こんにちは、スキンケアカウンセラーの松原好克です。
2005年8月25日の朝日新聞に、化粧品の防腐剤成分「メチルパラベン」に関する衝撃的な記事が掲載されました。
「メチルパラベンと紫外線が作用して、シミやシワなどの肌老化を招く」という内容のもので、化粧品愛用者を震撼させる報道でした。
この報道は、10年近く経った現在も、コスメ業界に大きな影響を与え続けています。
今回は、メチルパラベンの真相に迫ります。
メチルパラベンの正式名は、「パラオキシ安息香酸メチル」で、化粧品の防腐目的で配合される成分です。
とても広範囲の微生物に有効なため、抗菌作用は非常に優れており、なおかつ毒性も低い方です。
パラオキシ安息香酸と様々なアルコール類とのエステル化合物を、通称で「パラベン」と呼んでいます。
メチルパラベンの他に、エチルパラベン・ブチルパラベンなどがあります。
冒頭で申し上げました新聞報道により、一気にメチルパラベンは嫌われ者になり、配合されている化粧品を避ける消費者が多くなりました。
それに伴い、化粧品会社も使用を控えざるを得なくなり、メチルパラベンを目にする機会は少なくなってしまったのです。
その風評に煽られて、防腐剤そのものが毛嫌いされるようになり、さらには、香料などの添加物全般までも敬遠されるようになりました。
そして、無添加化粧品と呼ばれるものや、パラベンフリーの化粧品が目立つようになってきたのです。
メチルパラベンに限らず、化粧品に配合される防腐剤成分などの添加物は、使用した全ての人に悪い影響を及ぼすものではありません。
メチルパラベンは、配合上限濃度が1%までと決められていますが、0.3%以下の配合率のものがほとんどです。
問題ないレベルでしょう。
また、皮膚には保護機能が備わっておりますが、メチルパラベンは水溶性成分のため、肌内部(角質層より奥)に浸透することはなく、シミやシワを助長することもありません。
ごく一部の人は、メチルパラベンに対して刺激反応(アレルギー症状やかぶれなど)を起こすことがあるため、そういう人は避けるべきです。
ただし、その化粧品に配合されている他の成分に反応している可能性も十分にあるため、メチルパラベンだと決め付けるのは良くありません。
逆に、刺激反応を起こさない大部分の人にとっては、ほとんど無害なのです。
つまり、メチルパラベンにアレルギーを起こさない人がメチルパラベンを避けることは、卵アレルギーでもない人が卵を避けているのと同じことです。
総合化学薬品メーカーの上野薬品株式会社は、新聞に掲載された記事の内容には、明らかに正確性・妥当性を欠く部分があったと言っています。
上野薬品が、実験を行った京都府立医科大学生体安全医学講座の担当助教授に確認したところ、同助教授から、
- 「そのようなことは言っていないと思う。特にシミ の場合、関連性はない。」
- 「紫外線量30㍉ジュール/cm2は文献を参考にしたが、新聞記載のように夏の日中の平均的な紫外線量とは言っていない。」
との回答を得ています。
また、実験環境の相違についても述べています。
さらに、上野薬品は、エビデンス(科学的な根拠)に基づいた、防腐剤(パラベン)の効果と安全性についての情報も公開しています。
詳しくは、上野薬品株式会社 ホームページをご覧ください。
上野薬品株式会社 ホームページ
◆化学薬品事業情報
http://www.ueno-fc.co.jp/company09.html
- 2005年9月
メチルパラベンと紫外線の作用に関する最近の朝日新聞報道について
- 2009年12月
パラベンの安全性に関する情報を更新しました(PDF書類)
化粧品は、すぐに使い切ってしまうものではないため、カビや菌などの繁殖を抑える処方が必要不可欠です。
パラベンが入っていない無添加化粧品や自然派化粧品でも、防腐類似作用のある植物成分などが必ず入っています。
そして、防腐類似作用のある植物成分が、必ずしもパラベンなどの防腐剤専用成分よりも肌に優しいとは言い切れません。
製品そのものの品質保持能力を考慮すると、しっかり防腐剤成分が配合された化粧品の方が、安全性が高いと言えるでしょう。
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