色の魔術師アラン・フラッサー宅から学ぶ、ハイセンスな内装とインテリア実例 -高級リゾート地ハンプトンの豪邸-
インテリアデザイナーのうりゅうあきこです。
前回のコラムでは、ニューヨークの上流階級に学ぶ、セレブな夏の過ごし方というイントロダクションをお伝えしました。
今回は、引き続いてファッションデザイナーのアラン・フラッサーの美学がそのまま反映された、ファッショナブルなフラッサー邸のインテリアをご紹介したいと思います。
本館のメイン・エントランス。
建物の外観もそうですが、インテリアの基調色はチョコレートブラン、そしてピンクがアクセントです。
こちらは壁と天井をブラウンと白でペイント、そして壁には、アーティストにさらにピンクのバラを描かせました。鉢植えを置いて、本当のお花をデコレーション。
チャーミングでウェルカムなエントランスです。
ちなみに、メイドさんやアシスタント、配達の方たちが出入りするエントランスは別にあります。
主人とメイドさんの関係は、入り口が違うことではっきりします。
では中に入りましょう。
こちらが玄関。壁紙はアランによるカスタムデザインで、巨大な葉っぱがモチーフです。
葉っぱがモチーフの壁紙はアメリカでも人気ですが、たいていは緑。
アランの場合はあくまで好きなブラウンにこだわったそうです。
玄関のドアの両脇の椅子もブラウンのレザーに張り替えたそう。
ここは吹き抜けで、2階へと通じるらせん階段があります。
アランはこれまでにいくつかの家を建てましたが、「玄関はとても重要な場所、家全体のデザインのトーンを決定付ける場所なので、必ず壁紙を使う」と決めているそうです。
こちらはリビングルーム。部屋全体がピンクの色調で、グリーンがアクセント。
壁はペイントでピンク。ソファや、ランプ、クッションもピンク。
ところどころに置かれていたチョコレートの包み紙でさえ、リンツ(Lindt)チョコレートのピンクの包み紙で統一されていました。
ディナーが終わると、みなさんでこちらの部屋に集合して、夜遅くまでおしゃべりしていました。
ピンクのリビングルームはファッショナブルなだけでなく、心がほぐれるというか、優しくなれるというか。
色彩の効果もあって、なんだか心地がいい。
女性だけでなく、男性だってそう思えるはずです。
こちらはアランの書斎。
普段はオフィスのあるニューヨークで過ごしますが、週末は執筆活動に専念するため、ほとんどここの書斎で過ごします。
1981年以来何冊かの本を出版、現在も出版予定の本を書いているところ。
彼の本はとても分厚く情報量が多いので大変な作業だと思うのですが、コツは「毎日、必ず書き続けること」だそうです。
だから、週末はどんなに忙しくてもこちらの家に戻って書く作業に集中しているそう。
壁には新聞や雑誌に紹介された切り抜きが展示されており、日本の雑誌にも登場しました。
部屋全体の色調はモスグリーン。
その壁に掛かっている額はチェリーブラウンの木枠に、赤のアクセントという計算された組み合わせです。
どちらかというと、アランフラッサーという、正統派メンズファッションブランドに通じる渋い色使いです。
ディナーの準備ができるまで、飲み物を飲みながら待っている部屋。
光がさんさんと注ぐ明るい部屋です。
壁のデザインに注目!
明るくポップな部屋にしたかったので、ストーリー性のある壁画をアーティストに頼んで描いてもらったそうです。高い天井を生かして、天井まで空の絵を描かせました。
最初、アーティストに「なんでもいいから天井に絵を描いて」と頼んで出来上がったのが、ローマのサン・ピエトロ大聖堂のような天井画だったとのこと。
それを見て、「そんなまじめな絵はいやだ!もっと明るく楽しいものに!」と、再度、空の絵に塗り替えたそうです。
いまでは笑い話だそうですが。
玄関の壁紙もそうですが、こちらも思わずあっと驚く大胆なデザイン。
玄関の壁紙やこちらの壁画は、マリメッコのウニッコの花柄デザインのような、のっぺりしたお花や葉っぱを意識したそうです。
彼はマリメッコが大好きだそう。けれど、さらに自分でデザインしてしまうところが、さすがデザイナー。先を行っていますね。
ちなみに、こちらはマリメッコのウニッコの壁紙デザインです。日本でも大変人気ですよね。
アランは正統派メンズファッションを確立した第一人者なので、インテリアも正統派なのかなと思っていましたが、建築様式の基本は外していません。
そのかわり巧みな色彩の技を用いて、思いっきり遊びの要素を取り入れていました。
「色彩の魔術師」と呼びたいアランならではのテクニック。
それぞれの部屋には基調となる色があり、アクセントカラーを取り入れて単調にならない工夫を施す。
たとえばピンクと決めたら、テーブルの上のチョコレートやキャンドルもピンクのものしか置かないなど、徹底して色にこだわる姿勢が随所に見られました。
最終回の次回は、アラン・フラッサーに学ぶおもてなしの心、という内容でお伝えいたしますね。
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1992年よりアメリカ在住。10年以上米系の建築事務所でインテリアデザイナーとして勤務の後、現在はフリーランスで仕事を掛け持ちしつつ、日本向けに海外のインテリアやライフスタイル情報を発信中。
ブログ http://interiorgirlsguide.com (インテリアガールズガイド)
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