イタリア人はなぜ同じ名前が多い?イタリア人の名前の由来

同姓同名率の高い国、イタリア。イタリア人の子供の名づけ方や命名方法、その由来を歴史から学んでみませんか?同じ名前が多い地域ならではの工夫をご紹介します。

執筆者: Yumi@カラブリア
同じ名前ばかり!イタリア人の名前の秘密

日本人の名前と違い、同じ名前がとても多いイタリア。

友達同士でも同じ名前ばかり、会話の中や電話帳でも混乱する、なんてことも日常茶飯事です。

 

ここで、イタリア人の名前の付け方と、区別する面白いアイデアをご紹介します。

 

 

イタリア人の名前の由来

イタリア人の名前の多くは、聖人の名前から選ばれています。
日本のカレンダーの大安などの明記があるように、イタリアのカレンダーには毎日聖人の日が記されています。

 

その中から、自分が強く信じている聖人の名前を子供につけたり、産まれた日の聖人の名前をつけたりします。
自分の名前の聖人の日は、第二の誕生日(オノマスティコ)で、「オノマスティコ、おめでとう!」とお祝いの言葉をもらうこともあります。

 

 

祖父母から孫へ…。家族内で繰り返される同じ名前

イタリアでは昔から、祖父母から孫へ、名前を受け継いでいく習慣があります。
そのまま孫へ受け継いだり、二つの名前を組み合わせたり、同じ家族内に同じ名前というのも当たり前でした。

 

今では地方でも少なくなってきたのかもしれませんが、まだまだ名前を受け継ぐということをよく耳にします。

 

 

地域性のある名前の付け方

イタリアの各町では、「パトローノ(Patrono)」と言って、守護聖人が決められています。

 

例えば、ミラノの守護聖人は「Sant'Ambrogio(聖アンブロージョ)」。

12月7日のこの聖人の日は祭日になり、賑やかに守護聖人のお祭りをします。

 

 

小さな町ほど、同姓同名率高し!

特に小さな町にいくほど、守護聖人の名前をもらう人が多いので、同じ名前ばかり、その上小さい町は親戚が多いので同姓同名ばかりなんてことも。


同姓同名が多いとこれは厄介です。

 

 

家のあだ名で呼び合っている地域も

同じ苗字が多いような小さな田舎の町では、面白いことに、家族ごとに「あだ名」をつけている地域があります。

 

このあだ名は、先祖代々続いているもので、方言を含んでいて、外の人間には意味がわからなく、その町でしか通じない合言葉のようなもの。

日本の田舎でも、「屋号」で呼び合っているところがありますが、それと似ていますね。

 

「San Leone(聖レオーネ)」を守護聖人と持つ町で、「レオ」という友人の家を探すとしましょう。

こんなとき、レオの家族の「あだ名」を知らなければ、途方に暮れることになります。

 

何故かというと、この町には、「レオーネ」という名前の方が本当に多いので、町の人に聞いても、みんな「どのレオだい?」と返事をされるからです。

そこで、苗字を伝えても、同じ苗字の人も多くて誰も分からない、ということが現実に起こるのです。

 

もし、レオの家族の「あだ名」を伝えることができれば、「ああ!」と、すぐに分かってもらえることでしょう。

 

 

おわりに

両親がこだわって特別な名前をつける習慣のある日本、同じ名前ばかりのイタリア。

 

外国語から取ったような変わった名前をつける若者もいますが、「名前はイタリアのもの」とこだわっている若者も多いのです。


カップルや夫婦でも同じ名前、フランコ(男性名)とフランカ(女性名)のように名前もコンビ名のような人もいます。イタリア人にとっては、パートナーを選ぶときには名前もしっかり選ばないと、ですね。

 
 コラムニスト情報
Yumi@カラブリア
性別:女性  |  

イタリア南部カラブリア州の北部、カストロヴィッラリ在住。
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