「あの人の事をもっと知りたいけど、仕事以外で話す機会がない」、「いつも無口だけど、実は●●さんは物知りで面白いらしい」。

職場やプライベートで、もっと仲良くなってみたいと思う人はいませんか? 仲良くなりたいと思っても、どうやって話せば盛り上がるのかな…と気後れしてしまうことも。

そんなとき、参考になるのが看護師さんのコミュニケーション。

どんなタイプの患者さんでも、その人の不安や心配を取り除き、相手の気持ちを理解して接することが要求される看護師という仕事。看護現場には患者さんの心を短時間で解きほぐし、信頼を得るための知恵や技術がたくさんあります。

そこには普段の生活の中で役立つノウハウも少なくありません。初対面の人や無口な人、苦手なタイプの人にも心を開いてもらい、うまくコミュニケーションするためのコツや会話術を看護師さんに学びます。

視線の位置を意識して!
小児科の看護師Kさんは「病院などに行くと、看護師さんがしゃがんだ状態で患者さんに話しかけているのを見かけることがあるでしょう。」

「相手と打ち解けて話したいときは、同じ高さの視線で話すのが基本です。見下ろすような状態になると、どうしても相手に威圧感を与えてしまいがちです。極力、相手と目の高さを合わせるようにしてみると、会話も弾みやすいですよ。」とのこと。

「そうはいっても人の目を見て話すのは、実はちょっと難しい場合も。そういう時は、相手の眉間くらいをみつめるといいでしょう。また、椅子に座っている相手と話すときは、自分はしゃがんで話すなど目の高さを合わせることで、相手に無意識に親近感を感じてもらうことができますよ。」

確かに、話をするときの視線の位置、目が合っているか合っていないかによって、話しやすさは変わります。どういう関係性で、どういう距離感で話をしたいかによって、意識してみるといいかもしれません。

座る位置で相手との親密度が変わる!?
さらにKさんが話してくれたのは、相手と話す時の位置についてでした。

「例えば、落ち込んでいる患者さんと話す時は、机があるのであれば90度の位置に、L字型に座って話を聞きます。そうする事で、患者さんに圧迫感や緊張感を抱かせず、安心して話をしてくれます。また、必要以上に目が合わないので緊張感が生まれず、お互いにリラックスして話すことができます。」

「真剣な話をするときに、あえて正面で座る事もあります。心理学的には『対立のポジション』といわれ、子どもを叱らねばならない時や、患者さんにどうしても注意をしないといけない時に使います。あまり親しくない人や、初対面の人、無口な人が相手のときに正面だと、相手に圧迫感や緊張感を抱かせてしまうこともあるので気を付けてください。」

親密度をアップさせたいときや、ある程度距離を取りたいときなどに応じて、使い分けるとよさそうですね。ちょっと気になる異性と、もっと親密度をアップさせたい! というときは、90度の位置が有効かもしれません。

「オウム返し」で聞き上手に!
誰でも自分の考えや発言を否定されると、内にこもったり、けんか腰になったりしてしまいます。相手を肯定していることを表現するにはどういう態度で接するのがいいのでしょうか。相手の話を途中でさえぎらないこと、相手の話のペースに合わせたりするのは基本ですが、これに加えて看護師さんがよく使う方法に「オウム返し」というものがあります。

Kさん「患者さんに『辛いんです』と言われたら、そういう時は慰めの言葉や、励ましの言葉よりも先に『そうですよね、辛いですよね』と相手の言ったことをそのまま返します。これによって相手は、『私の話を理解してくれている』、『共感してくれている』と実感し、心を開いてどんどん話をしてくれるようになります。」

ただしそのまま同じ言葉で返してしまうと「適当に聞いているな」と思われてしまう事もありますので、まずは最初に「同意」をして、返す言葉の語尾等を変えるのも良いかもしれません。

様々なスキルを駆使し、患者さんの気持ちに寄り添う看護師さん。

他にも、「患者さんの緊張感をほぐすために、自分の失敗談を話す」、「無口な患者さんには、ちょっとした関わりの時間を増やし、一言だけの短い声掛けをたくさんして、こちらが気にしているというサインを出す」、「『でも』『だけど』といった否定の接続詞をできるだけ使わない」、「緊張しがちな初対面の患者さんには、会話がスムーズに進むように、まずは『イエス』か『ノー』で答えられる簡単な質問から投げかける」などの工夫も聞く事ができました。

コミュニケーションの達人である看護師さんが使っているテクニックは、ちょっぴり苦手な同僚や上司、緊張するクライアントとのビジネス上のコミュニケーションはもちろん、他の色々なシチュエーションや人間関係においても活用できそうです。

あなたがもっと仲良くなりたいと思っている相手や心を開いてほしいと思う相手と対話する機会があれば、どんどん活用してみてください。

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この記事を書いたコラムニスト

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