨーロッパのお墓事情についてご紹介します。
なぜお墓の木と呼ばれるのかというと、それは、天高く、つまり天国へ向かって真っすぐに伸びていく木だからです。
イトスギは、死・喪の象徴とされており、イエス・キリストが磔にされた十字架は、この木で作られたという伝説があります。
ヨーロッパの国々を旅すると、教会や墓地の周りには、必ずイトスギの木が植えられているのに気がつくことでしょう。
イトスギは腐敗しにくいため、建築材・彫刻・棺などに幅広く使用されてきました。
現在でも、イタリアやスペインなどでは、この木を使った様々な寄木細工が有名です。
また、古代エジプトや古代ローマ時代には神聖なる木として崇拝されていましたし、フラメンコギターの裏板にも使用されているのです。
そして、画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホも好んで絵画の題材に使ったのが、このイトスギでした。
カトリックの人々は、現在でも土葬です。
衛生上の問題から火葬を奨励しているところもありますが、まだ殆どが土葬となっています。
旧約聖書の、最初の人間が創造されるくだりは、有名なのでご存知かと思います。
この世に初めて現れた人間の男性アダムは、土から作られ、次に、アダムの肋骨を1本取って、イブという2番目の女性を作った、という話です。
そういうわけで、この世に初めて現れた人間は土で作られたので、亡くなったら、人間は土へ返しましょうとの意味で、土葬が残っているのです。
お墓も2種類あります。
一族だけのお墓と、アパートメント式のお墓があります。
一族だけのものは、土の上に大きな墓石を設けてあり、地下に穴を掘って棺が埋葬されています。
アパートメント式のものは、棺を横に差し込む方式で、誰でも埋葬できる集合住宅のようなものです。
墓石には、生まれた西暦と、亡くなった西暦が刻まれていますので、差し引きするとその方が何歳で亡くなったのかが分かります。
大きな共同墓地の入り口では、お供え用の綺麗なお花が売られていています。
また、日本のように、墓石に水をかける習慣はありません。
円錐状に伸びていくので、クリスマスツリーとしても使用されますが、街路樹や公園などでも、よく見掛けられます。
そして、イギリスの邸宅では、ドアによくこのイトスギの木を使用します。
ヨーロッパを旅したら、ぜひこんなところにも着目してみてください。
有名な観光地だけではなく、普段の何気ない生活の中にも、意外に新しい発見があるかもしれませんね。
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